「1本目のダイビングより、2本目は深く潜ってはダメ」は本当か?
先日いただいたご質問。
「2本目のダイビングは、1本目より深いダイビングをしてはいけないと教えられているのですが、実際、2本目の方が深いケースはよくありますし、久しぶりのダイビングでは、むしろ1本目を浅くして肩慣らしするのですが、これもいけないのでしょうか?」
いわゆる“リバースプロファイル”のことですが、確かにダイブテーブルを引けばすぐにわかるように、1本目のダイビングを深くした方が、当然、効率がよいというのが間違いありません。
1本のダイビングで考えても、深度を上げるに従って、ダイビング可能時間は延びていき、その逆に、深度を下げていくダイビングをすればダイビング可能時間が大幅に短くなってしまいます。
ですので、やはり、2本目より1本目の方を浅くするというのが基本的な考え方で、潜水医学の先生も危険だと言っていますし、メディアでもそう発信しています。
ただ、1999年にアメリカでの潜水医学界の専門家、指導団体などが出席したワークショップで、「科学的根拠はない」と結論が出ていることは日本ではあまり知られていないことかもしれません。
DANのホームページでも、2001年にピーター・ベネットが、「12mぐらいの深度差なら、ほとんど問題ない」と書いています。
データがそろわない現状では、リバースプロファイル・ダイビングをすると大幅にリスクが高まるという、減圧症の発症率はわからないので、理屈で考えて、やはり、2本目より1本目を浅く潜るのはセオリーだとは思います。
ただ、減圧症以外の要因を考えた時に、1本目より2本目の方を深くせざるを得ない状況は現実的にあって、先述した海外で発信されている情報などを見ると、頭ごなしに絶対に禁止というのもどうかと思ってしまいます……。
まさに、質問者が言っている久しぶりのダイビングのケースでは、水深が浅く、穏やかなポイントで潜ってから、流れのある深いポイントに行くという方が、ダイビング全体のリスクを考えたら、むしろ自然にも思えます。
リスクを知って、どこまでリスクを取るのか自分で判断したいところですが、まあ、そのリスクがよくわからないとなると、基本的には保守的に潜るしかないのでしょうけどね……。