夫婦で子育てする珍しい海水魚、スパイニークロミス

スパイニーミクロス(撮影:越智隆治)

捕食者がやってくると、親の周りに集まって来る幼魚たち

今回、DIVE 7 SEAS(ダイブセブンシーズ)の取材で、生態的に珍しいものを撮影させてもらいました。
それは、夫婦で子育てするスズメダイの仲間、スパイニークロミスの子育て風景。

卵を口内飼育する魚は、ジョーフィッシュやイシモチ類などが知られていて、何度か撮影した事はあるけど、孵化した幼魚が、他の魚たちに食べられてしまわないように親が守る海水魚をちゃんと見るのは、実は初めて。

しかも、ペア(夫婦?)で一緒になって、子育てしているんですよ。
べラなどの魚が幼魚を狙いに近づいて来ると、一方が幼魚たちの近くにいて、ガードし、もう一方が捕食者を追い立てて幼魚たちから遠ざけている甲斐甲斐しい行動には、なんか子を持つ親としては、とても共感するっていうか、感動させられて、撮影していても、本当に泣けて来ます。

口内飼育も感動するけど、口の中で孵化するまで卵を守る行為って、自分には魚特有過ぎるところもある。
でも、このペアで子育てしているシーンは哺乳類や人間の行為に似ているところがあって、正直、ワンダイブずっと観察して撮影し続けてもいいかな〜と思えました。

スパイニーミクロス(撮影:越智隆治)

ペアで、幼魚たちを守る、スパイニークロミス

幼魚たちの成長具合によって、親のガードの様子が違い、やはり小さい程、近くに寄り添っている感がありました。
成長しちゃうと、幼魚たちも行動範囲を広げ、バラバラになっているので、今回撮影した小さめの幼魚たちを子育て中のスパイニークロミスを見つけもらい、撮影できて本当に良かった。

スパイニーミクロス(撮影:越智隆治)

こちらは、幼魚がもう少し大きくなった別の個体

でも、できれば、もう少し時間かけて観察できるといいな〜。
グレートバリアリーフに来たら、ガイドにリクエストするか、是非自分で見つけてみて下さいね。

ちなみに、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニアなどにも分布しているようですが、体色などに多少の地域差があります。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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