リュウグウノツカイはもはや普通種!?どうなってるの、今年の大瀬崎!現地ガイドが珍魚を見つけるコツも伝授

もはや普通種!?
リュウグウノツカイなど珍魚がわんさか

オーシャナの皆さん、こんにちは。
水中カメラマンの堀口和重です。

前回のレポートから約3週間が経過。そのレポートでは大瀬崎のすごさに「10年に一回あるかないかの週末」と書いたのですが……。
いゃ……今年の大瀬崎は私の予想を遥かに超えていました!

ユキフリソウデウオやヒメアンコウ属の1種で幕を閉めるのであろうと思いきや、大瀬崎では日々、信じられない光景が広がっています。
前回のレポートからわずか1週間後、またもやリュウグウノツカイが登場したのです! 今回は夜の海、サイズは以前見つけた個体よりも数段大きめで、全長は60センチありました。

リュウグウノツカイ。全長60㎝ほど(撮影/堀口和重)

リュウグウノツカイ。全長60cmほど(撮影/堀口和重)

以前私が日中水面で見つけた個体よりも大きく、水面からは3mぐらいのところでポツンと浮いている姿が印象的でした。

ちなみにその週末の最終日、私は別件があり撮影に行けなかったのですが、上がってきたダイバーに話を聞くと、なんとリュウグウノツカイが5匹ぐらいいたといいます。
他にもアカマンボウ目の仲間では、フリソデウオやテンガイハタもわんさか出たとのこと!
一体どうなっているのか、大瀬崎……。

また、12月の1週目にもリュウグウノツカイやテンガイハタがまたまた登場。
もはや普通種!?っと言ってしまいそうです(笑)
まぁ今後何十年かは、こんなに出ることもなさそうな気がしますが。

カメラマンダイバーとリュウグウノツカイ(撮影/堀口和重)

カメラマンダイバーとリュウグウノツカイ(撮影/堀口和重)

カメラマンダイバーとテンガイハタ(撮影/堀口和重)

カメラマンダイバーとテンガイハタ(撮影/堀口和重)

また、つい先週には不思議な姿の深海魚の子どもが登場しました。
それが、ヤリガレイ属の1種。
ヤリガレイの成魚は水深70~300mに生息する、深場のカレイの仲間です。

カメラマンダイバーとヤリガレイ属の1種(撮影/堀口和重)

カメラマンダイバーとヤリガレイ属の1種(撮影/堀口和重)

この稚魚サイズは10センチと、ほかのカレイの稚魚よりも大きく、その大きい体をくねらせながら泳ぐ姿とライトの光が透ける透明感は美しいとしか言いようがないです。
特徴は体から出ている腸。外腸と言われ、浮遊生活に適している体のようです。

珍魚を見つけるにはどうしたら…?
大瀬崎のガイドに秘訣を聞いてみました

ここ1か月以内の深海浮遊系生物のフィーバー中に、11日連続、チェックダイブやガイド中にアカマンボウ目(リュウグウノツカイやフリソデウオなど)を見つけた方がいます。
大瀬崎の大瀬館マリンサービスの店長で、期待の若手・熊谷翔太さん。

大瀬館マリンサービスの熊谷翔太さん。カメハメ波…?

大瀬館マリンサービスの熊谷翔太さん。カメハメ波…?

普通に潜っていて1回発見するだけでもすごい生き物たちなのに、それをなんと11日連続で見つけるというのはものすごい快挙です。
そんな熊谷さんに早速、お話を伺ってみました。

堀口

リュウグウノツカイなどのアカマンボウ目を11日連続発見という、偉業を成し遂げましたね!

熊谷さん

この記録は私自身の力だけではなく、他店のガイドさんやお客様からもいろいろと情報を共有しながら見られました。ですので自分の力というより、皆様がいたからこそ達成できた記録ですね。

堀口

なるほど、みなさんの支えや情報提供のおかげなのですね。
さらには熊谷さんは11連続記録の後も、大瀬崎の夜の海でアカマンボウ目の魚たちを見つけ続けています。その秘訣は何でしょう?

熊谷さん

「生き物の動き、潮や生き物の情報、実際に自分の目によって実物を見ること」、この3つです。あとは、浮遊系生物が多く集まる場所がおおよそ決まっているので、そこを狙いました。

堀口

要はその生き物たちが来るようなポイントを今回、見つけだしたということですね。

熊谷さん

その生き物が好むような場所を探ることができれば、どなたでも見つけられる可能性があります。

堀口

これからはガイドさんだけではなく、そのポイントを見つけたゲストの方も見つけちゃったりするかもですね。
現地に行って聞いたら、ポイントを教えてもらえるものでしょうか?(笑)

熊谷さん

それは企業秘密なのですが…(^^;
どうしても、本当に知りたい方は、大瀬館マリンサービスにまずは遊びにいらしてください!(笑)

堀口

日中のダイビングがいいとか、ナイトダイビングがいいとか、時間帯についてはどうですか?

熊谷さん

フィーバー中は昼夜問わず見られました。時間帯ではなく、やはりその日の潮周りや風向きが重要ですね。

堀口

さすがはガイドさん! ただ、この時間が良さそうだ、とか、夜だから何となく潜る、ではなく、データをしっかり確認して自然と向きあうことが、生き物たちを探すポイントということですね。
今回たくさんのアカマンボウ目の魚たちを見つけましたが、その中でも特にこれはすごかった!!という生き物はなんでしょうか?

熊谷さん

全長が1.5mほどあるユキフリソデウオですね! ヒレの広がりがたまらなくキレイで、闇夜から光に照らされて浮かび上がるその姿はとても感動的でした。

ユキフリソデウオ(撮影/堀口和重)

ユキフリソデウオ(撮影/堀口和重)

↓ユキフリソデウオ発見時のレポートはこちら

堀口

私もその個体は見ましたが、アカマンボウ目の中でもずば抜けてキレイだなぁと思いました。
では、次の熊谷さんの目標はなんでしょうか?

熊谷さん

2つあります。まず1つ目は、浮遊系生物で、世界初となる発見をしたいです!
そして2つ目、今回は深海生物の幼魚をたくさん見ることができたので、今度は成魚の姿もぜひ見てみたいですね。

堀口

浮遊系はまだまだ未知数なので、世界初の発見はありそうですね。
もう1つの目標の成魚ですが、全長5mもあるリュウグノノツカイを水中で見つけたら、チビッてしまいそうですね(笑)
それでは最後にオーシャナ読者の方やガイドの方、そしてファンの方々に一言お願いします。

熊谷さん

今回のように何でも出てくる大瀬崎、世界一ポテンシャルのある海に潜って、一緒に感動を分かち合いましょう!

堀口

確かに、リュウグウノツカイがこんなに出る海も世界広しといえど他にないですね。世界一の感動をぜひ!
本日は熊谷さんありがとうございました。

私の古巣である大瀬館マリンサービスの熊谷さんということで、楽しくインタビューさせてもらいました(笑)
以上、大瀬崎からのレポートでした!

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堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
▶堀口和重写真事務所ホームページはこちら
▶堀口さんのFacebookはこちら

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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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