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偽装家族、オネェイジメ……。知りたくなかった!? クマノミの素性3閲覧無制限

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現地からレポート
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久米島のクマノミ(撮影:越智隆治)

久米島、ダイブエスティバンのガイド、川本剛志さんと潜る、繁殖ウオッチング。

繁殖ウオッチングビギナーには、よく見られる魚から始めよう、ということで、クマノミをじっくり観察しています。

人間劇場として見る彼らは、ひと言で言えば「こいつら人間じゃねぇ!」です。
まあ、人間じゃないんですけど。

彼らの正体を暴いてみます。

1
ほのぼのファミリーじゃない⁉
クマノミの偽装家族

イソギンチャクにいるペアらしき個体はお父さん、お母さん。
その周りにちょっと大きいなお兄さんと、赤ちゃんいっぱいの微笑ましい光景。

フォトコンなんかで、「家族」とか「ファミリー」とか「がんばるお父さん」なんてタイトルを見ますよね。

久米島のクマノミ(撮影:越智隆治)

大家族の微笑ましいシーンに見えるが……

でも、これ、ペアが夫婦である以外は実は赤の他人なんです!

まさかの偽装家族。

卵からハッチアウトした仔魚は散り散りになってしまうので、元のイソギンチャクに戻って来る保証はありません。
小さい子供たちは、たまたまこのイソギンチャクにたどり着いただけなんですね。

大家族だと思っていたダイバーさんも結構いるのでは!?

2
ニモのようにはいかない!?
オネェいじめ

でも、偽装家族とはいえ、自分の家にたくさんの赤ちゃんや子供ひきとっているなんて、素敵な夫婦。
血のつながりがなくても心が通えば、本物の家族にきっとなれる!

……というのは人間の話で、基本的に、テリトリー内には一組のペアでしかいられません。

大家族でいられるのも繁殖を脅かさないうちだけ。
小さかった子供のクマノミたちが大きくなると、虎視眈々と育ての親を寝取ろうとするんだとか。

自分以外の成魚のオスやメスがいては、もともといた夫婦は大変。

基本的には追い出しにかかるか、性転換が中途半端な状態、いわばオネェの状態のときにイジメて、未成熟のままにとどめておくんだそうです。

久米島のクマノミ(撮影:越智隆治)

基本はペアのクマノミ

と、人間劇場としてクマノミのファミリー(?)を見ると、昼顔もびっくりの、いい意味で、人間じゃねぇ!

映画ファインディングニモの主人公、クマノミのニモは、母親を探しに旅に出るわけですが、本来であれば、お母さんがいなくなった瞬間に、お父さんが「パパが今日からお母さんだよ~」で問題解決ですが、映画を見た子供たちが混乱して何も解決しないので、やっぱりお母さんを探しに行くのがハッピーですね(笑)。

もちろん、生物としてみれば、これは自分の子孫を残すための合理的な戦い。
生命のたくましさ、生々しさ、神秘を感じます。

3
感動のハッチアウト!
でも食べちゃったりも……

クマノミのハッチアウトを見たことがないと言うと、川本さんが「2日後の20:10ごろ、ハマクマノミがハッチアウトしますよ」と。

え! 時間までわかるんですか!
場所はもちろん、周期やこれまでのデータ、日々の観察で、卵の状態をバッチリ把握。

日没後、スロープからビーチエントリーし、驚かせないようライトを消して近づき、しばらく観察していると、ヒレで激しく水流を送り込み始めます。

久米島のクマノミ(撮影:越智隆治)

すると、卵の中で目玉がクリンクリンと回転したかと思うと、次の瞬間、フワッと上昇。

 

久米島のクマノミ(撮影:越智隆治)

肉眼ではなかなか見えづらいのですが、目を凝らして何とか。
ピークが何回かあって、15分くらいのドラマです。

いや~、初めてのハッチアウトウオッチング。
生命が誕生する瞬間は、感動というより、嬉しい気持ち。

と、余韻に浸っていると、メスがパクパクパクパク。

え? ひょっとして卵を食べている!?

久米島のクマノミ(撮影:越智隆治)

川本さんによれば、ある程度の卵が残っていれば、再度、翌日にハッチアウトを行なうことがあるそうですが、少しの数であれば、きれいに掃除し、とっとと次の産卵に備えるとのこと。

栄養分にもなるとのことで、どこまでも合理的ですね。

子孫繁栄が絶対的なルールの魚たち生態。
人間劇場としては反社会的ですが(笑)、行動生態学の視点としては興味が尽きませんね。

■解説・取材協力/ダイブエスティバン

ダイブエスティバン

久米島一の大型ボート(53フィート)で6人のスタッフが対応。ビギナーやシニアのケアから、データをもとにした生態など、フォト派やマニアックなリクエストで対応可能な懐の広さが魅力。

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