スキューバダイビングが簡単で安全は本当か
先日のアンケート「スキューバダイビングのライセンス(Cカード)講習って難しい?簡単?」の結果が出ました。
Cカード講習は、難しかったですか? 簡単でしたか?
- 1簡単だった (23%, 56 Votes)
- 2やや簡単だった (15%, 37 Votes)
- 3普通だった (27%, 65 Votes)
- 4やや難しかった (28%, 66 Votes)
- 5難しかった (6%, 15 Votes)
Total Voters: 239
そもそも、このアンケートをやってみようと思ったのは、こんな記事を見つけたからです。
■運動オンチも楽しめるスポーツ3選
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/wxr_detail/?id=20150409-00041632-r25
おお、ダイビングって、一般的にも、そこまでハードなイメージはなくなったのか! と。
運動音痴でも楽しめるって、すごい簡単!というメッセージですよね。
実際、「やや難しかった」が28%で最も多かったものの、逆に「簡単だった」と「やや簡単だった」を合わせると38%、「普通だった」が27%と、実際に講習を受けた人の多くは、あまり大変な思いをせずにダイバーデビューできたようですね。
この結果を見ると、確かに、ダイバーになるにはそこまで敷居が高くないよ、と言えるのかもしれません。
ただ、「ダイビングは安全、簡単」というアナウンスはダイバーの間口を広げる一方で、行き過ぎると、その弊害を指摘する意見もあります。
日本のテックダイバーのトップランナーで、親しみを込めて“ダイビング原理主義者”とお呼びしている田原浩一さんは、「ダイビングを始める時の大前提は、ダイビングは“間違ったら死にますよ”がスタート。この点をちゃんと周知させるべきであるにもかかわらず、ダイビング業界寄りの解釈が蔓延しまったく逆のアナウンスになっています」と指摘しています。
ダイビングは、本来、事故が起きても不思議じゃないことをやっていて、ヒューマンエラーは必ず起こるし、自然も含めて不確定要素が多く、事故はゼロにはできません。
「だから、いかにリスクを減らしていけるのか。リスクを減らすには、誰に習って、どういうコースを受けて、どういう活動をしていくか、トータルで考えることから、私の考えるダイビングは始まります」
“ダイビングは簡単・安全”からスタートすると、では誰でもどこでもよい、ということになり、安くて、早くて、雰囲気が楽しそうという選択ばかりになってしまうというご指摘ですね。
どんどんイージーな選択になると、価格競争、質が落ちる、リスクが増えるという負のスパイラルに陥るという指摘で、確かに、こうした問題はあるかもしれません。
また、事故は起こって初めてその怖さに気付くというのが世の常です。
ダイビングの事故の確率は高いという確固たるデータはありませんが、事故はいつ起きるかはわからない。
事故が何万ダイブに1回だとしても、その1回が1回目に起こるときもあります。
「だからリスクに対して備えるわけですが、自分が知らないことが起きると対応が難しい。
心、器材、スキルの準備をしておくことが必要です。
準備する際、リスクが隠される方向だとリスクに備えられません。
リスクも知らずに簡単そうに潜っているのを見聞きすれば、周りの人は、ダイビングは誰も簡単にできると思ってしまいます」と、ただダイバーの間口を広げようとリスクを隠し過ぎると、結果、安全でなくなるというご指摘です。
「人間は簡単に死ぬが、意外と簡単には死なない」という矛盾しているが真実である言葉と同じように、ダイビングは簡単で安全ですが、危険であるのも間違いありません。
Cカードを取るまで「やや難しかった(というか、大変だった)」自分は、「ダイビングって簡単? 安全?」と聞かれれば、「ダイビングは大変なこともあるし、リスクもあるけど楽しいよ」とアナウンスします。
さて、皆さんが聞かれたらなんと答えますか?