高圧ホースが突然破裂! どうしてこんなことが起きるの? ~ダイビング器材を安全に保つために~

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ダイビング器材のホースは、レギュレーター、オクトパス、インフレーター、ドライホース用の低圧(Low Pressure)ホースとゲージ用の高圧(High Pressure)ホースがありますが、素材は一般に大きく分けて2種類、ラバー(ゴム)とウレタン(樹脂)です。

ダイビングに行き、ボート上や陸上でセッティング中にパン! と大きな音がしてホースが破裂した場面に遭遇されたことはないですか?

現場でよくある器材トラブルの上位に挙げられるもののひとつなのですが、事例報告を受けているのはウレタンの高圧ホースです。

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白い繊維が飛び出している部分が、破裂箇所

ホースを切った断面はこのようになっています。

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内層は非常に硬い筒状の樹脂が繊維素材で覆われており、表層カバーがされている構造をしています。

使用劣化、経年劣化によって筒に亀裂(割れ)が生じた瞬間、高圧のエアーが一気に漏れ、表層カバーがはちきれて大きな音と共に破裂するというわけです。

ちなみに、これらはいずれもウレタンホースですが、こうして力を加えてみると…

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低圧(画像:左)ホースに比べて、高圧(画像:右)ホースの内層が非常に硬い素材で強度を持たせるようにつくられているのがわかりますね。

ラバーホースのように、根元の膨らみや気体漏れなど劣化の兆候が現れないのは、このような構成素材の違いからきていることが視覚的にも伝わりますか?

劣化が進んだ状態で使い続けると、最終的に、突発的に破裂したり、金属のカシメ部からホースが抜け落ちたりする危険性を含んでいます。

このような話をすると、ウレタンホースに良くない印象を持ってしまいがちですがウレタンホースには、ウレタンならではの良さがあります。

ラバーホースに比べて軽く、耐久性・耐寒性・耐摩耗性に優れ、エアーを通しても柔らかいという特性を持っています。

今回お伝えしたいことは、どちらが良い悪いということではなく、ダイビング器材の部品の一つであるホースは、交換時期の判断が他の部品に比べて難しいので、気をつけていただきたいということです。

器材をあまり使っていないから、表面的にはきれいだから大丈夫、という判断をせずに、日本スクーバ協会や各メーカーの推奨使用期限(2~5年)を目安に、交換するようにしましょう。
日本スクーバ協会HP参照

新品器材を使い始めた場合は、ご自身の使用頻度や使用状況を把握できていますが、中古器材を入手された場合は、過去にどのような負荷がかかったのか使用状況が判らず、状態判断ができない場合が大半です。

器材のオーバーホールと同時に、ホース交換をされてから使用される事をお勧めいたします。

突発的な器材トラブルを未然に防ぎ、安全なダイビングを!

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PROFILE
大学在学中、グアムで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、卒業と同時にダイビングの会社に就職。
その後、数店舗の都市型ダイビングショップで、スクールや器材販売、ツアーの企画・引率をし、2000年にインストラクターに。

数メーカーのメンテナンス講習を受けた後、ダイビング器材オーバーホール専門店「アイバディ」に10年間勤務。
現在はフリーインストラクターとして活動する傍ら、ダイビング器材・オーバーホールについて執筆活動中。

「器材の中身は見えない。だから伝えねばならない」がモットー。

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