サンゴの敵“レイシガイ”でアクセサリーを制作する阿嘉島のダイビングガイド夢子さんへインタビュー
世界のサンゴ礁の約50%がこの30年で死滅していると言われているのはご存知だろうか。地球上に存在する海洋生物の約4分の1が生息すると言われ、サンゴ礁の減少は生態系の変化や種の絶滅危惧、人間にとっては漁場や観光資源への影響に直結している。
原因は、海水温の上昇や生活排水、海洋ゴミによる汚染、オニヒトデやレイシガイダマシの異常発生による食害など様々。今回はその一つの原因とされている、サンゴを食べるレイシガイダマシの駆除を行う、マリンハウスシーサー阿嘉島店のダイビングガイド・太田夢子さんの取り組みをご紹介しよう。
駆除したレイシガイダマシを可愛いアクセサリーへ
レイシガイダマシ類は、2~4cm程の小さな巻貝で、ミドリイシなど枝サンゴを中心に食べ荒らすサンゴの敵。沖縄県のダイビングスポットとして有名な慶良間諸島・阿嘉島では、1時間程度の駆除活動でひとり当たり100個体程度も取れてしまうほど異常発生しているため、慶良間のダイビング協会によって毎月定期的に駆除活動が実施されている。
この駆除したレイシガイダマシを使って、昨年の10月からアクセサリーを制作・販売しているマリンハウスシーサー阿嘉島店の夢子さんに、きっかけやその想いを伺った。
ーレイシガイダマシを使ってアクセサリーを作ろうと思ったきっかけは何ですか?
夢子さん
駆除したレイシガイダマシは、今まで廃棄するしかなかったんです。何かに活用できないかと、ショップの仲間が煮付けたり唐揚げにしたり、出汁をとったりと色々チャレンジしたのですが、全く食べられるものではなく…。そこで、もともと自分が好きだった工作の材料にしてみようと考えたんです。
ーどうやって作っているんでしょうか。
夢子さん
最初は自前の小さいヤスリ機で2〜3センチくらいの貝殻を削り、ミニハンドルーターで穴を開け、ピアスやミサンガにしていました。その時は1個作るのに1時間半くらいかかっていたのですが、整備部の方が大型のヤスリ機を見つけてきてくれてから、今では1時間に10個くらい加工できるようになりました。加工する前の下処理では、天日干しして湯がいて中身を出して、ハイターやサンポールで表面の汚れを取っています。サンポールを使うと綺麗に汚れが落ちるというのは、夜光貝を加工している島のおじいが教えてくれました!
ー色んな方の協力で出来上がっていったのですね!
夢子さん
今後はゲストさんと一緒にアクセサリーを作ったり、パーツだけでも販売したりして、自分なりのアレンジを楽しんで欲しいです。SNSなどでも共有しながら、みんなで可愛いアクセサリーにしていけたらなと思っています。
環境のことを考えるきっかけに
ーこのアクセサリーを通して伝えたいメッセージなどはありますか?
夢子さん
まずは「サンゴを食べちゃう貝がいるんだ」とか「サンゴって大事なんだ」って知ってもらいたいです。そこから、私たちが環境保護のために行っている活動から、行動の変化にも繋がったらいいなと思っています。エコバッグを使ったりラップを使わないようにしたり。小さいことでも、一人ひとりの日常生活の中での環境意識を変えていきたいと思っています。
ー夢子さん、ありがとうございました。
夢子さんが制作するレイシガイダマシのアクセサリーは、現在マリンハウスシーサー阿嘉島店をはじめ、阿嘉島内の雑貨を取り扱うお店などで手に入れることができる。1つ購入されるごとに、“サンゴ”にかけて350円がサンゴ礁保全活動に充てられるため、阿嘉島に訪れた際には、購入することで美しいサンゴを守る活動に参加してみてはいかがだろうか。