磯遊び・シュノーケリングで会える海の生き物30選 ~見つけ方と安全に遊ぶコツ~

(写真/坪根雄大)

いよいよ夏本番! この季節、親子や仲間で野外に遊びに行くなら、近場の海での磯遊びはいかがでしょう。潮だまりで手軽に生物観察をするのもよし、シュノーケリングで海の中をのぞくのも楽しいですよ。

生き物探しのコツを知ろう!

海岸にはたくさんの生き物が暮らしています。でも、みんなかくれんぼ上手なので、ただ眺めているだけでは見逃してしまうかも。どうすれば発見できるかポイントを押さえておきましょう。

磯や浅瀬の環境を知る

生き物たちは、それぞれ好みの生息場所があります。まずは、磯や海岸、浅い海の環境について知っておきましょう。

葉山・芝崎の磯

磯遊びやシュノーケリングのスポットとして知られる葉山・芝崎の磯。大潮の干潮時で、磯が広く露出している。この海域は町の天然記念物に指定され、生物や鉱物などの採集は厳禁!(写真/山本真紀)

【岩礁】
海岸に下りてみると、そこには岩の亀裂や裂け目、くぼみや穴など様々な「隠れ家」があります。カニやウニが潜んでいるかもしれません。

【潮だまり】
潮が引いた磯では、あちらこちらに水たまりが残されています。タイドプールともいいますが、いわゆる潮だまりですね。しばしば小魚が取り残されていますし、海水を求めて逃げ込んだエビやカニ、ヤドカリなどもいるでしょう。

【浅い海】

ホンダワラの仲間

浅い海底には、海藻が繁茂した藻場がしばしば見られる。写真はホンダワラの仲間

マスクとフィンを使ってシュノーケリングをすると、海底は岩場のほか砂地、転石など異なる環境があり、海藻が繁茂する藻場などもあります。水深1~2mの浅瀬でも、水面直下と海底近くでは見られる生き物が異なります。

【潮の干満】
海面の高さは一定ではなく、時間が経過するにつれて少しずつ変化しています。基本的に一日2回、最も潮位が高くなる満潮と最も低くなる干潮があります。また月に2回ずつ、大潮(満月の頃と新月の頃)と小潮(半月の頃)があります。大潮は干満の差が最も大きくなり、小潮は最も変化が少ない時期です。
一般に、潮だまりでの生き物ウオッチングや磯遊びには、大きく潮が引く大潮の干潮前後が向いています。

観察の基本ルール

生き物を探すために、石や小さな岩を引っくり返すことがありますね。そのまま放置すると、表面に生えていた藻類などが枯れてしまいますし、裏側で暮らしていた小動物も隠れ家を失います。必ず元に戻しておきましょう。
採集した海洋生物の飼育はなかなか難しいので、持ち帰るのは基本NG。元いた場所に放流しましょう。
家でじっくりと種名を調べたい場合は、画像や動画で記録しておくことをおすすめします。

また、ごみはすべて持ち帰りましょう。お弁当を包んできた紙袋や空き缶はもちろん、採集に使ったバケツや破けた網など「もう使わないから」と遺棄していくことは厳禁です。

探す場所で変わる! 磯で会える生き物25選

ここで紹介するのは、南日本の海岸や磯で見られる海の生き物たち。このほかにもたくさんの種類がいますから、事前に海岸動物や磯の生き物の図鑑を用意しておくと楽しいですよ。

見つけやすさ

★ 普通に見られる
★★ 見つけやすい
★★★ 見つけたらすごい

干上がった磯で見られる生き物

潮の干満によって水没・干出を繰り返すエリアを潮間帯といいます。潮間帯の生き物は潮の満ち引きに応じて移動するものもいますが、干出した磯にも様々な生物が息づいていますよ。

陸と海中の姿の違いを観察したい
ウメボシイソギンチャク ★★

ウメボシイソギンチャク

潮間帯にはウメボシイソギンチャクやヨロイイソギンチャクなど、小さなイソギンチャクがよく見られる。本種は干出時は海水を体内に溜めこみ、梅干しのように丸まっているが、潮が満ちてくると真っ赤な触手を開く。大きさ2~3cm

薄い貝殻を背中にもつ軟体動物
ヒザラガイの仲間 ★

ヒザラガイの仲間

背中に8枚の貝殻をもつ貝の仲間(軟体動物門‐多板綱)。ウスヒザラガイやヤスリヒザラガイなど多くの種類が見られ、岩にガッチリ張り付いている。ダイヤモンドより硬いという歯舌をもち、岩の表面に生える藻類などを食べる。大きさ1~5cm(写真/山本真紀)

