意外と知らない初歩的なミス!? 呼吸がしづらいレギュレーターの原因

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オーバーホールに入ってきた器材で、「レギュレーターが吸いづらい(息苦しい)から併せて診て欲しい」という依頼がありました。

届いた器材を見てすぐに原因が判明。

ものすごく初歩的な人為的ミスによるものですが、器材の構造をご存知なければやってしまうかもしれない、ということで、今回ご紹介することにしました。

どのレギュレーターにも、1stステージにHPポートとLPポートが設けられていますが、それ以外にEPポートというものが設けられている機種があります。

レギュレーター故障?(提供:高尾珠実)

HPは「High Pressure(高圧)」
LPは「Low Pressure(低圧)」
EPは「Environmental Pressure(環境圧)」の略。

その名称の通り、各ポートにはそれに合うホース、もしくはプラグ(蓋)を取り付けするように作られています。
(HPポートにはHPホースもしくはHPプラグを、LPポートにはLPホースもしくはLPプラグを、EPポートにはEPプラグを)

ですが、届いたこのレギュレーターには、なぜかEPポートにLPプラグが取り付けられていました。

レギュレーターが吸いづらくなって当然です。

二つのプラグを並べてみます。

レギュレーター故障?(提供:高尾珠実)

左:EPプラグ 右:LPプラグ

裏返すと違いがもっとわかりやすいですね。

レギュレーター故障?(提供:高尾珠実)

EPプラグは穴が貫通していますよね。

取り付けるとこの通り。器材の内部が見えます。

レギュレーター故障?(提供:高尾珠実)

EP(環境圧)ポートに取付けるものなので、海水を器材の中に取り込めるように
穴が開いているというわけです。

ここから海水が入ることで海水圧を感知します。
EP穴は2箇所あります。
穴の開いていないLPプラグで塞いでしまうと、水圧を正しく感知できず中圧が低下してしまうのです。

今回は、EP穴の1箇所を塞いでしまったために吸いづらくなっていた、というわけです。

でも不思議なのは、取り付けをするときに違和感がなかったのかな? ということ。

だってこれだけネジ山の幅が違うのに……。

レギュレーター故障?(提供:高尾珠実)

これだと途中で止まってしまいます。
あとは力任せにギュウギュウやれば入りますが、もちろんネジ山は壊れます。

こんな風に(茶色く変色しているところがそうです)

レギュレーター故障?(提供:高尾珠実)

使用に際しても危険ですし、器材も壊れてしまいます。
EPプラグを紛失したからといって、LPプラグを入れるようなことは絶対にしないでくださいね。

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PROFILE
大学在学中、グアムで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、卒業と同時にダイビングの会社に就職。
その後、数店舗の都市型ダイビングショップで、スクールや器材販売、ツアーの企画・引率をし、2000年にインストラクターに。

数メーカーのメンテナンス講習を受けた後、ダイビング器材オーバーホール専門店「アイバディ」に10年間勤務。
現在はフリーインストラクターとして活動する傍ら、ダイビング器材・オーバーホールについて執筆活動中。

「器材の中身は見えない。だから伝えねばならない」がモットー。

ダイビング器材の中身は見えない。だから伝えねばならない~オーバーホールの現場から~ | オーシャナ
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