<注目ニュース>国内メディア初登場!? 幻の魚・ミノアンコウの稚魚の撮影に成功か? 大瀬崎のナイトダイビングがすごすぎる!!

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テンガイハタにユキフリソデウオ
大瀬崎はナイトもすごい!

オーシャナの皆さん、こんにちは。
水中カメラマンの堀口和重です。

前回のレポート「2018年秋は大瀬崎がアツい! リュウグウノツカイのほか、深海生物など珍しい生き物が大フィーバー」に続き、今回も西伊豆・大瀬崎の話題です!

11月17日はリュウグウノツカイで大賑わいの大瀬崎でしたが、夜になると日中に負けないような生き物が続出。
興奮して眠れない夜になりました。

今流行りの「ライトトラップ」。
夜の海で生き物を集魚灯(水中ライト)で誘い、生き物が捕食などを目的に寄ってきたところを観察したり、撮影したりするのです。

17日の夜は大瀬崎の熟練ダイバーたちが、そのライトトラップで集まる珍しい生き物を狙いました。

するとエントリーした途端、少し離れた所から大瀬館マリンサービスの店長・熊谷翔太氏が「水面に2匹テンガイハタがいますよ!!」っと大声で呼んでくれたのです。

早速見にいくと、20㎝、30㎝のテンガイハタの幼魚が水面を漂っていました!
▼テンガイハタ 幼魚 全長30㎝

テンガイハタ 幼魚(撮影/堀口和重)

テンガイハタ 幼魚(撮影/堀口和重)

「いきなりかっ!!」と興奮しながら、彼のゲストとともに30分は水面で撮影をしていました。もはや、エントリー口で撮影が終わってしまうのでは……と思ってしまいそうでした(笑)

ようやく水面での撮影を終え、今度は水深を落とし、再びライトを設置。
ここでも30分くらい、ライトに集まるイカの幼生やナイトでしか見られない生き物を撮影していました。
すると、再び興奮した熊谷氏が、スレートを片手に私の方に寄ってきたのです。

彼の手にあるスレートを見てみると「ユキフリソデウオが出ました!!」っと書いてあります。
すかさず泳いで行ってみると、1.5mはあるのではないかという長い鰭をなびかせるように泳ぐ、ユキフリソデウオの姿が!

▼ユキフリソウデオ 幼魚 全長 150㎝

ユキフリソデウオ 幼魚(撮影/堀口和重)

ユキフリソデウオ 幼魚(撮影/堀口和重)

成魚は水深500mに生息するといわれる深海魚です。
周囲には、先ほどのテンガイハタ以上に興奮して撮影をするダイバーが多数集まっていました。

私も大瀬崎で7年間働いていて、その期間は誰よりも浮遊生物を追っていたと思っていたのですが、こんな生き物は今まで見たことがなかったのです。ものすごい生き物を見つけてきたものです。

ダイビングメディア初登場!?
幻の魚・ミノアンコウの稚魚を激写か

翌日の11月18日になり、熱が冷めたかと思いきや……
ここで終わらないのが大瀬崎のすごいところ。

その日の夜、再びライトトラップで潜ったのですが、水中ライトを勢いよく振って呼んでくれた方がいました。
またまた何か出たかな?と寄って行くと、リュウグウノツカイやユキフリソデウオ以上に情報のない生き物が登場したのです!

見た瞬間にアンコウの仲間であろうということがわかったのですが、こんなに長い鰭条を持つアンコウは見たことがない……
上がってから稚魚図鑑を開いてみると、似たような種類が載っており、ヒメアンコウ属の1種の可能性が高いということがわかりました。

ただ確信ができないので、海洋生物環境研究所フェローの小嶋純一氏に同定をお願いしてみました。
すると、どうやらミノアンコウの可能性がとても高いということ!

▼ヒメアンコウ属の1種(ミノアンコウの可能性が高い) サイズ 全長 4㎝

ミノアンコウの稚魚である可能性が高い(撮影/堀口和重) 

ミノアンコウの稚魚である可能性が高い(撮影/堀口和重) 

ミノアンコウというと、皮弁が毛のようにもじゃもじゃして浮遊しているアンコウの仲間です。そのもじゃもじゃが、蓑を着ているように見えることが名前の由来。

とても珍しく、生態写真もほとんど出回っておらず、ましてや稚魚レベルになるといくら調べてみても写真が掲載されていません。
もしミノアンコウの稚魚であるなら、今回の個体がおそらく初めて国内メディアに出た個体になりそうです。

日本近海でほぼ見られたことのない、大変珍しい魚(撮影/堀口和重)

日本近海でほぼ見られたことのない、大変珍しい魚(撮影/堀口和重)

幼魚~成魚と成長するにつれ、全身が長い皮弁で覆われるという(撮影/堀口和重)

幼魚~成魚と成長するにつれ、全身が長い皮弁で覆われるという(撮影/堀口和重)

リュウグウノツカイの稚魚以上に珍しい魚の稚魚がまさか見られるとは……恐るべし大瀬崎。
この大瀬崎での週末は、リュウグウノツカイから始まり、まさかのミノアンコウの稚魚発見か!?で終わる、10年に一回あるかないかの週末となりました!

稚魚同定/(公財)海洋生物環境研究所 フェロー  小嶋 純一 様

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堀口和重さん
プロフィール

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伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
▶堀口和重写真事務所ホームページはこちら
▶堀口さんのFacebookはこちら

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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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