ダイビング中にハリセンボンが大量発生⁉かわいいサクラダンゴウオにも会える、兵庫県・竹野が大賑わい♪

この記事は約4分で読めます。

こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。
現在、関西エリアから山口、鹿児島、愛媛へと撮影で回っています。

そんな中、今週兵庫県に滞在中に、おもしろいニュースが飛び込んできたので取材してきました。
なんと、兵庫県のダイビングエリア・竹野に、ハリセンボンが登場したんです!

「え?ハリセンボンってそんなに珍しい!?」
一般のダイバーからするとそう思われるかもしれませんが、これがすごい数。
数えきれないほどの、たくさんのハリセンボンの群れが現れたのです。

ハリセンボンの群れ。これでも数は3分の1くらい(撮影/堀口和重)

ハリセンボンの群れ。これでも数は3分の1くらい(撮影/堀口和重)

どこもかしこもハリセンボン……笑

写真にはたくさんのハリセンボンが写っていますが、これでも3分の1くらいの数。この光景をすべてお伝えできないのが非常に残念です。

ハリセンボンは、もともと南方種の魚。
日本海に面した竹野は4月現在水温が14℃程度で、その影響なのか、みなスピードが遅く、ゆっくりと泳ぐ姿がまたかわいらしいです。

癒し系な顔のハリセンボン(撮影/堀口和重)

癒し系な顔のハリセンボン(撮影/堀口和重)

なぜハリセンボンが大量発生?

このハリセンボンの大量発生が最初に見られたのは今年の3月だそうで、今回ガイドをしてくださった竹野歴12年のDive Resort T-style田中陽介さんも、「ダイビングポイントでこんなに大量に見られたのは初!!」だそう。

また、ここ最近テレビやネットで目にした方も多いと思いますが、日本海側の数ヵ所で「漁師の網に大量のハリセンボンがかかり、被害が出ている」というニュースも報じられています。
一方、ハリセンボンの大量発生は今年に限らず、毎年のように定期的に話題にもなっています。

結局のところ、なぜこのようなことが起きているかは断言できないのですが……
南方から暖流に乗って日本海沿岸に流されてきてしまい、低水温で弱って海岸に打ち上がってしまうなど、諸説あるようです。

ただ今回竹野で見たハリセンボンは、大きさから言うと少し小さく、まだ成魚にはなっていませんでした。とすると、南方のどこかでハリセンボンが集団産卵をして、日本海側の海流に乗り、大きく成長しながら流れてきた可能性が高いのでは?と、個人的には考えています。

ハリセンボンの自然の産卵は、まだきちんと確認されていません。
もしかすると、どこかの南の海で、それだけの規模のハリセンボンが集団で産卵をしているのかも…!? そんな繁殖行動が行われているかもしれないと思うと、なんだか夢が広がります!

ちなみに普段は南方に生息しているので、海藻の周りを泳ぐ姿はなかなか見られません。
ぜひこの機会に、貴重な「ハリセンボンと海藻のコラボ」を見に行くのも楽しいと思います。

海藻をバックに泳ぐハリセンボンたち(撮影/堀口和重)

海藻をバックに泳ぐハリセンボンたち(撮影/堀口和重)

ハリセンボンだけじゃない竹野の海

現在の竹野の海ですが、魚類会のアイドル・サクラダンゴウオがいたるところで見られます。

※サクラダンゴウオとは?
2017年6月に発表された新種。国内では主に本州の日本海側に生息しており、太平洋側に生息する「ダンゴウオ」とは別種となる。

期間限定の“天使の輪っか”も見られれば、卵を保護している親の個体も見られたりと、次々に見つかるサクラダンゴウオに目移りしてしまいます。

小さなサクラダンゴウオの幼魚が2匹(撮影/堀口和重)

小さなサクラダンゴウオの幼魚が2匹(撮影/堀口和重)

卵を保護するサクラダンゴウオ(撮影/堀口和重)

卵を保護するサクラダンゴウオ(撮影/堀口和重)

海の中は子育ての季節

サクラダンゴウオだけでも楽しめそうなのですが、竹野の今の時期は生態行動もおもしろいです。
私も昨年の撮影で初めて見たのですが、コケギンポが卵を守る姿が見られます!

なかなかお目にかかれない、コケギンポの卵(撮影/堀口和重)

なかなかお目にかかれない、コケギンポの卵(撮影/堀口和重)

さらに、チャガラが卵を保護しているシーンも。

動きまわる、親のチャガラ(撮影/堀口和重)

動きまわる、親のチャガラ(撮影/堀口和重)

中の卵は発眼している(撮影/堀口和重)

中の卵は発眼している(撮影/堀口和重)

ただ、どちらも小さな隙間や穴の中で子育てをしているので、撮影の難易度は高いです……笑
フォト派のみなさん、がんばりましょう!

海中が森のよう!?

そして、今年は海藻が遅いスタートながらも一気に生えたようで、森のように生い茂っています。

食卓にはお馴染みのワカメや光が反射すると美しい岩に生えるエビアマモ、まっすぐに伸びるホンダワラなど。マクロレンズだけではもったいないワイドな世界も十分に楽しめます。

美しい海藻類(撮影/堀口和重)

美しい海藻類(撮影/堀口和重)

海藻が森のように生い茂る(撮影/堀口和重)

海藻が森のように生い茂る(撮影/堀口和重)

京阪神エリアから車で約3時間。姫路から約2時間の竹野。
関西にお住まいで、ゴールデンウィークにまだ予定を入れてない日があった!という方がいたら、珍しいハリセンボンの群れやかわいいサクラダンゴウオに会いに行ってみてはいかがでしょうか?

■撮影協力/Dive Resort T-style

堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
▶堀口和重写真事務所ホームページはこちら
▶堀口さんのFacebookはこちら

▼生物ネタたっぷり!堀口和重さんの記事をもっと読む
堀口和重さんのその他の記事はこちら

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
  • facebook
FOLLOW