シングルタンクでサイドマウント・ダイビングを楽しむ方法

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やっぱり寒い日が続きます。
ウエットスーツでのダイビングでは陸上がキツくなってきました。
夏は終わっちゃったんですね…。残念です。

ここは気持ちを切り替えて前向きにいきましょう。
来年のバレンタインまでたった5ヶ月です!
なんと半年を切りました!朗報ですね!

…ハイ!テクニカルダイバーは常に前向きです!!

サイトマウントでのダイビング(提供:石井隆)

サイドマウントをシングルタンクで楽しむことができるのか?

今回から数回に分けて、サイドマウントの楽しみ方をいくつかお話ししたいと思います。
といっても、そんなに大したものではありませんが、レクリエーションダイビングでのサイドマウントの遊び方をご提案します。

今回はシングルタンクでのサイドマウントについて、です。

サイドマウントの基本は2本のタンクを脇につけて潜る、という事は理解されていると思います。
では、通常のレクリエーションダイビングではどうでしょうか?

普通、バックマウントダイバーは1本のタンクで潜ります。

もし、チーム内にサイドマウントダイバーとバックマウントダイバーが一緒にいた場合、サイドマウントダイバーだけ2本というのも、チームの構成や空気の消費、経済的にもよろしくないでしょう。

単純に考えても、サイドマウントダイバーは2倍の空気と2倍のタンク代の支払いが伴い、ダイビング自体はタンク1本分の消費で終了するはずです(バックマウントダイバーの残圧に合わせるはずですからね)。
こうなると合理的ではありませんよね。

そこでサイドマウントダイバーもシングルタンクで潜った方が、自然ですし、経済的にも合理的です。

ただ、重たいタンクを片方だけにつけて潜るのってバランスはどうなの?
片方に傾いちゃうんじゃない?
などなど、色んな疑問や問題点が出てきますよね。

でも、それらはコンフィグレーション(器材構成、以下コンフィグ)で修正する事が可能ですし、スキルで補う事もできます。

つまり、普通にレクリエーションダイバーに混ざってタンク1本で楽しむ事ができちゃうんです。

サイトマウントでのダイビング(提供:石井隆)

スチールとアルミ
どっちのタンクが向いている?

それでは、どのようなコンフィグで潜ればいいのかご紹介していきましょう。

まず、基本的なコンフィグは通常のサイドマウントと大きく変わりません。
ただ、ウエイトポケットが非常に重要になってきます。

タンクを付ける側(普通は左です)と反対側にバランスを取るために、ウエイトを装着しなければなりません。

例えば、メタリコンのスチールタンクであれば、バランスを取る為に6~8kgのウエイトを付けないとバランスは取れません。

これはドライスーツであればまだなんとかなりますが、ウエットスーツだとかなりのオーバーウエイトになります(ちなみに、私の場合はメタリコンスチールタンクだと普通は2kgで潜りますので、4kgのオーバーウエイトです)

これ、かなりマイナス要素ですよね。

ただ、ドーナッツ型ブラダー(空気袋)の大きな浮力を持つBCDなら可能です。
また、ブラダー自身もある程度バランスを補正してくれる力があるので、バランスも良いです。

ウエットスーツで、メタリコンスチールで潜る事は可能になります。
重いけど…(笑)

では、シングルタンクで潜る事はそんなに苦労しなければならないのでしょうか?
いえいえ、大丈夫です。アルミタンクがあります。

アルミタンクはスチールタンクよりも軽いです。
そのため、バランスを取るためのウエイトは1~2kgで済みます。
つまり、ウエットスーツでも十分許容範囲なのです。

サイトマウントでのダイビング(提供:石井隆)

ただ、前にもお話しましたが、アルミタンクは種類によっては残圧の減少によって浮力が変化します。
つまり、マイナス浮力だったタンクが途中からプラス浮力に変わります(アルミタンクを使用したレクリエーションダイビングでダイビングの後半になって身体が浮いてくる、なんて経験なかったですか?)。

先に話したドーナッツ型のブラダーであれば、ある程度補正が働くので、意外とバランスに変化はありません(若干タンク側が浮いてきますが、一度タンクの反対側を上にし、空気を集中させると、その状態を保ってくれるからです)。

ですが、バランスがシビアな小型のブラダーはそうはいきません。
身体を傾け、空気の集中点をコントロールする事で、ある程度はバランスを保てますが、結構めんどくさいし、ちょっとした身体の動きですぐに空気の集中点がニュートラルに戻っちゃいます。

そこで、私はウエイトベルトに1~2kgを付けて、ちょっと緩めにウエイトベルトをつけます。
そうして、最初はタンクの反対側にウエイトがくるように装着します。

タンクの浮力が変わる毎に、ウエイトの位置を身体の中心に移動し、完全にプラス浮力に変わったら、タンク側に移動します。
この方法ですと、小さなサイドマウント用BCでも十分にダイビング中快適なバランスを保つ事ができます。

シングルタンクでのセッティング

次に重要なのがタンクのセッティングです。
タンクが1本という事はレギュレーターも1セット。

つまり、通常のレギュレーターがほとんどそのまま使用できます。
これは大変経済的!(笑)

