【ニュース】鹿児島県南さつまにマッコウクジラが打ち上がる

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南さつま市に打ち上がったマッコウクジラの様子とは?

2019年2月15日、鹿児島県南さつま市小湊で、マッコウクジラが打ち上がっているのが発見されました。2019年2月16日にその様子を撮影された、Scuba Diving Shop SBの松田康司さんにお話を聞きました。

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発見時の様子を教えてください。

松田さん

2月15日に地元の漁師さんが、小湊という港の堤防の外、水際から100mほどのところで浮いているのを発見しました。
遠浅の海岸なので、満潮時でも水深2mあるかないかのところです。

漁師さんから聞いて、僕が写真を撮りに行ったのが2月16日です。
10〜12時の干潮時です。体長は8mほどでした。

マッコウクジラの体長は、大人のオスで15〜18m、メスで11〜13m程度。(参考:国立科学博物館「海棲哺乳類図鑑」
大きさから察するに、子どもかもしれないですね。
撮影時の状況を教えてください。

松田さん

昨日までは生きていたようなんです。
まだ、大きく崩れてはいませんでしたが、波や砂で削れたのか、皮膚が白くなっている箇所がありました。
もともと、クジラやイルカが上がりやすい地域ではあるんです。
ホエールウォッチングが行われていた時期もありました。

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2002年には、小湊干拓海岸に14頭のマッコウクジラが集団座礁。当時は、大きなニュースになりました。
今では、そのうちの1頭の骨格標本が「くじらの眠る丘」に永久保存されています。

他にも、様々な種類のクジラやイルカなどが打ち上がっています。

2013年4月26日 スジイルカ31頭
31頭のイルカが海岸に打ち上げられているのが見つかった。水族館の職員によると種類はスジイルカ。生存していた2頭は海に戻されたが、29頭は死んでいた。


日テレNEWS24

2017年3月10日 マッコウクジラ6頭
万之瀬川河口近くの砂浜にマッコウクジラ6頭が打ち上がっているのを発見。(少なくとも4頭が死亡)いずれも体長8m前後で性別不明。


産経WEST

松田さん

水族館や大学の方々が、調査研究されていますが、原因ははっきりしていません。

僕も個人的にデータを取っていますが、潮まわりが影響しているのではないかと思っています。

1〜3月って、日にちにして90日ほどありますが、その中の10日くらい。つまり10/90の日数に集中しているんです。
上弦の月〜満月の期間、中潮・小潮・長潮・若潮に入るあたりでストランディングが起こっています。

2年前のマッコウクジラが打ち上がった際も撮影に行きましたが、その時も今回も、潮まわりは同じ環境でした。

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もし、海岸でイルカやクジラを発見したら、どう行動したらいいのでしょうか?

松田さん

不用意に近づかないよう、気をつけて下さい。
撮影時も、遠巻きに小一時間ほど見守りましたが、動かなかったので写真を撮りに行きました。
巨大な生物なので、生きている時に近づくと危ないんですね。

尾びれに叩かれると危ないです。
また、浮いては移動して、また沈んで……と動いているので、巻き込まれたり、乗られたりする可能性もあります。
基本的には近づかないほうがいいでしょう。

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松田さん

よく、座礁については記事等で紹介されるんですが、“その後”にもぜひ注目してもらいたいと思っています。
自然に放置するわけにはいかないんです。
腐敗が進むと、悪臭や油による汚染などの問題も出てきます。

実は、2002年に14頭のマッコウクジラが座礁した際には、行政は思わぬ出費を被ったようなんですね。巨大なので、処理をするにも重機を投入したり、人出も必要になります。
研究者からすると資料として採集したいわけですが、行政としては海洋投棄を選択せざるを得なかったりもする。海を観察するものをしては、その理由を知る手がかりが欲しいところですが……。

ありがとうございました。

今回のマッコウクジラがどうなるかは、まだ分かっていませんが、見守っていきたいと思います。

■情報提供 Scuba Diving Shop SB (スマイルビームス)

鹿児島(撮影:越智 隆治)

松田康司さん、環さん御夫婦とスタッフガイドの射手園さん3名のアットホームなDS。鹿児島市内にあるダイビングショップで唯一、自社ボート(ブラックパール号)を所有。船長は松田さんのお父さんの俊一さん。
桜島を仰ぎ見て潜る超個性的で独特な海、錦江湾だけでなく、外洋で透明度の高い南薩摩の海専用の小型ボートも所有。

ボートダイビング、ビーチダイビング両方対応してもらえる数少ないDSだ。オーナーの松田康司さんは、ガイド会にも所属し、錦江湾の海中の四季を捉えた写真は、他の海ではあまり目にすることが無い不思議な光景で、とても興味深く、撮影意欲を掻き立ててくれる。

錦江湾でのマニアックなダイビングから、南薩摩の明るい海でのファンダイビングまで、どんなダイバーにも、対応してくれるダイビングサービス。

〒891-0144 鹿児島市下福元町7641
TEL/FAX:099-262-5838
営業時間:10:00~19:00
店休日:毎週火曜日(夏季7月~9月無休)
http://sb-diving.sakura.ne.jp

■Scuba Diving Shop SBに関する過去記事はこちら

■クジラの座礁に関する過去記事はこちら

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PROFILE
1984年生まれのイルカ・クジラ好き編集者。高校2年生でダイバーデビュー。

ダイビング誌や主婦誌の編集部、雑誌&書籍を手がける編集プロダクションなどを経て、WEBメディア編集へ。オーシャナ元編集長。

現在は、WEB編集を中心に、書籍・パンフレット編集、イベント・商品企画など、多方面で活動中。

ファンダイビング中に手軽にゴミが拾えるメッシュバッグ・オーシャンバッグプロジェクト進行中。ダイビングプラットフォーム・Scuba Monsters準備中。
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