バショウカジキスイム2週目。3敗後の2勝

メキシコ、ムヘーレス島でのバショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

3日間何も見れていなかったweek2。

探そうにも鳥山がいない。
他のフィッシングボートもほとんどまともに、バショウカジキを釣っていない。

これではまずいと4日目に作戦を変更。
鳥山を探す作戦から、疑似餌などを使ってバショウカジキをおびき出す作戦に変更してもらう。
これが功を奏し、4日目にして、全員がバショウカジキを見ることができた。

しかし、まだイワシ玉を追い込んで捕食するバショウカジキの群れは見ていない。
最終日は絶対に見つけなければ。
そう思いながら、4日目のグレッグのガイドから交代して海に出る。

昨日から少しグンカンドリが見えるようになったとグレッグから聞いていたweek2で一番穏やかになった最終日(といっても、かなりうねりも残っている)もかなりのグンカンドリたちが空に舞い、フィッシングボートが多く出ているのが見えた。

何度かバショウカジキの鳥山が立ち、そちらに船を走らせる。
しかし、エントリー体勢を整えて近づくのだが、直前でグンカンドリたちが空高く散ってしまう。

僕らが到着する前に、イワシが食い尽くされてしまったか、あるいは、イワシの群れが大きく、それを取り囲むバショウカジキの群れの個体数が少なくて、イワシが活路を見いだし、逃げ延びてしまったか、どちらかだろう。
結局2回程おしいところまで行くが、グンカンドリが散ってしまった。

その後しばらく餌を使った誘き寄せ作戦を行なうが、バショウカジキ1匹を確認したに過ぎなかった。
焦りが出て来た。
いつの間にか、フィッシングボートの多いエリアから離れて、更に東へと移動した。
周囲に数十羽から100羽近くの鳥山は立つが、全てカツオの鳥山だった。

しかし、しばらくして、カツオの大きな鳥山が立ち上がったその後方に、4羽のグンカンドリが、カツオの群れとは違う動きをしていた。
「あれ、バショウカジキじゃない?」と僕がキャプテンのロヘリオに告げる。
「いや、カツオだよ」と一瞥してまた前を向く。
しかし、自分には確信があった。
「そうじゃないよ、そのカツオの鳥山の奥にいる4羽、あれ、バショウだろう」。
そういう僕の指差す方向をロへリオは再度凝視する。
クルーのウワンも双眼鏡で覗き、確認するこちらを見て頷いている。
ロヘリオも「可能性あるな」と言って、4羽に向けて船を走らせた。

微妙だったのは、この4羽が完全に海水面に近よっていないことだった。
近づくと、「タカ、チェックしろ!」とロヘリオ。
ゲストに、「ちょっと確認してきます!」と言って(どうかいてくれますように)と思いながらエントリー。
透明度は良く、すぐにバショウカジキとイワシの群れが見えてきた。
グンカンドリが微妙な飛び方をしていたのは、イワシの群れが水面下より、数メートル下を泳いでいたからだ。
追い込んでいるバショウカジキも4~5匹と少ない。
それでも、イワシの群れを追いかけるバショウカジキをweek2の皆が見れるのは、これが初めてのことになる。

バショウカジキを確認した事を知らせるために、手を上げて、見失わないようにした。
鳥はいなくなったものの、多少移動しているが、皆着いてこれないスピードではなかった。

皆がエントリーしてこの週初めての捕食シーンを目撃。

メキシコ、ムヘーレス島でのバショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

その後は、大きなイワシの群れに数匹のバショウカジキがついている状況や、小さなイワシの群れに、20匹近くの群がついている状況など、様々なバショウカジキの捕食状況に遭遇することができ、結局トータルで2時間以上、バショウカジキと泳ぐことができた。
目標の3日間遭遇には届かなかったが、どうにか最低目標の2日間、見ることができて終了した。

メキシコ、ムヘーレス島でのバショウカジキスイム(撮影:越智隆治) メキシコ、ムヘーレス島でのバショウカジキスイム(撮影:越智隆治)
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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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