可能であれば、ショートホースのゲージ、ショートホースのインフレーターホース用中圧ホースに変更した方が良いですが、通常のホースの長さでも使用する事は可能です。
写真は私が使用しているシングルタンクの時のコンフィグです。

サイトマウントでのダイビング(提供:石井隆)

オクトパスやレギュレーターはそのまま使っています。
たた、どのポートを使用するかは考えなければなりません。
使用するホースのポートの位置などで、快適性はガラリと変わりますから。

私はオクトパスは、他のダイバーに見えやすいようにタンクの外側にゴムバンドで留めてアピールしています。
ダイバー正面からだと変わりにくいですが、横から見ると解り易いですよね。

また、レギュレーターの1stステージが身体の前にあるため、要救助者にエアを供給する場合でもロングホースまでの長さは確保できませんが、通常のバックマウントより長くホースが使えます。
そのため、私は通常のオクトパスホース(90cm)のまま使用しています。

ダイビング内容については通常のサイドマウント(2本タンク)と変わらず楽しめ、むしろ1本の方が身軽で快適性が増します。

私はレクリエーションダイバーの方には、シングルタンクでのサイドマウントを強くお勧めします。
サイドマウントの良い所がレクリエーションダイビングの中で生きるからです。

もちろん、専用のトレーニングは必要です。
コンフィグを作り上げる事やタンクの脱着、エアの共有等は非常に重要。
シングルタンクでのサイドマウント独自のトレーニングをしなければなりません。

いかがでしたか?
ちょっとまとめますね。

  • メタリコンスチールタンクでのシングルタンクサイドマウントは、ドライスーツ、または大型のBCDなら可能。
  • アルミタンクは、シングルタンクサイドマウントに適している。
  • シングルサイドマウントは、それ独自のコンフィグが必要。
  • シングルサイドマウントは、それ独自のトレーニングが必要。

つまり、ウエットスーツの時にメタリコンスチールタンクは不向きで、アルミタンクならトレーニングすれば可能、という事になります。

ただ、スチールタンクでもメタリコンが施されていないタンク(よくFabarって書いてありますよね。最近IOPでも見る事があると思います)は、アルミタンクほど軽くないですが、メタリコン仕様よりは軽いです。

そのため、コンフィグ次第ではアルミタンクのような快適性で潜る事ができます。
この辺は次回おはなしさせていただきます。

重ねて言いますが、私はレクリエーションダイビングでは、シングルタンクでのサイドマウントが最適だと思っています。

もし、サイドマウントを始めてみたい方で、器材やスキルに不安がある方はインストラクターに相談してみてください。
きっと良い解決策があると思います。

次回はシングルサイドマウントを含めた、サイドマウントダイビングの楽しみ方の続きをお話ししたいと思います。

サイトマウントでのダイビング(提供:石井隆)

今回の冒頭ネタは力技でしたね。反省しています。
でも、もうこんなのしか浮かびません。
「止めればいいのに」という声も聞きます。

でも、途中で止めてしまうと、何かに負けた気になります。
なので戦い続けます!!(何に?)

ではまた次回!!

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writer
PROFILE
40近くになり、家族で行ったグアム旅行、そこで嫁さんに体験ダイビングを勧められ初ダイビング。
その時の担当インストラクターに「ダイビングうまいねぇ。始めてみれば?」と言われてその気になる。

帰国後、地元のダイビングショップの門を叩き、ダイバーとなる。
この時40歳。

その後、調子に乗ってインストラクターまで一気に取得、

大手ダイビングショップで非常勤インストラクターとして勤務するも、もっとダイビングは自由で良いのでは?と考え始め、そんな中テクニカルダイビングに出会う。

自分の求めていたのはこれかもしれないと勘違いし、IANTDの小さな巨人・豊田聡氏(現PADIテクニカルダイビングアドバイザー)からテクニカルダイビングを教わる。

近年、サイドマウントダイビングを知り、その自由なスタイルに魅了され、ドンドン妄想はエスカレート。

終いにはサイドマウントを極めたいと、これまた大きな勘違いをし、オーシャナ執筆でおなじみの夜の帝王・田原浩一氏に「サイドマウントがうまくなりたいから教えてください!」と無茶な要求でケーブ系のトレーニングを始め、現在に至る。

 そんな訳でダイビング経験年数は6年(2013年11月現在)、経験本数は1500本(2013年12月現在)のお調子者若輩ダイバーです。

私は他のオーシャナ執筆者の方々のような著名人ではありません。
一人のダイバーの目線でサイドマウントの魅力をお伝えできればと思っています。

より安全に、より自由に、より楽しく。
レクリエーションサイドマウントダイビングはその可能性を秘めていると信じています。

是非、皆様の生暖かい目で今後もご支援いただければ幸いです。

主な資格等
■IANTD Normoxic Trimix インストラクター
■IANTD Trimix CCR Diver
■IANTD Trimix Diver
■IANTD Technical Wreck Diver
■PADI OWSIインストラクター MSDT
■PADI テックサイドマウントインストラクター
■PADI テックディープインストラクター
■日本テレビ系「いのちのいろいろ」映像提供多数
■小田原ダイビングスクール非常勤インストラクター
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