写真家・岡田裕介が初めて体感した、バハマのイルカと“何もしない”という贅沢

360度、見渡す限り水平線しか見えない船上での生活、
青い海と空に、白い雲と砂に囲まれる毎日。
話には聞いていたけれど、想像以上にそれしかない世界。

港からホテルに向かう車窓から見える街路樹の木々の緑に日常を思い出した。
『青と白の世界から帰って来たんだな』と。

バハマのイルカ(撮影:岡田裕介)

2週目のドルフィンクルーズが無事終了しました。

今年はフレンドリーな北のタイセイヨウマダライルカが行方不明で、一緒に泳げるのはほぼハンドウイルカ。

イルカが出て、またハンドウイルカだって分かると皆は残念がるけど、バハマでのドルフィンクルーズ初参加の僕にとっては、白い砂地に真っ青な海中を『ツルッ』とした美肌のハンドウイルカ泳ぐ姿は格段に綺麗で、それはそれで満足。

今回参加した2週、合計10日間でまったくイルカに会えなかったのは1日だけ。
それでも過去にタイセイヨウマダライルカとの楽しい時間を過ごした経験のある越智さんやリピーターの方々は、やっぱり物足りないようでしたが。

正直、初めは被写体としてしか考えていなかったイルカに、特別な思い入れもなかったけど、初めて水中で目が合った瞬間に『あぁぁ』と、その瞳に心を奪われてしまいました。
『やっぱりカワイイわ』

海中の無音の世界に響き渡るイルカの声と一緒に過ごす優しい時間。

この世界にすっかり魅せられてしまった僕は、日本に帰ったらマラソン始めて少しでも息を長く出来るようにしなきゃとか、フィンはもっと長めのがいいなとか、来年のクルーズスケジュールを聞いて次回は息子も連れて来れるかななんて考えてみたり、既にまた来年も当然のように、この『青と白とイルカの世界』に戻って来るつもりでいます。

バハマの海(撮影:岡田裕介)

朝焼けからの水平線に昇る太陽を見ながら一日が始まり、その後は『イルカが出たら、イルカと泳ぐ』ただそれだけのシンプルな毎日。
一日の終わりは水平線に沈む夕日と夕焼けを見ながら船首で乾杯してみたり。

明確なタイムスケジュールはなく、起きたい時間におきて、食べたい時間に食べて、昼寝して読書して、イルカ好き、海好きの仲間達とおしゃべりして、それに飽きたら船首でひとり海を眺めていたっていい。

電話やメールやインターネットは繋がらず、外の世界からは遮断される生活は、割り切ってしまうと思いのほか心地いいことも知ってしまった。

僕を含め初めて乗船する人の中には、あまりにも自由な毎日に戸惑い持て余して、これでいいのかなんてなぜか心配になってしまったり。
でも日常ではありえない、イルカと泳ぐこと以外何もしないことの贅沢さや幸せさに気がつくと落ち着いてくる。

「この雰囲気、時間の流れが越智さんのクルーズなんだよね」と常連さんに聞き、越智さんの人柄に触れたからこそ妙に納得してしまう。

『結局、バハマのこの光景に一番癒されているのは自分かもしれないね』
そう言う越智さんのクルーズは船上も海の中も穏やかで優しい時間が流れていた。

バハマの虹(撮影:岡田裕介)

イルカと泳いだ後、夕暮れの空を見上げると虹が。

2014年のバハマドルフィンクルーズも募集をスタートしています。

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PROFILE
埼玉県生まれ。大学卒業後、フォトグラファー・山本光男氏に師事。
 2003 年より、フリーランスフォトグラファーとして独立。沖縄・石垣島、ハワイ・オアフ島へ の移住を経て、現在は神奈川県の三浦半島を拠点に活動中。 水中でバハマやハワイのイルカ、トンガのザトウクジラ、フロリダのマナティなどの大型海洋ほ 乳類、陸上で北極海のシロクマ、フォークランド諸島のペンギンなど海辺の生物をテーマに活動。 2009 年 National Geographic での受賞を機に世界に向けて写真を発表し、受賞作のマナティ の写真は世界各国の書籍や教育教材などの表紙を飾る。温泉に入るニホンザルの写真はアメリカ・ スミソニアン自然博物館に展示。国内でも銀座ソニーアクアリウムのメインビジュアルはじめ企 業の広告やカレンダーなどを撮影。 またミュージシャンのライブ撮影も行い、雑誌、WEB、広告などに作品を発表している。
 
HP:https://yusukeokada.com
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