自然写真家・関戸紀倫氏 待望の初写真集「Sauvage」を5/1リリース!

自然写真家として、国内外の海・陸の撮影をしてきた関戸紀倫氏(以下、関戸氏)。2023年5月1日、待望の初写真集「Sauvage」がリリースされた。ほとんど誰も人が入らない日本の南太平洋のとある海域を、数年かけて撮影した大作。収められている作品はすべて未発表のものなので、この写真集でしか見られない。今回、本写真集に込めた想いを関戸氏にも直接伺うことができ、最後には、関戸流おすすめの読み方まで教えてくれた。

「Sauvage」とは

本写真集のタイトルは、「野蛮」や「野生」という意味を持つ、フランス語の「Sauvage」。関戸氏がフランス人のハーフということも、この名が付けられた由縁だ。

編集部(以下、——)

初の写真集とのことですが、この写真集に込めた想いを教えてください。

関戸氏

私は、写真家として活動をし始めた時から、主に自然をテーマに世界中の海、陸を撮影してきました。写真家として活動してきた7年の間、多くの方から「写真集があったら買いたい」と言っていただくこともありました。もちろん、今まで撮影してきた写真を集めれば作ることは可能だったのですが、自分のキャッチコピー”Wildkirinphotography”に相応しい、自分にグサッと刺さるような写真集のテーマが見つかってから作りたいなと思っていました。過去にはオーストラリアやアフリカの誰もいないところで野宿をして撮影したこともあったのですが、写真集制作に踏み切るまでにはいかなかったんです。

——

では今回撮影した海は、関戸さんの写真家人生の中でも、相当な影響を与えた海だったのでしょうか?

関戸氏

今の時代、なんでもやりたいと思ったことが簡単にできる世の中です。昔は、食べ物を手に入れるにしても武器を作って命懸けで狩りに行く、人間もある意味、野蛮だったと思うんです。しかし、今となっては、人間が自然の中に足を踏み入ることで、野生本来の荒々しい野蛮さを失っていったような気がしています。

そんな中で、未開の地の生き物はどのように生きているのか?また、どのような世界なのかを見てみたいと思いはじめました。そう思っていた矢先、日本の南太平洋のある海域で、「ここだ」という海に出会ってしまったんです。まさに、”Wildkirinphotography”の原点とも言える海がそこにはありました。この海は入った瞬間に、人間を見たことがない魚がバーっと寄ってきて、その魚の目は、普段ダイビングをする海で見る魚の目とは違う感じ。「これが本来の大自然なのか」、「なんてワイルドで野蛮な世界なんだ」と思わせるようなシーンがいくつもありました。

——

想像できるような、できないような海…。「Sauvage」というタイトルにされた理由も納得です。

関戸氏

タイトルに関しては、実は、「野生」や「Wild」という言葉も候補でした。でも写真集で「野生」と聞くと、なんとなく景色のイメージがすぐに湧いてしまいませんか?それでは、つまらないなと思い、「野生」をフランス語に言い換えると「Sauvage」なのですが、実は日本語に翻訳すると「野蛮」。この言葉なら景色のイメージがしづらいというか「野蛮ってなんだろう?」と疑問を抱いてくれるかな、と思ったんです。しかし、漢字で「野蛮」の文字面だけを見ると、ちょっと怖いニュアンスもある気がしましたが、フランス語で「Sauvage」だと違和感はまったくないので迷わずに決めました

——

写真集の内容がとても気になってきました…。どのような内容か少し教えていただけますか?

関戸氏

今回撮影した海の写真は、圧巻の群れの景色もあれば、少しマニアックなものまで、「Sauvage」という名に相応しい、かなりいいものが撮れました。その他にも、撮影に使用したダイビング器材やカメラ機材の写真を入れたりして、ストリートファッション的な、かっこいい雰囲気の写真集にしました。ダイビングや自然が好きな方にはもちろん、普段自然に触れる機会が多くない方々にも写真集を見てもらいたいという思いがあったので、プリンティングディレクターの望月さんと何度も相談しながら、コラージュで写真を並べたり、写真集全体のデザインにもとことんこだわっています

——

最後に、どのような方に読んでほしいですか?

関戸氏

自然の本来の世界を思い出してもらうきっかけ、そして環境汚染で失われつつある美しい自然に対して自分に何ができるか考えるきっかけになったらいいな、と思いながらシャッターを切りました。普段仕事で旅ができない方やSauvageな世界に行けない方々にぜひ見ていただき、美しい本来の自然を後世に残していきたいと思っています。

ちなみに、この写真集を見ていただく際には、ぜひちょっと暗めなトーンのライティングしてある部屋でゆったりとしたソファーに座って、ブランデーを飲みながらお楽しみください!より一層、写真集の世界観と一体となってお楽しみいただけると思います。

——

写真集ではありますが、非日常的な体験ができそうですね。手に取るのが待ちきれません!関戸さん、ありがとうございました。

余計な装飾を省き、仕上げの質感にこだわったデザインも、写真本来の美しさにこだわる関戸紀倫ワールドを表現。自分磨きや人生観を求める方々にも、ぜひ手にとっていただきたい一冊だ。日本の未知なる海域を、この写真集と共に旅してみよう。

2023年5月1日より販売開始!


発売:2023年5月1日(予約受付中)
価格:¥5,500(in tax)
判型:A4変形・スリーブ入り
頁数:64P
収録作品:89点
アートディレクター:Etsuko Obata
プリンティングディレクター:Makoto Mochizuki
印刷・製本:MOZMAC Ltd,
購入はこちらから
関戸紀倫 写真集【Sauvage】 | 自然写真家 関戸紀倫 公式オンラインショップ (thebase.in)

Profile 関戸紀倫

関戸紀倫
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
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PROFILE
0歳~22歳まで水泳に没頭し、日本選手権入賞や国際大会出場。新卒で電子部品メーカー(広報室)に入社。同時にダイビングも始める。次第に海やダイビングに対しての想いが強くなりすぎたため、2021年にオーシャナに転職。ライターとして、全国各地の海へ取材に行く傍ら、フリーダイビングにゼロから挑戦。1年で日本代表となり世界選手権に出場。現在はスキンダイビングインストラクターとしてマリンアクティビティツアーやスキンダイビングレッスンを開催。
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