ビデオゲームと環境保護の新たな関係値

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現在、オーシャナでは「あつまれどうぶつの森」というビデオゲームにオーシャナの島を作り、海の生活、新しいダイビングスタイルの開拓を試みている。
そんな中、ビデオゲームと環境保護の新しい関係値を国連環境計画がレポートしていたので、ここでは翻訳記事を紹介する。
原文記事:https://www.unenvironment.org/news-and-stories/story/how-video-games-are-joining-fight-save-planet?fbclid=IwAR3glaEOsOpB5IqmlfhgQ1xSCc9Wz5AghG02StUJ3VE3_061p7PEky_OPg
翻訳:Naomi Tashiro

2019年12月にオーストラリア全土で甚大な被害を生んだ山火事が発生した。
その山火事を見た1人の人が、自身がプレイしているSpace Ape Gamesというロンドンにヘッドオフィスを置くビデオゲームの会社に連絡を取り、何かできることはないのかと尋ねた。
すると、Space Ape Gamesはゲーム内コンテンツである購入オプションをいくつかのゲームにすばやく導入し、そこから得た収益はすべてその被害にあった地域で活動している野生生物、または人道的慈善団体に寄付され、わずか4日で、同社は12万ドル(約1,260千万円)を調達した。
「これは、人々がどれだけ善を行いたいかを語っています」と、Space Ape Gamesの元コンテンツ責任者であったDeborah Mensah-Bonsuさんは述べている。現在、彼女は社会的影響のためにゲームを使用することに焦点を当てた独自のコンサルタント会社を運営している。

現在、ビデオゲーム業界では、環境保護に役に立つためにさらに多くのことをする準備が進んでいる。2020年8月、モバイルゲームの大手企業の一部が、”Angry Birds 2”、”Golf Clash”、”Subway Surfers” などの人気タイトルに、一連の環境をテーマにしたミッションとメッセージをコンテンツとして追加することを発表した。

これにより、プレイヤーはゲーム内で気候変動との戦いや絶滅危惧種のオオカミの保護などを行うことができるようになる。このイニシアチブは、国連環境計画(UNEP)による、ゲーム開発者と協力して緊急な環境問題についての意識を高めるための推進活動の一環となる。
「ビデオゲームは、地球上で最大のコミュニケーション手段の一つです」と、UNEPの教育およびアドボカシーの責任者であるSam Barrattさんは述べている。 「私たちは、ゲーマー達が環境についてより幅広い教育を受け、刺激を受け、活性化されることを奨励するために業界をサポートすることを目指しています。これまでのところ、成功しているようです。」
26億人が世界中でビデオゲームをプレイしており、環境と保全に関心を持つ人が増えている。 2019年のUNEPレポート”Playing for the Planet” によれば、ビデオゲームを通じて数十億人も社会的および環境的課題の解決に関わることが出来る可能性があることを発見した。
ビデオゲーム業界の年間収益は1,400億ドルで、ハリウッドやボリウッドのエンターテインメント業界、それに音楽業界を合わせた売上総額を上回っている。 2017年には、6億6600万人が、YouTubeとTwitchで他人がゲームをプレイするのを観賞しており、これもまたHBO、ESPN、Netflixの合計視聴者数を上回っている。 UNEPの報告書によると、そのほんの一部の関心と業界の収益を地球に向けることで、現実の世界に多大な影響を与えることが出来るだろう。

地球のために遊ぶ

Space Ape Gamesは、UNEPの ”Playing for the Planet Alliance” というイニシアチブに参加する25のメンバーの内の1社。このイニシアチブは、ゲームの力を利用して気候変動への取り組みを促進することを目的としている。 2019年に開始されたこのアライアンスは、すでに9億7000万人以上のプレイヤーに届けられ、ゲーム会社は、グリーンアクティベーションをゲームに導入することや、排出量を削減することにより、地球環境アジェンダをサポートするなど、さまざまな取り組みを行っている。
このアライアンスは2020年の初めに「グリーンゲームジャム」というコンペティションイベントを開催し、11のモバイルゲーム会社が既存のゲームの1つにサステナビリティ関連の要素、いわゆる「グリーンナッジ」を追加するために競い合った。例えば、月曜日には肉類を食事から外す、自転車で通勤したり、緑の環境、ソーラーパネル、電気自動車をゲームに取り入れたりするなど、個人的な取り組みをプレーヤーに求めることが含まれている。
Space Ape Gamesは、「Transformers: Earth Wars」というタイトルのゲームのテーマに再生可能エネルギーを選んだ。リリースでは、善と悪の両方のトランスフォーマーが一緒になり、地球のエネルギー資源をより持続可能な方法で収穫するための新しいテクノロジーであると謳っている。
Mensah-Bonsuさんによると、同社はプレーヤーにも行動を促すフレーズを提供したいと考え、電球を白熱灯からLEDに切り替えることを誓約するよう求めた。
カリフォルニアを拠点とするPixelberry Studiosは、「Choices」というゲームにて気候変動に焦点を当てている。ゲームは、大きな魚の大量死があった沿岸の故郷に戻る若い女性を中心に進む。少女の妹は、地元の政治家や事業主からの懐疑的な見方にもかかわらず、大量死が気候変動に関連していると確信している。プレーヤーの役割は、妹がたくさんの人を集め、気候変動についての意識を高めるのを助けることだ。
Pixelberry社のライターの1人であるSaran Walkerさんは、気候変動に対する不安を経験している若い世代に関する数多くの記事を読んだと述べている。
※直近で行われたミレニアル世代に関する調査によると186か国で30歳未満の30,000人が気候変動と自然の破壊が彼らにとって最も重大な問題であることが確認された。
「私たちは皆、グレタ・トゥーンベリさんの話に勇気づけられました」と、ウォーカーさんは若きスウェーデンの環境活動家について語った。 「社内で子持ちの誰もが、自分たちの子供たちにどのような世界を残すのかを考えています。個人として実際に多くのことができることを人々に示したかったのです。」

業界の変化

ゲーム業界は、企業の事業活動や国民の日常生活などから排出される温室効果ガスの全量を、温室効果ガスの削減活動に投資することなどにより埋め合わせるという考え方の「カーボンニュートラル」、場合によっては温室効果ガス(特にCO2)を削減した際、ライフサイクル全体をみて、排出される量より吸収できている量が多くなっている状態の「カーボンポジティブ」になる方法も検討している。
現在は、年間5000万トンの電子廃棄物が発生しており、その数は2050年までに1億2000万トンに達すると予測されている。
ゲームを製造するSupercell社は現在、完全にカーボンニュートラルとなり、プレーヤーがゲームをプレイするときに使用する二酸化炭素を差引勘定することに取り組んでいるでおり、Rovio社とSpaceApe社も同様の行動を取ることを目指している。
Sonyおよび他のコンソールメーカーを含むグループの助けを借りながら、「Playing for the Planet Alliance」は脱炭素化の方法についてメンバーとガイダンス・案内を共有している。この提携は、業界向けの新しい炭素計算機を考案し、差引勘定に関する新たなガイダンスを作成し、炭素排出量の吸収に役立つ森林景観の回復に関する、新たな共同コミットメントを構築するのに役立つこととなる。
「私たちがこの道のりに出始めた時、この業界の他の人々も助けたかったのです」とMensah-Bonsuさんは語っている。 「私たち全員が自分の役割を果たせば、世界を変えることができます。」

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