世界最大の障がい者ダイビング指導団体、HSAの日本支部が発足!

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HSA

2015年8月、世界最大の障がい者ダイビング指導団体、HSA(Handicapped Scuba Association) の日本支部HSA JAPANが発足しました。

■HSA JAPAN
http://www.illotes.ne.jp/

その活動の意義や今後の展開など、HSA JAPAN事務局の太田樹男さんにお話をお聞きしました。

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―――そもそもHSAとはどういう組織なのでしょうか?

カリフォルニア大学アーヴィン校にて研究が始まり、1981年に障害を持つ人々にスキューバダイビング教育を行うスポーツダイビング指導団体としてスタートしました。

現在のHSA代表はNAUIインストラクターのジム・ギャタクレー(#6969)で、世界30カ国以上に支部や拠点を持ち、世界中にHSAインストラクターがいます。

今年、日本支部も承認され活動を本格化させていきます。

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―――なぜ、日本支部を作ろうと思ったのでしょうか?

来年度より施行される障がい者差別法により、各事業者も「障がい者だからできない」と区別されることなく、すべて国民が平等に享受できるようにしなければいけなくなります。

しかし、現状では所属するインストラクターの一般的な知識のみでダイビングをしていることが多く、前述したように障害に関する専門的な知識や対応、対策がなされないままお互いに多くのリスクを抱えた状態でCカード取得やファンダイビングを実施しています。

現状の指導団体ではカバーしきれない、障がい者や不安をかかえるシニア層に対して、医学的知識とそれに伴う潜水技術を習得したインストラクターやダイブバディーを養成する必要性を感じています。

そこで、HSAのプログラムを導入する事で、障がい者ダイバーはもとより、すべてのダイバーがより安全に、そして快適にダイビングを楽しんでいただく事が可能となります。

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―――以前から、日本でも障がい者ダイビングの活動はありましたよね?

実は、HSA JAPANは、1990年にJULIA(日本水中指導者協会)が窓口となり、日本支部をスタートしました。

当時も大きな話題となり、新聞、テレビなどに障がい者ダイビングが取り上げられました。

日本での障がい者ダイビングをスタンダードにし、今では障がい者の代表的なレジャーになるまで発展した功績は非常に高いと思います。

しかし、諸問題により解散をすることになり、社会的な需要もあり、環境を整えて、HSA JAPANとして、改めて発足するに至りました。

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――今後、日本ではどのような活動を予定していますか?

30年余りの障がい者の方々の膨大なデータをもとに、日本での障がい者ダイバーの特性を鑑みて、それぞれの障害別にトレーニング方法などを随時公開していきます。

各団体のインストラクターの方がそのマニュアルを参考に現行の団体のトレーニングと組み合わせていただき認定していただく事も可能です。

また、各団体でウェーバーになり認定が厳しいと判断された方々は、直接、HSA認定を実施してください。

今後、HSA JAPANでは「インストラクターコース」、「ダイブバディーコース」、「推奨器材の紹介」、「ハンディキャップダイバー対応の旅行の紹介」など、総合的なサポートを実施していきます。

またHSAジャパンに加盟のインストラクター、バディの活動中、万が一のことが起きた時のために、賠償責任保険、傷害保険などのサポートも整備されておりますので、現状の団体保険でカバーしきれない障がい者ダイバーのスクール時にも対応していきます。

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―――HSA JAPANの活動のために必要なこと、課題は何でしょうか?

次世代に引き継ぐためにも、形式にとらわれない組織作りをしていかなければいけません。

また、ハンディキャップダイビングをさらにスタンダードにするために、全国でセミナー開催や学校関係とも連携し、福祉教育やリハビリ分野などの連携も必要と感じます。

そのためのHSA専属の職員や運営費などの課題はあります。

―――一般ダイバーが関われることはありますか?

ハンディキャップダイビングはボランティアの方々の協力が必要不可欠です。

ダイビングを始めたばかりの方でも、陸上での着替えやトイレ、シャワーの誘導、トランス、エントリー・エキジットのヘルプなどがあります。

専門的な知識がなくてもHSAインストラクターの指示のもとお手伝いいただく事が可能です。

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2015年8月に、ダイブバディーサポート講習会が実施され、4名のダイブバディーが誕生。

2016年3月にも日本初のインストラクター養成コースと障がい者ダイバーをサポートするダイブバディコースも開催予定など、活動も本格化してきたHSA JAPAN。

オーシャナでも、今後、活動内容やスケジュールをお伝えしてきますので、ご興味のある方はぜひ参加してみてください。

■HSA JAPAN
http://www.illotes.ne.jp/

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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