「宮古島フォトコンテスト2018」入賞作品発表! 古見きゅうさんからの寸評と受賞者のコメントも
今年もやってきました、「宮古島フォトコンテスト」の季節!
毎年素晴らしい入賞作品の数々で、ダイバーのみならず多くの人々を楽しませてくれるこのコンテスト。
今年はどんな作品が選ばれたのでしょう?
2018年の入賞作品を、審査員・古見きゅうさんの寸評と入賞者の喜びの声とともに発表します!
グランプリ
「栖」宮坂真由美
古見さん
洞窟の内部から上を見上げるように撮影されたのでしょうか。光の部分、暗い岩の部分、そしてたくさんの魚のシルエットが幾何学的な模様を作り上げているようにも見えました。写真的に考えればもっと光の輝く部分を多く取り入れて「洞窟らしさを」出してしまいがだと思いますが、タイトルの「栖」が強調されて良い雰囲気です。横位置にしなかったのも正解だと思います。素晴らしい感覚だと思います。おめでとうございます。
宮坂さん
洞窟を進み、ふと振り返った先に見えたのは、まるで魚のおうちにお邪魔しているかのような光景でした。撮りたいと思ったままに撮った写真で賞をいただき、うれしくも驚いています。 宮古島の海の魅力を教えてくれたアクアストーリーさんと、写真の楽しさを教えてくださった皆さんのおかげです。ありがとうございました。
準グランプリ
「お行儀悪い子」加藤禎之
古見さん
ギンガハゼが何かを捕食している良い瞬間を捉えています。狙っていてもなかなか撮れる瞬間ではありませんが、いざそのタイミングがやってきた時に、チャンスを逃さずしっかりと捉えられた、撮影者の技術が光る作品です。縦構図で正解のお見事なカットです。
加藤さん
完全にイロモノ枠と思って応募したのですがまさかの賞をいただき大変恐縮です。
台風前後で大変な中で安全なガイドで写真撮らせていただいたアクアストーリーさんと宮古島に感謝です。
準グランプリ
「恵み」山口智子
古見さん
色合いの美しいシチュエーションを見つけ、ストロボ光もキレイに光は回っています。全体的にとてもバランスがよく、写真としてとてもまとまった作品だと思います。しかしながら、それ故に力強さが少し物足りない印象。光の強弱で立体感を出したいところです。
山口さん
大好きな宮古島の海の写真での受賞、大変光栄です。いつも的確なガイドをしてくださる fish a go go! の佐瀬ご夫婦と、豪華なランチが楽しみで年に数回通っています。この美しい宮古の海がいつまでも続くことを願うばかりです。
優秀賞
「光の王道」森下節子
古見さん
タイトルの通り王道です。太陽の位置、光の筋の強さなど見ているだけでも気持ちよくなる写真ですね。ただ、皆同じような写真を宮古島では撮っていると思うので、やはり単調というかインパクトには欠けます。例えば思い切り寄ったり引いたりしてみたりなど、もう一工夫欲しいところですね。
優秀賞
「竜宮城へLet’s go !」中障子重紀
古見さん
素晴らしい瞬間を見事に捉えています。このような瞬間に出合った時は、いかに落ち着いて、かつ素早く撮影ができるかがポイントです。カメの切り方もセンスがいいと思います。もう少し現像を丁寧に仕上げるともっともっと良くなると思います。
優秀賞
「流星に誓う」中障子亜希子
古見さん
奥行き感を感じさせてくれる、とてもおもしろい狙いなのですが、後ろの魚影をもう少し明確にすると、もっと流星の感じが出ると思います。背景を明るくするなど、露出の取り方を工夫してみてください。
優秀賞
「南の海のジェットバス」横尾裕美
古見さん
いい場所にいるヒトスジギンポに出会いましたね。かわいいです。普段は動き回っているので撮影するのも簡単ではありません。ここまでソフトコーラルに入り込んでいるというのも珍しいですね。良き瞬間にしっかりとシャッターを切る事ができる、技術の高さも感じます。
優秀賞
「summer!」ichi
古見さん
シンプルな構図でサンゴ礁の広がりをうまく表現できていると思います。が、手前側のサンゴの写り込んでいる量が多く、サンゴなのかハナダイなのか、はたまた太陽なのか?主題が分かりづらくなってしまっています。最も強調したいものをもっと強調してみると良いかもしれません。
優秀賞
「終の棲家”?”」大内一晃
古見さん
白化してしまったイソギンチャクに住み着いている、ハマクマノミの幼魚の物悲しさが表解されていると思います。これから命絶えるかもしれないイソギンチャクと、クマノミの幼魚の無邪気な姿がなんとも言えません。
優秀賞
「水中草原」甲田圭
古見さん
宮古島らしい洞窟の美しさをストレートに表現できていると思います。日光が差し込む場所だからこそ、ここまで美しい緑の藻が繁茂しているのでしょう。見ていて気持ちよくなる光景を自然な状態で写し撮れていますね。
優秀賞
「世界一美しいジャンケン」山田育美
