セールフィッシュスイム、week4、3日目。バショウカジキとシルキーシャーク
1月18日、week4、3日目、今年の合計で19日目(そのうち、3日間海に出れない日があったので、海に出た日は16日目)、海も穏やかになり、快晴。まあ前日の荒れ具合でも誰も船酔いしなかったので、今日はその心配はまったく無さそうだ。
この日は、朝からあちこちで鳥山が立っていたのだが、どれもバショウカジキの捕食の時に立つ鳥山ではなくて,イルカかあるいはカツオの群れがイワシを捕食している時に立つ鳥山だった。ロヘリオに色々説明してもらったおけげで、どれがバショウカジキでどれがそうじゃないかの見分けもつくようになった。
ゲストは皆、「あそこに鳥山があるんじゃない」とか、「カツオと一緒にバショウカジキが捕食してることもあるんじゃない」とまだ泳げていないこともあり、鳥山を見ると、近くに行って欲しいと懇願するような顔で僕を見る。
しかし、今までの経験から、やはりバショウカジキがイワシの群れを追い込んでいるときの鳥山は、明らかにわかる形をしているので、無駄に船を走らせることはしなかった。
朝9時頃、微妙にバショウカジキっぽい鳥山が見えた。しかし、確信が持てない微妙な動きをしていた。
「あれ、どう思う?」ロヘリオが僕に聞いてきた。僕も鳥達の微妙な動きに判断しかねていた。それっぽい、しかし、微妙だ。
しかし、双眼鏡で様子を伺っていたクルーのウワンが「バショウの背びれが見える」とぼそっと答えた。「よし!」とロへリオと二人、顔を見合わせて、鳥山に向かう。フィッシングボートは沢山出ていたけど、その鳥山には他の船はついていなかった。
年配の方も参加している週だったので、「もし群れに追いつけなかったら、すぐに船に戻って、また前に回り込んで下ろしてもらって下さい」と告げて、エントリーの体勢を取る。
鳥山が徐々に近づいて来た。ロヘリオが、「最初はタカだけだ」と叫ぶ。「僕だけ、まず入ります!そのあと、ロヘリオがオッケーを出したら入って下さい」と皆に告げてエントリー。イワシの群れはまだ大きくて止まる気配は無い。
しかし、100匹ほどのバショウカジキに追い立てられて、群れが分裂した。イワシの数が少ない方は、あまり移動をしなくなり、その場で逃げ惑い始めた。バショウカジキの数も少ないが、こちらの群れであれば、多少泳げる人であれば、ついてこれるのではと判断して、そちらにつくことにした。
自分であれば、ゆっくり泳いでいても追いついて行ける程度のスピードだった。それでも、皆は追いつけない。追いすがるのがやっとくらい。それでも、皆は何度か船に上げてもらい、エントリーを繰り返した。
その群れが崩れたので、またメインの群れにエントリーして、自分だけ追跡を続けた。しばらくするとまた少数のイワシの群れがメインの群れから引き裂かれて、そちらが止まる気配を見せた。船からは皆がタイミング良く飛び込んできて、群れが止まったかに見えた。この日、もう一隻同じ会社の船がチャーターされていて、ドイツのカメラマン夫婦が乗り込んでいた。その人たちも一緒に入ってきたので、ダイバーの数が少し多くなり過ぎた。
案の定、イワシの群れを取り囲み過ぎて、バショウカジキたちはしばらくして泳ぎ去ってしまった。イワシたちは、僕らのおかげで九死に一生を得たわけだ。
しかし、そこに新たなプレデターが登場!2匹のシルキーシャークだ。サイズは1m以下と小振りだけど、僕らダイバーを気にすることなく旋回を続け、ときには、カメラやフィンにもアタックしてくるような素振りを見せながら、イワシの捕食を続けた。
そのシーンをカメラに納めようとした、参加者で名古屋の有名なお寿司屋さんの大将Hさんが、捕食の瞬間目の前でカメラを構えていたら、イワシ捕食のタイミングに合わせて、突っ込んできて、指を噛まれてしまった。
それでも、Hさんは怯む事無く、撮影を続け、船に戻ってからは、「あんな小さなサメに噛まれたんじゃ、情けないな〜」とさすが、普段魚を扱い慣れているだけあるからなのか、あまり気にしていない様子。それでも、傷口は結構深いように見えた。
離れていたら、バショウカジキも多少戻ってきたので、再度エントリーして、撮影。またバショウカジキがいなくなったので、終了した。シルキーシャークたちもまだ捕食を続けていた。
終了したのは11時前。2時間近く泳ぐことができた。しかし、この日はこれ以降、鳥山は立たなかった。
これで、19日間での遭遇は、10日間。昨年の遭遇も合わせると、23日間で、13日間。これで、一般の参加者の乗船するweek1からweek4までのゲスト全員(計18人)がバショウカジキとの水中遭遇を果たすことができた。
そして、この日も2匹のバショウカジキがヒットして、この週は3日目にして、3匹のバショウカジキを釣り上げた。