水中での摂餌行動もぜひ観察したい!
フジツボの仲間 ★

フジツボの仲間

こんな姿で固着生活をしているが、エビ・カニと同じ節足動物(甲殻類)。鎧のような殻で柔らかいボディを守り、潮が満ちてくると蔓脚(まんきゃく/つるあし)を伸ばしてプランクトンなどを捕食する。干出時は「ふた」をして乾燥を防ぐ。写真で「ふた」がないものは中身が空。大きさ1~3cm

海水を避けて移動する変な巻貝
タマキビガイの仲間 ★

タマキビガイの仲間

競争相手が少ない潮間帯の上部に暮らし、ほとんど海水に浸かることがない変わった巻貝。岩のくぼみなどに集まっていることが多い。乾燥に強く、岩に生えた微細な藻類などを食べる。大きさ0.5~1cm

潮だまりの生き物たち

干潮時、磯のあちらこちらに残される潮だまり(タイドプール)は「小さな水族館」。うっかり取り残された魚や生き物たちを観察するには絶好の環境です。なるべく大きな潮だまりを探しましょう。

青地に黄色の模様が美しい
アオウミウシ ★

アオウミウシ

「海のナメクジ」のような姿だが、ウミウシの仲間は色鮮やかな種類が多く磯の人気者。春先は20~30cmにもなるアメフラシという大型種が観察されるが、本種やシロウミウシ、ムカデメリベなどは夏の潮だまりでよく見られる。大きさ1~5cm

背中の貝殻はマイホーム
ホンヤドカリ ★

ホンヤドカリ

巻貝の空き殼を背負っているヤドカリの仲間は個体数も多く、潮だまりの人気者。捕まえると貝殻の中に引っこむが、しばらくすると出てくる。本種の特徴は脚先が白く、右のハサミ脚が左より大きいこと。イソヨコバサミという種類もよく見られ、脚の先端は黄色で、両方のハサミ脚がほぼ同じ大きさ。大きさ1~3cm

素早いので捕獲してからじっくり観察
イソスジエビ ★

イソスジエビ

潮だまりで普通に見られ、海藻の近くや岩陰に潜んでいる。よく似たスジエビモドキという種もいるが、本種のほうが黒いストライプや黄点がよく目立つ。大きさ2~4cm

事前に図鑑で模様をよく見ておこう
チョウチョウウオの仲間(幼魚) ★★

チョウチョウウオの仲間(幼魚)

初夏から秋にかけての潮だまりは、季節来遊魚を見るチャンス。アケボノチョウチョウウオ(上)やトゲチョウチョウウオ(下)などは毎年のようにやってくる。なるべく大きな潮だまりが狙い目だ。大きさ2~5cm

ユーモラスな表情を楽しもう
カエルウオ ★

カエルウオ

岩の穴や亀裂に潜んでいることが多く、水中マスクでのぞくとじっくり顔を観察できる。同じような生態のコケギンポの仲間もよく見かけるが、本種よりかなりスレンダーな印象。大きさ5~10cm(写真/山本真紀)

穴や貝殻の中に隠れていることも
ナベカ ★

ナベカ

黄色を基調とした体色が美しいイソギンポの仲間。岩穴やオオヘビガイなどの貝殻の中に身を潜めていることもあり、ユーモラスな顔が印象的だ。大きさ5~8cm(写真/山本真紀)

潮間帯の生き物たち

通常のスキューバダイビングでは見過ごしてしまう生き物がたくさんいる海域、それが潮間帯です。波に揺られる環境なので、軍手を装着のうえ、マスクとスノーケルを使ってじっくり観察するのがオススメです。

すばしっこさはまるで源義経
トゲアシガニ ★

トゲアシガニ

潮間帯を代表する、スレンダーで敏捷なカニ。危険を感じると岩の隙間にあっという間に逃げ込んでしまう。脚先の黄色や後面のグリーンは海中で見ると非常に美しい。大きさ3~5cm(写真/山本真紀)

海辺の海鮮料理店でも会えるかも
ショウジンガニ ★

ショウジンガニ

海中で岩の隙間や亀裂に隠れていることが多く、写真のようなアングルで見ることが多い。干潮時、テトラポッドなどを走り回っているのは水際を好むイワガニなど。非常に良い出汁がとれるため、海辺の町では味噌汁でよく食される。大きさ5~10cm

磯でよく見られる星形生物
ヒトデの仲間 ★

ヒトデの仲間

その形から日本語では「人手」、英語圏では“starfish”と呼ばれる棘皮動物(きょくひどうぶつ)。触れるとザラザラしており、潮間帯ではアカヒトデ(写真)や7~8本の腕をもつヤツデヒトデがよく見られる。大きさ7~10cm(写真/山本真紀)

