由比ガ浜に漂着したシロナガスクジラ〜解体の様子と越智カメラマンからのコメント〜

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鎌倉・由比ガ浜に現れたクジラは
シロナガスクジラの赤ちゃんだった

2018年8月5日、由比ガ浜に体長10メートルほどのクジラが漂着しました。

馴染みのある海水浴場に、巨大なクジラ・・・。
報道された非現実的な光景に驚きました。

翌6日には、海生哺乳類学の専門家、国立科学博物館の田島木綿子研究主幹によって、オスのシロナガスクジラと同定されています。

シロナガスクジラ死骸漂着 鎌倉「全国初」と博物館
2018年8月5日14:30ごろ、神奈川県鎌倉市坂ノ下の由比ガ浜海水浴場近くの海岸にクジラの死骸が漂着。国立科学博物館が調査した結果、シロナガスクジラだったことが6日に分かった。
国内の海岸に打ち上げられたのは全国初となる。
胸びれや体形などの特徴がシロナガスクジラと一致し、死後数日~数週間程度と判明。体長約10メートルで、大きさなどから生後数カ月の子供が何らかの原因で親から離れたと考えられるという。

日本経済新聞

25mプールが泳ぐ!?
絶滅危惧種・シロナガスクジラ

シロナガスクジラは、体長21〜26m、重さ90〜125tにもなる地球最大級の動物です。
(参考:国立科学博物館 海棲哺乳類図鑑 シロナガスクジラ

あまりの大きさに想像するのも難しいですが、小学生の頃に泳いだ25mプールがそのまま大海原を泳いでいるさまを想像してみてください。
・・・とんでもない大きさです!

そして、絶滅危惧種に指定されており、その生態も謎が多い存在です。

シロナガスクジラ解体の様子を
丸山さんに聞きました

6日の解体作業の写真を撮影された、丸山太一さんにお写真をお借りしました。

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丸山さんは、実物大展示が可能なシロナガスクジラの全身合成画像の提供を行っているほか、スリランカでシロナガスクジラとマッコウクジラの撮影取材も行っています。

当日の様子を聞きました。

丸山さん

自分が行った時には、解体作業がはじまったあたりでした。
近くに行くと、それなりに生臭い匂いがしました。
海水浴をしているビーチの端あたりなので、常に一定数の人たちが興味深そうに周りに集まり、写真を撮ったり、状況を注視していました。

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解体の様子の詳細を見たい方は、丸山さんのブログをご覧ください。

シロナガスクジラについて
越智カメラマンからコメント

トンガでホエールスイム中の越智カメラマンに連絡をとり、シロナガスクジラと泳いだ体験と今回の漂着を受けてのコメントをもらいました。

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越智

シロナガスクジラは、スリランカと南オーストラリアで、親子でいるところを撮影したことがある。
子クジラと言っても、生まれた時点ですでに10m近くある。近くで全身を見たら、やはり「でかい!」って感じるとは思うんだけど、親が悠然としてるのに比べて、母親のペースに合わせて一生懸命にフィンを動かしている姿は、愛らしい。ちょこまかした忙しない動きで、微笑ましかった。

ただ、初めてザトウクジラを海中で見たときに感じた優雅さや神々しさは感じなくて、その体型から、哺乳類というよりは巨大な爬虫類のように見えた。
「あー、恐竜が生きていたら、こんな感じなのかなー」と思いながら、撮影したのを覚えている。

今回打ち上げられていたのは、体長が10mらしいので、まだ、授乳期の子クジラでは無いかと推測する。
何かの原因で、母親とはぐれてしまい、充分にオッパイが飲めなくなって、弱ってしまい、死んでしまったのか、何が原因で打ち上げられたのかは、想像の範囲を超えることはできない。

しかし、シロナガスクジラが打ち上げられるのは、多分とても珍しく、生息数が増えてきていることも、原因の1つなのかもしれないなと、思ったりもする。つたない知識とほんの少し一緒に泳いだ経験しか無く、大した話はできないけど、今回のニュースを聞いてそんな事を考えたりした。

毎年3〜4頃には、越智カメラマンが親子クジラと泳いだスリランカのツアーが開催されています。
すぐ埋まってしまうので、問い合わせはお早めに!

以外と多い!?
海棲哺乳類のストランディング

日本の沿岸には、様々な生物が漂着しています。

中でも、クジラやイルカ、その他、海棲哺乳類が打ち上げられることをストランディングと言います。

今回のシロナガスクジラののように死亡してから打ち上げられるケース(漂着)も生きたまま打ち上げられるケース(座礁)も同様にストランディングと呼ばれます。
また、複数の個体でストランディングすることをマスストランディングと呼んでいます。

国立科学博物館の海棲哺乳類ストランディングデータベースには、2017年には139件が登録されています。

イルカなどの小型クジラが多い中、今回のように絶滅危惧種のシロナガスクジラが漂着するのは極めて珍しいでしょう。

解体後、標本にして研究に役立てられる予定というシロナガスクジラ。
続報を待ちましょう!

■クジラの座礁に関する過去記事はこちら

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PROFILE
1984年生まれのイルカ・クジラ好き編集者。高校2年生でダイバーデビュー。

ダイビング誌や主婦誌の編集部、雑誌&書籍を手がける編集プロダクションなどを経て、WEBメディア編集へ。オーシャナ元編集長。

現在は、WEB編集を中心に、書籍・パンフレット編集、イベント・商品企画など、多方面で活動中。

ファンダイビング中に手軽にゴミが拾えるメッシュバッグ・オーシャンバッグプロジェクト進行中。ダイビングプラットフォーム・Scuba Monsters準備中。
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