ソロダイビングに向いている!? サイドマウントの楽しみ方
肌寒くなってきました。
やはり夏は過ぎ去っていったのですね、残念です。今年は短く感じました。
でも、これから海の透明度はドンドン上がっていくでしょう。
伊豆海洋公園の砂地も、青い海と白い砂のコントラストが楽しめる季節が近づいてきました。
そうそう、伊豆海洋公園といえば、毎年バレンタインデーにはマシュマロなど、バレンタインイベントを開催しているのをご存知ですか?
おそらくあとたった4ヶ月後に開催されるはずです。
今から楽しみですね。
自分の命をバディに預けられるのか?
さて、今回からサイドマウントの楽しみ方についてお話しさせて頂きます。
ただ、最初はビーチダイビングやボートダイビング、実際の環境についてのダイビングのお話をしようと思っていたのですが、これは次回にまわします。
先にサイドマウントでのソロダイビングについてお話させて頂きたいと思います。
サイドマウントの特徴を生かしたダイビングのひとつとしてお話しさせて頂きますね。
皆さんは約一ヶ月前に寺山編集長と田原浩一さんがお話しした事を覚えていますか?
緊急時に対応できないのであればバディシステムには意味がない。
もし、信頼できないバディとダイビングするなら一人の方が余計なリスクが少ない、という風に私は感じました。
私は、バディシステムは厳守すべきだと思います。
ただ、どちらかがおんぶにだっこの甘えたダイビングではなく、互いに自立しているダイバーである事が前提で。
よく、アクション映画で「俺の背中を任せられるのはお前だけだ」なんてセリフ聞いた事ありますか?
または「俺の命をお前に預けるぜ」とか。
これは仲間に対して信頼しているから言えるセリフだと思います。
自分の大切な命をバディに預けられるか?
この言葉が基本にあると思います。
もちろん、全員が全員このようなダイバーではないでしょう。
経験が足りなかったり、スキル不足だったり、そこまでの重たい気持ちを持って潜りたくなかったり(笑)。
人それぞれだと思います。
ダイビングの楽しみ方は人それぞれ、それでも安全に楽しむためには最低限のスキルや知識は必要だと思います。
例えば、バディ同士でセルフダイビングする場合。
バディ同士でのセルフダイビングは冒険心を煽り、より自由なダイビングができます。
ダンゴウオだけを1時間見続けたり、伊豆海洋公園のブリマチから2の根に横断なんて事もできます。
とても魅力的ですよね。
でも、もし共に潜るバディを信頼できなければ絶対に止めましょう。
水の中での緊急時に、もちろん自分自身での対処もとても大事ですが、バディの対応もとても重要です。
特に空気に関するトラブルは致命的。
セルフダイビングでダイバー一人がトラブルにあい、その結果バディも巻き込まれて2人とも亡くなった話を聞いた事があります。
理想を言えば、自分がトラブルにあった際、そのトラブルを自分自身で対応し、それをバディがフォローするのが良いと思います。
でも、ちょっと難しいですよね。
それでも、それだけの覚悟がバディでのセルフダイビングには必要だと思います。
そして、ショップ等を利用して潜る際も同様です。
初めて一人でショップツアー等に行かれる方は、初めて会った人とバディを組む事が多いと思います。
その人をいきなり信用するのは難しいでしょう。
私も初めて会った人に「命を預けます!!」なんて言われたら逆にひいてしまいます。
その人のランクや経験本数とかも信用しない方が良いでしょう。
経験が500本のダイブマスターのバディに水中で見捨てられた、なんて話しも聞いた事があります。
つまり、バディのすべてを頼るのではなく、自分自身もある程度のサバイバル技術は必要だと、私は思います。
ショップのインストラクターさんはどうでしょう?
その方に命を預けられますか?
その方を信頼できますか?
信頼できるインストラクターであれば、水中では自分のバディとインストラクターを常に意識しましょう。
もし、信頼できないインストラクターであればダイビングをすべきではありません。
そして、それでもダイビングを続けたいのであれば、自分だけでも安全に生きて帰れるダイバーになりましょう。
ダイビングは水の中という非日常空間に身を預けます。
水の中は人が生きられない空間です。
例え、どんなに甘い言葉や誘惑があっても、最後にのしかかるのは自分の命です。
どんなに楽しいダイビングでも、それだけは絶対に忘れないでください。
サイドマウントはソロダイビングに向いている!?
さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本文です。
先の対談や、しばしばオーシャナでも話題にあがるソロダイビング。
単独潜水についてです。
対談でも、レクリエーションダイビングを楽しみたいのであれば、機能しないバディダイビングよりもソロダイビングの方がリスクが少ない、と話されていました。
ソロダイビングはその名のとおり一人で潜る事。
あらゆるリスクを自分一人で背負い、あらゆるトラブルにも自分一人で対応しなければなりません。
とても責任が重く、とても自由なダイビングだと私は思います。
ダイバー全員に勧められるものではありませんが、ダイバー全員がソロダイビングできるスキルを持っていると良いですよね。
実はサイドマウントダイビングはソロダイビングに非常に向いています。
シングルタンクでのソロダイビングよりも遥かに安全です。
なぜ安全なのでしょうか?
