6日間周期が生み出す“住みたい”空気@小笠原
しばらく記事を書いていなかったら、
まこ社長や和尚に「Dコミュ隊員から削除するぞ」と脅されるはめに…。
ということで、生き残りをかけて、ふだん取材している南の島について定期的に書いていきます!
さて、ここ数カ月、小笠原諸島のガイドブックを作っています。
ご存じの方も多いと思いますが、
小笠原は6月末、ほぼ間違いなく世界遺産に登録されます。
日本の観光地のなかでは、今年、最も注目のエリアといっていいでしょう。
小笠原は東京からおよそ1000㎞、
25時間半の船旅でしかアクセスできない海洋島です(まあ小笠原も東京都ですが)。
唯一の旅客船おがさわら丸は、6日間周期で東京の竹芝と小笠原諸島の父島を結んでいます。
ということは6日間、12日間、18日間…と、
6の倍数でしかスケジュールを組めないわけです。
6日間の場合、およそ2日間は往復の船旅にとられるので、
実際に現地で遊べるのは3泊4日。これはハードルが高い。
それでもおがさわら丸に乗ると、「毎年来てます」とか「小笠原6回目です」なんて方がいっぱい。
まさに”一度行ったらハマる島”なんですね。
ただリピーターの皆さんに「小笠原の魅力は?」と聞くと、なんだかよく分らない。
「空気」とか「人」とか「色」とか「時間」とか…。いや、本当にそんな感じの答えなんです。
僕としては小笠原の魅力は「かわいいイルカ」とか「迫力のザトウクジラ」とか、
「感動のサンセット」とか、そんな答えを期待しているのですが、
色や空気、人なんていわれても文字では表現しにく過ぎる。
なかには「船旅」って答えた方もいましたが、
こうなるともう小笠原は関係なくなってますから。
ただ、実際に小笠原に行くと、確かにゆったりと時間が流れ、のんびりとした空気が漂っています。
島って大概そんなものですが、小笠原はほかの島々よりもその傾向が強い気がします。
歴史や地理の影響もあるんでしょうが、
僕は何よりも6日間周期の定期船に理由があるんじゃないかと思うんです。
例えば内地から大切なものを取り寄せたとして、何かの理由で届かなかったら、
次に届くのは早くても6日後。となると「まあいいか」、「大丈夫、大丈夫」という、
ゆるやかな時間の感覚が必要になってきますよね。
沖縄の「なんくるないさ〜」とかタイの「マイペンライ」に近い感覚です。
そんな島の人たちの時間に対する寛容さが、居心地のよさにつながっているのでは?
「世界遺産の貴重な自然」や「イルカ&クジラ」よりもさらに大きな魅力が、
“島を包む空気”って、なんだか素敵ですね。
僕は”住みたい”と思えることが、観光客にとって過ごしやすい条件のひとつだと思っています。
小笠原はまさにそんな場所。暮らしているように過ごせる居心地のいい島の魅力を、
これから何回かに分けて書いていきます。