スクーバダイビングにおける緊急時の酸素使用は医療法違反にはならない ~酸素がより身近な存在になる!?~
今年に入ってから、スキューバダイビングにおける酸素使用についての動きが活発化しているようです。
最近では、琉球新報に、緊急時の酸素使用に関して、医師法違反にならない旨の記事が掲載されました。
スキューバダイビングなどで体内に窒素が蓄積することで引き起こされる「減圧障害」(潜水病)の初期対応が大きく変わろうとしている。これまで初期措置に有効とされる「医療用酸素」の使用は医療行為に当たり、医師免許が必要かどうか曖昧な部分があったが、厚生労働省は今年、医療関係者以外が医療用酸素を使用することについて「救命や救護のために緊急やむを得ない措置として行う場合は医師法違反にならない」との見解を初めて出した。
潜水病措置 医師以外も 緊急の場合に 厚労省見解(琉球新報)より
つまり、減圧症などの緊急時なら酸素を使ってもいいよ、と国からお墨付きをもらったという内容です。
これまでも、DAN JAPANによって、1998年には「DAN酸素供給法」が日本に導入され、長年の働きかけにより、実質、酸素の使用は可能でした。
2009年の薬事法改正によって、一時、ダイビング業者の酸素入手が困難になった過去を乗り越えるなど、それなりの歩みがあったのです。
なので、このタイミングでのニュースは、ダイビング業界における酸素使用が、ひとつのムーブメントとして、動きが活発化しているというメッセージだと思います。
実際、今年(2016年)の5月には、すでに、公益社団法人日本レジャーダイビング協会を始めとする、複数組織による共同編集署名で、同内容の医療用酸素救護に関する発信を行なっています。
さらに、今年(2016年)9月発行のDAN JAPANを含む日本海洋レジャー安全・振興協会の会報誌「海洋レジャー」でも、「DAN酸素供給法にまつわる噂の真相Q&A」という特集が組まれ、改めて、ダイビングにおける酸素供給の現状や法的見地が述べられています。
酸素使用には、「医療用酸素の使用に関する必要な知識を習得した上で行われることが望ましい」とありますので、知識経験を学べる場がもっと身近な存在になることが課題でしょう。
DAN JAPANでは、今年、酸素プロバイダーのテキストが改定される予定で、新トレーナーのもと、2017年には講習も活発化しそうです。
緊急時に酸素使用ができる環境が整うことは、ダイバーにとって歓迎すべきこと。
今後も、その動向に注目したいと思います。