【三保】晴れ間 by 鉄多加志
真崎の浅瀬には、エラコの仲間と思われる群生が見られます。しかし一部を残して、先々週の時化で飛ばされてしまった場所もありますが、なかなか見応えのある風景です。
冬の間は、生物の隠れ家としての機能はありませんでしたが、春くらいからボチボチこの場所を揺り籠として利用する生物が増えてきました。そうすると、またこの場所の位置感というか、見え方が変わってきます。
そして、ここ数週間で目につくのが、オオモンハタやアナハゼ、ハオコゼなどの捕食者です。不思議です。幼魚や若魚とはいえ、何故?こやつらが、この場所の利用者なのか?
モンモンとしながら、過ぎること数週間、ついにその理由が分かりました。大抵の生物は、エラコの鰓冠を引っ込めると、見つかったと思う拍子にパっと逃げ出します。ところが、アナハゼもオオモンハタ、ハオコゼも姿が露になって、こちらがガン見しても頑にジっとしているんです。
増々不思議!
おやぁ〜?でも何かオカしぃぞ。
はっはぁ〜、オオモンハタの幼魚のポッコリとしたお腹を見て謎は解けました。
そうです、ここを揺り籠にしている生物やエラコの鰓冠に隠れて餌を狙っていたのです。
「かぁ〜っ!頭いぃ〜なぁ〜」
この数週間「?」だらけで、暗雲のたちこめていた思考に一筋の光が差し込み、次第にそれが広がり、考察が一気に証明に至った瞬間です。
まぁ、野生の生物なんて喰うかヤルかのどちらかで、生活のスタイルを決めている訳ですから、そのどちらかが絡んでいて当然ですが、揺り籠を「墓場」にしているとは...恐れ入りました。
そんな隠れ蓑になっていたエラコも産卵していました。普段はあまり意識していませんでしたが、この場所は、積極的に生きる!て事が、凝縮された所だったんですね。
※この記事はmixiのコミュニティ「現地プレス」第14号 タイトル「晴れ間」より転載させていただきました。こちらのコミュニティも併せてご覧ください。
PROFILE
鉄多加志
Takashi Tetsu
出身地:海、血液型:海水
と根っからの海人間、テツさん。
景勝地「三保の松原」のある三保半島に生息し、
日夜地元の海に潜って生物を観察する事をライフワークとしている。
ライスワークも海の中でのお仕事なので
(1978年創業の老舗ダイビングショップで
インストラクター&ガイドとして活躍)、
かなり塩漬けな半生を送っている。
東海大学海洋学部の講師でもある
ブログは
http://blog.goo.ne.jp/under-w/
http://ameblo.jp/g-iron/
ダイバーズ・プロ アイアン