意外と知られていない中国のダイビング事情!アジア最大級のダイビング展「DRT SHOW上海」に潜入!
「DRT(Diving・Resort・Travel Expo)Show」というダイビング展示会をご存知だろうか。アジア太平洋地域のダイビング関連産業の発展促進のために設立された展示会で、2010年に香港で開催されて以来、現在ではマレーシア、上海、台湾、深セン、北京、フィリピン、インド、香港の8ヶ所で開催されている。2014年には沖縄開催されたこともあったという、アジア最大級のダイビング関連の展示会なのである。
今回は7月14日から16日までの3日間、上海にて開催されたDRT SHOW上海での潜入レポートを日本の皆様にお届け!お隣中国から最新のダイビング事情をレポートする。
会場に入ると毎回恒例の写真展示がお迎え
まずは恒例の写真展が来場者を出迎える。展示会の最後に参加者からの投票で表彰者が決まるようだ。
東南アジアからのダイビングクルーズの出展が目立つ
DRT SHOW上海が行われたのは2021年以来で、今年は2年ぶりの開催となった。2021年の来場者数は16,952人だったそうだが、今年は前回よりも出展者・来場者ともに多く、コロナ禍からは回復傾向を見せていた。
中国国内からの出展が多かった前回とガラッと変わり、今年は東南アジアのダイビングクルーズやダイビングリゾートの出展が多く感じた。中国人のダイビング関係者の友人に訪ねたところ、コロナ禍で潰れてしまった国内のダイビングショップが多く、海外のダイビングクルーズやリゾートの出展が目立ったのだという。また、これからダイビングショップを開こうとしている人々が情報集めに来ているのが多く見られるとも語っていた。
ダイビング指導団体からはPADI、DIWA、SDI、TDI、ERDI、PFIが出展。ダイビングクルーズにおいては、インドネシアからの出展が最も多く、次いでマレーシア、フィリビン、モルディブの出展者がダイビングクルーズの抽選会や特価での予約などを行っていた。東南アジアからのどのブースも中国語を話せる華僑の方が対応していたのに対し、1つだけあった韓国からのブースは韓国人の方が英語で対応していたようである。
ダイビング器材メーカーも多く出展
器材で最も印象的だったのは「スキューバプロ」の「Supernova Fin」。フィンの先が取れる設計になっており、ポケット部を交換することでストラップフィンがフルフットフィンに早変わり!しかもダイビング旅行時にスーツケース内でかさばるフィンをコンパクトに収納可能となる優れもの。日本のスキューバプロ公式サイトには掲載されていなかったので、日本で買えるようになるのはもう少し後かもしれない。
「AOI」のブースでは日本でも発売されている「コンパクトストロボQ1」の展示があった。実際に試してみたが、ストロボ一つでこんなにも簡単で綺麗にウミウシの写真が撮れてしまうのだと感心してしまった。
気になる蓄光素材グッズ
蓄光素材で作られたグッズが気になったので、キーホルダーを一つ買ってみた。キーホルダーやペンダントの他に、スレート、指示棒、ダイビングベル、スナッピーコイルなどのダイビング用品の商品展開もあり、ナイトダイビングやケーブダイビングなどで役に立ちそうなアイテムだ。
水中ドローンやレスキュー用のプロ仕様器材も
一般のファンダイビングで使用する器材以外にも、水中ドローンや、レスキュー用などの器材もあり、普段あまり目にすることのないものばかりで興味深かった。水中ドローンは実演もやっていて少し遊ばせていただいたのだが、水中から生中継ができる器材がセットになっていた。レスキュー用の器材ブースには欧米人の来場者がちらほら見えた。
初めての出展となったHUAWEIブース
中国のメーカーでは「HUAWEI」のブースが最も大きく目立っていた。「HUAWEI WATCH Ultimate」はタイドグラフ機能や万が一の際に予め登録している連絡先に通知される機能など、一般のダイブコンピュータにないさまざまな機能が追加されている万能なスマートウォッチだ。HUAWEIのスマートフォンに使用可能なスマホ用ハウジング「DIVEVOLK」も同ブース内で展示されていた。
中国色が強いウエットスーツ
中国ではドライスーツと言えばシェルドライスーツが一般的で、ネオプレーン素材のドライスーツの展示は見られなかった。ウェットスーツで気になったのは、中国の獅子舞をモチーフとしたフードと上下ドラゴン柄のウェットスーツだ。一体どんな人が買うのだろうと、かなり気になってしまった。
台湾や香港からの海や魚関連グッズ
海や魚関連グッズでは台湾や香港からの出展ばかりであった。この分野においては中国大陸では、まだまだ発展途上なのかもしれない。
気になる日本関連ブースは?
また前回の同展示会では千葉のシャークスクランブルを扱うショップを紹介するブースがあったが、今年の日本関連の出展は日本メーカーの「GULL」のみで、その他は日本のメーカーを扱う代理店が1つのみ出展していた。
現在中国人が日本に行くためのビザ取得条件はまだまだハードルが高く、個人が自由に観光目的で行ける状況にはまだ遠い。東南アジアはビザが取りやすく、また日本に比べ安く済むため、中国からダイビングに行く場合は東南アジアでコスパの高いダイビングを求める傾向がある。
フリーダイビングプール競技の世界チャンピオンの初講演
今年は中国のフリーダイビング用ウエットスーツメーカーの「BESTDIVE」がフリーダイビングプール競技の世界チャンピオンを講演に招いていた。今回初の講演ということで、フリーダイビングのメリットやFAQ、上達の心得などを語っていた。フリーダイビングは数字で成績が把握できてしまうスポーツで、上達もわかりやすいが、停滞もわかりやすく記録に出る。そのため記録が伸びず心に焦りがある場合は、一度フリーダイビングから離れてみるなど、一旦解き放つことが大事だというのが印象的だった。
以上、上海からダイビング展のレポートだったがいかがだっただろうか。来年もこれまでと同じ上海世博展覧館(SWEECC)にて開催されるが、今年の2倍の広さで開催されるとのことで、より一層盛り上がりを見せそうだ。