古見さん
世界一かどうかは分かりません(笑)が、キレイだと思います。かなり綿密に作り込まれたシチュエーションなのでしょう。こういう水中写真の楽しみかたもありだと思います。
優秀賞
「きらきら、キラキラ」尾土井 悠
古見さん
光とキンメモドキのバランスが良いです。撮影者のセンスを感じさせてもらえる作品だと思いますが、もう少し手前にもピントが欲しかったですね。技術も感覚も優れた方だと思いますので、細部まできっちりと仕上げることを心がけてみてください。
優秀賞
「空高く」尾土井由香
古見さん
なかなか面白い瞬間を捉えていると思います。差し込む光が強すぎると洞窟内の岩が明るくなりすぎて雰囲気を損ねてしまいそうですが、実に良いタイミングで撮影していますね。穴に吸い上げられていくかのような魚群が美しいです。
優秀賞
「家族」藤田貴美子
古見さん
少しずつ動くアカハチハゼをうまくまとめています。動きが速いわけではありませんが、絶えず動き続けていることが多いので、良いタイミングでシャッターを切れました。前後のボケたアカハチハゼが効いて、中央の個体を際立たせています。
優秀賞
「笑顔が見える?」桐原利規
古見さん
最初は何が何だかわかりませんが、じっくり見たら笑顔が浮かんできました。写真は狙ったものが全てという訳ではありません。この写真にこの瞬間が写り込んでいて、この写真をセレクトして応募できたことに、とても価値があると思います。
ビギナー部門 最優秀賞
「大好きな家路」藤山幸広
古見さん
この写真が醸し出す雰囲気が良いですね。大きくボケの効いた絞りやカラフルなヒドロ虫類もよくマッチしています。被写体と向かい合う感覚はとても良いと思いますので、今後も様々な角度から海の生物を見つめてもらえたらいいですね。
藤山さん
このような素晴らしい賞を頂き、本当にありがとうございます。
ウミウシが、ヒドロが咲く道を歩いているのを見た時に、自分が子供の頃にも感じた、いつもお散歩している大好きな路。
大好きな家路へ向かう花咲く田舎道に見えて、題名を「大好きな家路」と名付けました。
地形で有名な宮古島という感じではないですが、一生懸命生きている、このような宮古島の小さな生物からも、私が大好きな宮古島の素晴らしさを、少しでも皆さんに感じていただけたら幸いです。
じっくりとマクロ撮影をサポートして下さったエミナマリンの松浦さま、スタッフの皆さま、ありがとうございました。
ビギナー部門 優秀賞
「青天」かな
古見さん
とてもストレートな写真ですね。間違いなく晴天の夏の気持ちいい海が伝わってきます。現場の水の温度や質感まで感じさせてくれるような、爽やかな作品です。横位置で撮影すると間延びしてしまいがちなシチュエーションですが、思い切って縦位置で太陽も入れ込んでいる事で奥行きも感じます。
ビギナー部門 優秀賞
「サラサゴンベ」井口奈緒
古見さん
ウミガメがサラサゴンベを見つめているかのような、とてもおもしろい瞬間を捉えていると思います。海の中でウミガメに出合うと、亀にばかり目がいってしまいがちですがその周辺を取り巻く生き物と一緒に映しこむ事で、写真の中に様々なストーリーが見えてくる事があります。サラサゴンベのボケ具合も絶妙で、説明的になりすぎていないところが素晴らしいです。
ビギナー部門 優秀賞
「バブルの散歩」椎葉純一
古見さん
穴の中から立ち上がるエアーの中を泳ぐダイバーを撮影した気持ちの良い写真ですが、もう一工夫欲しかったところ。もっと引いてダイバーをたくさん入れられる角度を探す、逆にもっと寄って泡を大きく写し込み、遠近感を創出するなど、色々トライしてみてください。
ビギナー部門 優秀賞
「青の世界の空中散歩」室谷香菜
古見さん
クラゲのふわふわと漂っている感じがとても心地良いです。ダイナミックな宮古島の中にあって、この空間だけ時間が止まっているかのような雰囲気が出ています。もう少し引いて、太陽と海の部分があってももっと良いかと思います。
ビギナー部門 優秀賞
「雲のような波しぶき」松谷千寿
古見さん
波が岩にあたり砕けるところを見上げたダイナミックな写真です。良いシチュエーションをセレクトしていると思いますが、右側二人の入り方が中途半端になってしまいました。思い切って切ってしまっても良かったと思います。
未来に残したい宮古島の海部門 最優秀賞
「時空の先へ」中瀬博一
古見さん
波風のない穏やかな海は文句なしに気持ち良いですね。べた凪の海を疾走するボートの船首から、海風も感じさせてくれる爽やかさ。写り込んでいる皆さんの高揚感も感じます。よき旅の思い出となるような素晴らしい記念の写真です。
中瀬さん
栄誉ある賞に選んでいただき、宮古島を愛する者として大変うれしく思います。