毒棘があるので触らないよう注意!
イソカサゴ ★

イソカサゴ

浅い岩礁や潮だまりで見られるフサカサゴの仲間。ヒレには弱いものの毒棘があり、刺されるとかなり痛む。よく似たハオコゼはさらに強毒なので、うかつに素手で触れないこと。大きさ5~10cm(写真/山本真紀)

岩礁の生き物たち

潮間帯より下部の岩礁域は常に水面下にある場所で、生き物の種類は一段と増えてきます。マスクとスノーケル、フィンを装着してシュノーケリングで観察しましょう。

亀裂や岩の隙間を探してみよう
マダコ ★★★

マダコ

たいてい岩の亀裂や穴などに潜んでおり、のぞきこむと金色に輝く目と視線が合う。潮だまりにいることもある。近年、南日本では強い毒をもつ南方系のヒョウモンダコが増えている。小型だが、かまれると危険なため、見つけても触らないよう注意

シュノーケリングでも見られるかも?!
ミナミハコフグ(幼魚) ★★★

ミナミハコフグ(幼魚)

初夏から秋にかけて、潮通しのよい岩礁で見られる季節来遊魚。岩の亀裂やくぼみなどに身を寄せていて、中層に出てくることはまずない。黒点に混じって白い斑点があれば、よく似たハコフグという種の幼魚。大きさ3~8cm

季節来遊魚が同居している可能性あり
サンゴイソギンチャク ★

サンゴイソギンチャク

南日本の磯でよく見られるイソギンチャクの仲間で、何個体もが群生して、まるでお花畑のようになることも。しばしばクマノミ(写真)やミツボシクロスズメダイの幼魚が居着く(写真/山本真紀)

花のように見えるゴカイの仲間
イバラカンザシ ★★

イバラカンザシ
イバラカンザシ

こう見えてゴカイの仲間。岩やサンゴの上に穴を掘り、そこから「花」または「目玉」のように見える鰓冠という器官を出し、呼吸と摂餌を行う。近寄ると、パッと鰓冠を閉じてしまう。カラーバリエーションが豊富で、色や模様はさまざま。2点とも伊豆大島「トウシキ」で撮影。大きさ1~3cm(写真/山本真紀)

岩陰や暗がりで見られることが多い
イボヤギ ★★

イボヤギ

潮通しのいい岩礁で、岩の壁面やくぼみなどの暗がりでよく見られる群体性のキサンゴの仲間。写真は触手を大きく開いて海中のプランクトンを捕食しようとしているところ。大きさ1~2cm(写真/山本真紀)

砂地・転石の生き物

砂地や転石の海底では、岩礁や磯とはまた違った生き物が見られるようになります。

近寄るときは上からではなく横から
アオヤガラ(幼体) ★★

アオヤガラ(幼体)

防波堤などで囲まれた穏やかな転石や砂地の海底では、しばしばアオヤガラの幼体が見られる。細長い体の先に口があり、稚魚や小さな甲殻類などを捕食する。大きさ20~30cm(写真/山本真紀)

カラフルで腕の短いヒトデの仲間
イトマキヒトデ ★

イトマキヒトデ

腕の短いヒトデの仲間で、よく見られる普通種。和名の由来は糸巻という道具。体色は青や緑、赤など変異に富む。腕の本数は通常5本だが、写真右上の個体は4本しかない。大きさ5~10cm

「花の模様がある石板」ではありません
タコノマクラ ★

タコノマクラ

こう見えてウニやヒトデと同じ棘皮動物の仲間。表面には細かいトゲが密生し、触れるとザラザラしている。潮だまりで見られることもある。大きさ8~10cm

水面直下に注目しよう

シュノーケリングをすると海底や岩肌ばかりに目がいきがちですね。でも、水面のすぐ下にも、思わぬ生き物がいます。見逃してはもったいない。

白黒のストライプがかわいらしい
イシダイ(幼魚) ★★

イシダイ(幼魚)

成長すると40~50cmにもなる「磯の王様」も、幼魚のうちは流れ藻やボンテン(浮き球)などに寄り添って身を守っている。写真にはイシダイのほか、オヤビッチャやカワハギの仲間の幼魚なども写っている。大きさ5~10cm

クリアボディが水面に映えて美しい
アオリイカ(幼体) ★★

アオリイカ(幼体)

夏から秋にかけて、春先に生まれたアオリイカの幼体が見られることがある。小さくても泳ぎは達者。追いかけてもスイスイと素早く逃げ、危険を感じると一人前に墨も吐く。大きさ5~10cm

発見したら超ラッキーな珍種
ハナオコゼ ★★★

ハナオコゼ

「オコゼ」とついているが、カエルアンコウの仲間。海底に着底することはなく、流れ藻などに身を寄せて一生を過ごす変わり者。写真の個体はボンテンの近くに居着いたようだ。大きさ10~12cm