それは2つの独立した空気源を所持して潜るからです。
サイドマウントは独立した2つのタンク、2つのレギュレーターを使用します。
その為、もしレギュレーターの不具合やタンクそのものに不具合があった場合でも、すぐにトラブルの無かった方をバックアップとして使えます。
これはとても重要。
空気の量も普通のダイビングの倍。
ダイビングで空気の使用には1/3ルールがあります。
(行きにタンクの1/3を使い、帰りに1/3使う、予備として1/3を残す、というものです)
つまりサイドマウントであれば、各タンクに1/3ずつ予備空気があるのです。
例えば、ダイビング開始時のタンク圧が180barの場合、1/3は60bar、2つ併せて120barも予備として用意してあるのです。
もちろん、通常の空気量も倍です。
空気消費の多い方でも、よほどの事が無い限り安全に空気管理ができると思います。
2つのタンクを持ち、2つのレギュレーターがあるという事は非常にメリットがあるのです。
私はサイドマウントダイビングの空気管理(ガスマネージメント)はとても保守的で安全に対応されていると思います。
また、もしレギュレーターにトラブルがあった場合も、1stステージが自分の見える範囲にありますので、トラブルにいち早く気づくでしょう。
トラブルが早く見つかるという事は、早く対処でき、解決できないトラブルであれば早々にダイビングを終了する事ができます。
これもとてもメリットのある事。
もし通常装備(バックマウント)であれば、トラブルに気づかない事が多く、気づいた時は致命的、なんて事もあり得ると思います。
例えば、1stステージのポートからの空気漏れ等、バックマウントでは気付きにくいですが、サイドマウントであれば自分の視界の範囲で泡が確認できます。
そして、その泡の状況判断で、そのトラブルが判断できるでしょう。
もし中圧ホースが破裂した場合等も同様です。目視で確認できます。
そして、もう一方のレギュレーターに切り替えて、安全に浮上する事ができます。
バックマウントの場合だとこうはいかないでしょう。
自分の背後で起きた事を理解できず、パニックにつながる可能性もあります。
コレは怖いですよね。
サイドマウントダイビングは元々ケーブダイビングから始まっています。
ケーブダイビングはダイビングの中でも一番危険なダイビングと言われていますよね。
そのためか、サイドマウントのシステムは狭い所に入るだけでなく、安全面でも完成されていると私は感じます。
また、もしテクニカルダイビング経験者であれば、常に予備マスク等を所持しているでしょう。
サイドマウントで必要とされるバンジー(ゴム紐)やクリップ(スナップ)等の予備も携帯されているはずです。
水中で起こりえるすべてのトラブルに対応しているとは断言できませんが、それでもリスクは大きく軽減されると思います。
精神的なストレスや窒素酔い等、メンタルな部分でのリスク回避は難しいですが、少なくとも器材に関してのリスクは軽減されます。
これらは一人で潜るためにはとても重要な事です。
そして、サイドマウントダイビングは一人でトラブルに対処する、という事に非常に優れたシステムと言えるでしょう。
さて、いかがでしょうか?
ソロダイビングはサイドマウントダイビングの楽しみの一つとしてお話しさせて頂きました。
重ねていいますが、ソロダイビングはとてもリスクが高く、責任の重いダイビングです。
もし、事故が起きた場合、自分の命はもとより、ダイビングサービスや環境、国の対応、そしてソロダイバー仲間全員に影響します。
決して安易に実行してはいけないダイビングです。
それだけは絶対に忘れないでください。
それでもソロダイビングをしたいとういう方は、サイドマウントダイビングやテクニカルダイビングのシステムや考え方、知識を勉強してみてください。
より安全なダイビングを追求し続けていただく事を強く望みます。
そして、何よりソロダイビングでなくても、ダイバー一人一人の安全意識やスキルが向上し、事故のないダイビング界を切望します。
ダイビングは楽しく冒険に満ちあふれている世界だと思います。
その価値をダイバー全員と安全に分かち合いたいですよね。
次回もサイドマウントの実践的な楽しみ方についてお話しさせて頂きます。
今回の冒頭ネタには返す言葉もありません…。
批判される方も多いでしょう。真摯に受け止めます。
ただ、連載終了まであと2ヶ月(寺山編集長の寛大な御心が続けばですが…。)
例え地面に這いつくばってでも強引に続けたいと思います。
孤独な戦いはまだ続くでしょう…。
ではまた次回!!