この写真はベタ凪ぎの八重干瀬で撮影したもので、揺らめく姿に自分が海の中なのか海上なのか、はたまた時間軸まで越えて行きそうな不思議な感覚だったのを覚えております。今後も美しい宮古島のために何か少しでも力になれればいいなと考えております。この度はありがとうございました。
未来に残したい宮古島の海部門 優秀賞
「サンセットタイム」鈴木美香
古見さん
夕焼けの美しさと、楽しい一日が終わっていくという寂しさが写真に現れているようです。楽しい一日を遊び疲れた人の後ろ姿と、ぽつんと取り残されたボールの哀愁が、写真から醸し出されています。
マリンダイビング賞
「ハンドパワー」寺村和章
昨年に続き、ビギナー部門とはいえ力作ぞろいで今年も正直、とても迷いました。そして改めて宮古島の海のポテンシャルの大きさ、自然環境の豊かさを感じさせてもらえるいい機会となりました。ご応募いただいた皆さま、ありがとうございます。
そんな中で、くすっと笑えてなおかつ宮古島らしさを表しているこの「ハンドパワー」という作品を選ばせていただきました。
モデルになられているのはガイドさんだと思うのですが、天井から射し込むスポットライトを手のひらに受け止めて、神がかった力を発揮されているようなこの写真。意
図して撮影しなければこんな作品にはならなかったのではないかと思うのですが、作者が「水中写真を撮る」のを楽しんでいらっしゃることがわかるような、素敵な作品だと思います。
これからもいろいろな水中写真を撮って、ぜひ『マリンダイビング』が開催している「地球の海フォトコンテスト」にもご応募いただければ幸いです!
古見きゅうさんより総評
今回初めて宮古島フォトコンの審査を担当させていただきました。
僕も毎年潜り続けている宮古島の海を、皆さんじっくりと潜り込んで撮影を行なっている様子が作品から伝わり、技術的にも上手くまとまった秀作が多く、選考には大変苦労しました。
しかしながら上位に食い込んでくるような、力強い作品はそれほど多くなかったのも事実です。
例えば宮古島の代名詞である地形ポイントがありますが、それをどう「自分の視点(オリジナリティー)」」で切り撮っているのか?ということが、もっとも大切なのかなと思います。
みんなと同じ場所で撮影していたとしても「自分の視点」を大切にしてください。目の前の広がる光景だけでなく、上下左右前後にも神経を張り巡らせてみてください。もっともっと自由で楽しい「自分の視点」を見つけることができれば、どんどん写真の楽しさが倍増してくると思います。
オーシャナ 山本編集長から総括
受賞者のみなさん、おめでとうございます!
回数を重ね、ますます盛り上がりをみせる「宮古島フォトコン」。
今回、はじめて審査を担当された古見きゅうさんからは、辛口ともとれるコメントが並びましたが、熱意をもって撮られたみなさんの作品が、古見さんの水中写真への思いを刺激したからこそ生まれた、愛のムチなのだと思います!
受賞作を眺めていると、宮古島の海のポテンシャルの高さがうかがえます。
洞窟の光や生物の生態描写など被写体は多岐に渡りますが、出会えた幸運を逃さず、作品に昇華できたものが多かったですね。
この美しい宮古島の海をフィールドに、撮影者がそれぞれ、自分の視点で海と向き合い、どう作品を仕上げていくのかーー。フォトコンは、技術と感性、どちらが欠けても上位に食い込むことは難しいと思います。
そして、より良いタイミングで撮影に臨むには、宮古島の海を熟知するガイド陣の力が欠かせません。その点、熱意あふれるショップ様に思う存分頼って(笑)、作品作りに邁進しましょう。
この、「宮古島フォトコン」の受賞作品からは、水中写真を思い切り楽しむダイバーひとり一人の「楽しい!」という気持ちが伝わってきます。
めでたく受賞された方も、惜しくも受賞ならなかった方も、その興奮を忘れず、これからも水中写真を楽しんでください。
最後に一言・・・、心の叫びを言わせていただいていいですか・・・。
「宮古島、行きたいっ!!!」
受賞作品展示情報
12月10日~12月27日
宮古島市役所1Fメインホール
(沖縄県宮古島市平良字西里186番地)
12月27日~2019年1月10日
宮古空港1Fロビー
(沖縄県宮古島市平良字下里1657番地128)
2019年4月5日~4月7日
マリンダイビングフェア宮古島ブース
(池袋サンシャインシティコンベンションセンターTOKYO文化会館C)
2019年4月中予定
永田町OCEAN
(東京都千代田区平河町2-6-4海運ビル地下1階)
フォトコン参加ショップ一覧
アイランドエキスパート | アクアスター | アクアストーリー |
エミナマリン | 宮古島サマーパーティー | タイムマリン宮古島 |
Fish a go go! | ブルーフォレスト宮古島 | マリンズプロ宮古 |
マールプロモーション | 山本大司潜水案内 |