八丈島・底土海水浴場のサンゴ礁が突然の一面白化、貴重な現地映像あり

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本州から南方に約300キロに位置する八丈島は、黒潮暖流の恩恵を受けた透視度の高い海と豊富な海の生き物に恵まれている。

底土ビーチ サンゴ,ダイビングショップアラベスク

ダイビングポイントとしては「底土海水浴場」と呼ばれ、ビーチエントリーで潜ると、この写真の様に見渡す限り一面のサンゴ礁が広がり、まるでサンゴの森を散策しているような気分になる。そんな美しいサンゴたちが、2020年10月中旬の現時点では白化しているというのだ。
今回の記事では、実際の状況を捉えた貴重な動画を提供してくださった自然写真家の関戸紀倫さん、現地ダイビングショップ「アラベスク」のオーナー・小金沢さんにお力添えを頂きながら、底土海水浴場で起きているサンゴの白化現象の現状をお伝えしていく。

底土海水浴場のサンゴ白化の様子、貴重な現地動画


この動画は自然写真家の関戸紀倫さんが2020年9月18日に撮影したもの。撮影の数週間前までは通常通り緑色のサンゴが、突然白化してしまったという。通常時のサンゴの様子と比べると白化の具合は一目瞭然だ。紀倫さんは自身のyoutubeチャンネル内で「動画をみて少しでもサンゴの白化、現在の環境問題を理解していただきたいです」とコメントを残している。

紀倫さん公式YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCdjN9oJfU1snw-ILOf0vFqA/featured

八丈島底土ビーチ、サンゴ、染谷遥

通常時の底土海水浴場のサンゴ

そもそも「白化」という状態は、サンゴが共生藻※を失う、または共生藻の色が薄くなる状態を指す。この状態になっても、サンゴはすぐに死ぬわけではないが、長く続くとサンゴは共生藻からの光合成産物を受け取ることができず、最終的には死んでしまう。サンゴ礁には地球上の海の生物のうち25%が生息しているといわれ、サンゴが死ぬことはその地域の生物の住処を奪い、生態系を崩すのはもちろん、私たちダイバーが楽しんでいる景観も奪う事に繋がると考えると、素知らぬ顔ではいられない。

▶︎関連記事:海水魚25%以上の種が生息する、地球の0.1%に満たないサンゴ礁のしくみ

※サンゴは体内に褐虫藻と呼ばれる直径0.01ミリメートル程度の小さな藻(共生藻)をたくさん住まわせており、体内の共生藻の光合成によって多くのエネルギーを得ているといわれている。

なぜ白化は起きたのか?そして私たちにできることは?

白化はなぜ起きたのだろう。海水温の上昇や海水の汚染など、サンゴ礁の白化には様々な要因があるため、一概に断定することは難しいが、今年の八丈島の海洋状況について現地ダイビングショップ「アラベスク」のオーナー・小金沢さんに“現地で起こっている事実”にフォーカスしてお話を伺った。実際に現地で起こっていることは以下の通り。

・9月まで台風の接近がなく、海水がかき回される事がなかった。
・夏場の陸上の気温が例年より1~2℃高く、海水面が温まりやすい状況だった。
・黒潮が大きく南まで蛇行する黒潮大蛇行が長期間継続している為、冷水塊が入らず平均的に暖かい水温が続いていた。
・初夏以降、例年より天候が安定している日が多かった。

上記の事象がサンゴの白化に関連しているかどうかは断定はできないものの、気候や海流には変化が起きていることは事実としてありそうだ。では、サンゴの白化を食い止めるために、私たちができることは何だろうか?問題解決のプロセスと同じで、まずは現状を正しく理解し、サンゴを知ることが重要なのか?わたしたち一人ひとりが関心を持ち、足を止め、考える、という地道な草の根的活動はサンゴ礁の未来にきっと影響していくはずだ。

自然写真家・関戸紀倫さんプロフィール

フランス人の父、日本人の母の間に生まれ、生まれて間もなくパリに移り、10年間フランスで生活。写真家でダイビングインストラクターの父の影響で幼少時より自然が多い環境で育ち、後に自身もダイビングインストラクターへ。2013年には、オーストラリアのダイビングクルーズ船にてインストラクターとして働く傍ら、船内販売用の写真を撮影するように。販売の他、自身のソーシャルネットワークにも写真を投稿するうちに『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』と多くの人に紹介するのが楽しくなり、2014年10月にクルーズ船の仕事を終えたのちに、念願の一眼レフを入手。帰国前にオーストラリアを一周することに決め放浪の旅に出る。現在は、自然写真家として水中写真や陸の風景写真をメインに世界中を撮影し活躍中。自然を守るために、自分の生活の中で何ができるかを考え、撮影した動画『A message from our lovely nature〜我々が愛する自然からのメッセージ〜』はダイビングフェスティバル2020でも大きな話題に。

■Instagram
https://www.instagram.com/wildkirinphotography/

八丈島ダイビングショップ・アラベスクのご紹介

八丈島一筋でガイドをしてきた小金沢昌博さんが2015年9月に設立したダイビングショップ。居心地のいいお店は女性にも大人気。白で統一した店内は、天井吹き抜けの広々とした空間が広がり、まるでカフェにいるかの様なおしゃれな雰囲気。ウエットスーツのまま出入りできるつくりになっているなど、使い勝手も◎。脱水機があり、女性ゲストにも大評判の各種アメニティやフリードリンク、タオルの貸し出しなど、嬉しいサービスも豊富!

八丈島ダイビングショップ アラベスク
〒100-1401
東京都八丈島八丈町大賀郷363-1
・E-mail:arabesque8.2015@gmail.com
・Tel:04996-9-5838
・営業時間 7:30〜21:00

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PROFILE
アウトドアレジャー予約サイトの取材ライター出身。いままでに取材した日本全国のアウトドアカンパニーは130社ほど。ネットワークを活かした記事作りが得意!?かもしれない。一番好きなアクティビティはダイビング!とは言い切れないかもしれない。
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