2018年秋は大瀬崎がアツい! リュウグウノツカイのほか、深海生物など珍しい生き物が大フィーバー

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大瀬崎に今年も
リュウグウノツカイ現る!

オーシャナの皆さん、はじめまして。
水中カメラマンの堀口和重です。

11月に入ってから、伊豆半島の大瀬崎が大賑わい。
今回はこちらのレポートをしたいと思います。
なんと、深海生物などの珍しい生き物たちが、多数見られているのです!

ご存じの方も多いと思いますが、先週、リュウグウノツカイの目撃情報がありました。
私の元にもその情報が入り、すぐさま撮影をするために大瀬崎へと向かいました。
しかし情報が入ってから到着までに時間がかかり、着いたころにはもう、いなくなってしまった様子でした。

自分でもめげずに見つけようと探したのですが見つからず、悔しながらその日は撮影を断念しました。

しかし、何としても写真に収めたかったため、翌週、私の以前の職場でもある大瀬館マリンサービスの店長である熊谷翔太氏と連絡を取り合い、ダイビング中や陸上から見られた生き物の情報をもらい、再チャレンジすることにしました。

狙ったのは週末。
大瀬崎ではナイトダイビングが土曜日と日曜日に可能なので、その2日間に的を絞ります。なぜ夜になるといいのかというお話は、今後またしていきたいと思います。

大瀬崎に到着してからすぐさま撮影を開始。
60分間探し回り、クラゲが溜まっているところを見上げてみると、キラッと銀色に輝く棒のような物が目に入ります。
「これはっ!!」と思い、近寄ってみると、目当てのリュウグウノツカイでした。

撮影/堀口和重

撮影/堀口和重

サイズは頭にある鰭から尾鰭まで入れると15㎝ほどです。
あれっ!?と思う方もいると思うのですが、このリュウグウノツカイ、実は子どもなのです。

なぜ深海生物がこんな小さな姿でここにいるのかというと、リュウグウノツカイの仲間は子どものころは水面付近で生活して、他のプランクトンを捕食しながら大きくなるまで浮遊生活を送り、ある程度成長したところで深海に向かうようです。

長い鰭はクラゲの触手に擬態しているようにも見えたので、水面付近は彼らにとって生活に適用しているのではと思われます。

2018年の大瀬は当たり年!?
珍しい生物のオンパレード

今回見られたすごい生き物は、リュウグウノツカイだけではありませんでした。
ほかにもさまざまな生き物が見られたのです。

外洋の潮が沿岸まで入り込むと、深海生物の稚魚や外洋にしか生息できないような珍しい魚、甲殻類、軟体動物などが、クラゲなどのプランクトンに紛れてやってくるのです。

そんな、なかなかお目にかかれないような生き物たちも撮影したので、紹介していきたいと思います。

▼こちらは深海魚のホテイエソの仲間の稚魚、サイズは4㎝前後。

ホテイエソ属の1種 稚魚(撮影/堀口和重)

ホテイエソ属の1種 稚魚(撮影/堀口和重)

▼テンガイハタ。リュウグウノツカイに近い仲間です。水面付近を漂っていました。
サイズは6㎝前後です。

テンガイハタ 稚魚(撮影/堀口和重)

テンガイハタ 稚魚(撮影/堀口和重)

▼こちらは海底に住むカレイの仲間で アズマガレイ属のSymphurus leucochilus の可能性が極めて高いようです。
水面下を体をくねらせながら泳いでいました。サイズは4㎝。

アズマガレイの1種 稚魚(撮影/堀口和重)

アズマガレイ属のSymphurus leucochilus 稚魚(撮影/堀口和重)

▼貝という名前がついてるのですが、外洋性のタコ。
雌は自分で貝殻を作ることで知られています。サイズは10㎝でした。

アオイガイ(撮影/堀口和重)

アオイガイ(撮影/堀口和重)

みなさんも、ぜひ秋が深まる大瀬崎に潜りに行ってみてはいかがでしょうか。
普段なかなか目にすることのできない生き物に出会えるかもしれませんよ!

稚魚同定/(公財)海洋生物環境研究所 フェロー  小嶋 純一 様

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堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
▶堀口和重写真事務所ホームページはこちら
▶堀口さんのFacebookはこちら

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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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