磯で出会う危険な生き物5選

浅い海や磯にも人に有害な生き物がいます。でも、向こうから襲ってくることはないので、こちらが先に気づいて触れないようにすれば問題はありません。

団子状態でウネウネと泳ぐ姿が楽しい
ゴンズイ(幼魚) ★

ゴンズイ(幼魚)

成長すると単独で行動するようになるが、小さな幼魚のうちは「ゴンズイ玉」と呼ばれる密集隊形の群れで行動する。潮だまりや浅い岩礁、藻場でよく見られる。動きがおもしろいので子どもが興味をもちやすいが、ヒレに強い毒棘があるので触れないこと。大きさ3~10cm(写真/山本真紀)

「ギクッ」とするけど手出ししなければ安全
ウツボの仲間 ★★

ウツボの仲間

トラウツボやウツボなどの普通種は、潮だまりや浅い岩礁でもよく見られる。日中は岩の亀裂など隠れており、うかつに手を突っ込んだりすると危険。写真は水深20cmの潮だまりにいたワカウツボ。大きさ30~80cm(写真/山本真紀)

岩などに手やひざをつく前に要注意
ガンガゼ ★

ガンガゼ

非常に細長いトゲをもつウニの仲間で、上から見ると中央に眼のような橙色の肛門が見える。長いトゲはウエットスーツもスッと貫通するうえ、折れやすく体内に残りやすい。猛毒ではないが、刺されるとやっかいだ。トゲの長さ15~20cm

なるべく肌の露出を控えて予防
アンドンクラゲ ★★

アンドンクラゲ

立方体のボディで、四隅から触手が伸びることが特徴。水面直下にいることが多く、非常に強い刺胞毒をもつ。夏からよく見られるようになり、大量発生することもある。傘の大きさ2~3cm(写真/山本真紀)

海岸の「青いビニール」はタッチ厳禁
カツオノエボシ ★★

カツオノエボシ

水面には気泡体があり、上からは青いビニール袋のように見える。気泡体の下には数mにも長く伸びる触手が垂れており、触れると感電したかのような痛みが走る。死亡例もある危険なクラゲ。磯や浜に打ちあがっていることもあるので、うかつに触れないよう注意! 気泡体の大きさ5~10cm

磯遊びを安全に楽しむためのポイント

磯という陸上でも、水深1~2m程度の浅瀬でも、そこは大海原の一部。リスク回避のためには、それなりの知識と装備が必要です。

子どもからは決して目を離さない。足元はマリンシューズや古いスニーカーなどが望ましい(写真/坪根雄大)

装備を整えよう

夏の海は日差しが強いですね。日焼け止めは必須ですし、薄手でもいいので長袖・長ズボンが望ましい。これは尖った岩やフジツボなどによるケガの防止にもなります。ラッシュガードがあると便利ですね。

かかとのないサンダルや草履はやめましょう。足全体をカバーするマリンシューズがオススメです。古いスニーカーでもOK。

シュノーケリングをしたい方はマスクとスノーケルが必需品。できれば、安全のためフィン(とマリンブーツ)もそろえましょう。流れが出てきたときなども、フィンがあれば安心です。

海況チェックは必須

晴れていても、必ず天気予報で一日の天候を確認しておきます。
見落としがちなのが風で、強風注意報などが出ていたら海には行かないほうが無難です。波浪注意報や雷注意報も確認してくこと。

干潮・満潮の時間も調べておきましょう。潮の満ち始めや引き始めは流れが強くなりやすく、特に大潮のときは注意が必要です。

海に着いてからも、波の高さや潮の流れ、風向きや強さに気を配る必要があります。また、ゴロゴロと雷鳴がしたら、たとえ遠くであっても海から上がりましょう。

子ども連れの際の注意点

海に行くと、たいていの子どもは大はしゃぎ! でも、岩場や岩礁では決して走らせないこと。岩や貝殻などによる傷は治りにくく、破傷風などの恐れもあり危険です。
また、決して子どもから目を離さないようにしましょう。生き物探しに夢中になって迷子になるかもしれません。常に保護者が付き添い、定期的に水分補給と休憩をとらせることが大切です。

磯遊びは、身近な自然に触れ合う絶好のイベントです。よく見られる生き物を事前に知っておけば、さらに楽しくなりますよ。もちろん、安全対策も怠りなく。

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PROFILE

東京水産大学(現東京海洋大学)在学中、「水産生物研究会」でスキンダイビングにはまり、卒論のサンプルであるヤドカリ採集のためスキューバダイビングも始める。『マリンダイビング』『マリンフォト』編集部に約9年所属した後フリーライターとなり、現在も細々と仕事継続中。最近はダイビングより弓に夢中。すみません。

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