パラゴン(Paragon)の圧倒的なフィット感 5つの理由 ~ダイビング・マスクのレビュー~
使ってみた感想は、
圧倒的なフィット感”
TUSAブランドが、その技術を結集させて世に送り出したマスク、“Paragon(パラゴン)”。
使う前からひと目ぼれしてしまったマスクだが、実際に使ってみたらどうだろうか。
長期で使ってみないことにはわからないこともあるが、海で3日使ってみた感想は、圧倒的な “フィット感”。
陸上で装着してみただけだと、これまでのマスクとそこまで劇的な違いはわからなかったが、ダイビングも含めて3日使ってみると、「ズレない」「快適なフィット」「視界が広い」など、快適なマスクだと体感できる。
事前にこだわりのスペックを聞いていたので、その点を意識して潜っていることもあるかもしれない。
こだわりのスペックを一点一点細かく感じることはできないが、細部にこだわった結果の集積としての圧倒的なフィット感なのだろう。
そのこだわりのポイントをピックアップしてみるが、これは、そのままマスク選びのポイントにもなるので、ぜひ参考にして欲しい。
1.
マスクに欲しい、相反する性質
“強さ”と“柔らかさ”
マスクに求められるのは、ハードな環境に対応できる「剛硬」性と顔にフィットする「柔軟」性という、相反する性質。
パラゴンは、その矛盾を素材の融合と加工で解決した。
まず、フレームは素材の異なる三層構造。
土台となる内側はタフなポリカーボネイト、外側はポリウレタンで緩衝緩和、中間にステンレスを採用することにより剛性(弾性)をアップ。
この素材の異なる三層構造自体が、頑丈さと同時にフィット感を実現させているポイントだ。
加工においても細部にこだわりを感じさせる。
通常、フレームはフラットだが、パラゴンでは顔の形状に合わせて曲線を付けている。この効果を具体的に体感するかと言われればわからないが、こうした集積が総合的なフィット感につながっているのだろう。
2.
吸い付くようなフィット感
顔の形状に合わせたスカートの加工は見事
さらに、スカートは、顔の形状と部位の役割によって、厚さと形状を細かく加工。
肌の接地面はしなやかに柔らかく加工し、快適なフィット感を。
そして、フレーム側は厚く加工し、タフな環境にも耐えうるよう頑丈性と剛性を実現している。
◆他社マスク
◆パラゴン
さらに、究極の「ここまでやるか?」のこだわりが、スカートの形状加工。
刻んだ加工(青い矢印)はダンパーの役割(衝撃を吸収する)、丸い窪みのディンプル加工(赤い矢印)は、表情が動いても肌とのフィッティングを保つ役割を果たしている。
そして、個人的に、最も重要だと思うのは、上唇部(ノーズポケット下)を薄くする加工。
意外と、落とし穴となるのが、マスクの試着。
陸でマスク試着する際、口を閉じて試着するダイバーも少なくないが、実際のダイビングでは、レギュをくわえている。
つまり、口を開け、マウスピースをくわえている口の形がデフォルトなのだ。
(なので、レギュをくわえてマスクを試着するのがベスト)
パラゴンは、この点を考慮し、口周りが可動してもフィットする加工を施している点が秀逸だ。
3.
フィット感のポイントは
ストラップ1本分のこだわりにあり!?
通常、マスクを装着する際、耳が邪魔になって、平行にストラップをつけるのは難しい。
また、ストラップの位置は後頭部がデフォルトなので、引っぱり上げられる格好になり、マスクにアンバランスにテンションがかかる。
これが、浸水や装着感が悪い要因になり、結果、きつく締めて、ダイビング後、マスクの後がくっきりとタヌキ顔に……。
そこで、パラゴンでは、従来、マスクの中央に位置するストラップを、1本分、上にスライド。
ストラップを高い位置にしたことで、ストラップがフラットに近づき、マスクへのテンションや装着感もより快適になったのだ。
さらに、ストラップとマスクの結合部のアタッチメントが可動式なので、顔の形によってストラップに角度を付けられ、歪んだテンションがかかりづらい。
4.
有害な紫外線をカットしながら
明るさも視界も確保
目の保護のため、有害な近紫外線を反射するコーティングがなされており、サングラスのように、太陽光を反射。
「視界が暗くなるのでは?」との懸念が出てくるが、明るさも確保(可視光透過度約93%)。
さらに、水中で紫外線の影響が少なくなるほど、反射が減り、相手からもマスク内の目がばっちり見えるので、アイコンタクトも問題なし。
5.
マスクの相反する価値
“広視界”と“低容量”
マスクのスペックの指標となるのが、視界の広さとマスクの大きさ(容量)。
難しいのが、視界を確保しようとすればマスクを大きくすればいいが、その分、平たくいえば邪魔になってくる。逆に、マスクを小さくすると視野が狭くなるので、この相反する課題がマスク作りのポイントになる。
おそらく、視界の数値を気にするダイバーは少ないと思うが、パンフレットを見た時に、「このマスクの視界は●°です」と数値を出しているマスクの視界は総じて良好だ。
その中でも、とあるブランドのハイスペックのマスク視界が「左右117°」なのに対して、パラゴンの視界は「左右135°」。
そして、レンズと顔の距離を近づけることにより、大きさ(容量約185cc)をおさえている。
この数値の融合がパラゴンの出した答えだ。
ハイクオリティー・マスク
22,000円は高いのか安いのか
プロ仕様の “an exellenct quality=高品質モデル”として誕生した、パラゴン。
気になる定価は22,000円。
マスクの価格もピンキリだが、一定以上のスペックを持つそれなりのマスクは、1万円代が多く、ハイスペックとされるモデルでも1万円台後半。
そんな、ひとつのラインであった2万円を、自信をもって超えたのがパラゴン。
そういう意味では、パラゴンは高品質であると同時に、価格もハイクラスに位置するが、プロ仕様をテーマにここまで高品質にこだわったマスクが、この価格であれば納得感の方が強いのではないだろうか。少なくとも自分はそう(マーケット視点では、もっと高くても良いとさえ思う)。
TUSAブランドが、その技術を結集させて世に送り出したマスク、“Paragon(パラゴン)”。
プロダイバーが納得する逸品だ。
(撮影/菊地聡美)