カラフルな編み物で水中を彩るアーティストのメッセージ

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こんにちは!
今回は、先月メキシコで、水中でクローシェ編みのプロジェクトに参加した、一人の女性ダイバーを紹介します。

このダイバー、オレックさん(本名Agata Oleksiak)は、ニューヨークに住むポーランド人女性で、 クローシェ編みを通して、電車や彫刻等様々な物を派手な糸でおおっています。

彼女の目的は、人の生活に色、明るさ、華やかさを与え、 自分が関心を持っている政治的問題や環境問題など、多くの課題を浮き彫りにする事だそうです。

メキシコのプロジェクトは、Museo Subacuatico de Arte (MUSA)という、メキシコを代表とするリゾート都市カンクンの近くにあるイスラ・ムヘーレスという島の海中博物館で行われました。

カリブ海屈指の透明度を誇る海の中に、イギリス人アーティストのジェーソン・デクレアス・テイラー(Jason DeClaires Taylor)を中心として作られた彫刻作品が460体以上沈められています。

この海はサンゴ礁の美しい海として有名ですが、船のいかりやハリケーン、観光客の不注意などでサンゴ礁が損傷することが多く、その対策とカンクンの美しい海を多くの人々に知ってもらうため、海中の博物館を作るプロジェクトが始動しました。

彫刻は自然のものに影響を与えないコンクリートで制作されており、魚やサンゴのすみかともなっています。

海中美術館の水中アート

海中博物館の様子About | MUSA ISLA MUJERESより

イスラ・ムヘーレスはジンベエザメの数も多いので、サメ類の数が世界的に減少している事を浮き彫りにするため、オレックさんは水中でクローシェ編みをする事にしました。

ジェーソン・デクレアス・テイラーは、「汚染や魚の乱獲のせいで水中生態系は衰退しており、世界中の海はカチカチ動く時限爆弾だ」と言っており、その言葉から影響を受けたオレックさんは、爆弾の形をした彫刻を使う事にしました。

赤、黄色、茶色など、サンゴ礁と同じ色で生物に影響を与えない糸を使い、ゆっくりと編んでいったそうです。

オレックさんはこう話しています。

「海洋保護やサメの減少などの問題をより多くの人に伝えるため、自分で自分の、ユニークなキャンペーンを行いたかったのです。ジェーソン・デクレアス・テイラーの彫刻作品は前から知っていて、メキシコで潜った時、サンゴや生き物がまったくついていない爆弾形の彫刻を見つけ、これは使えると思いました。ジェーソンが言っていた時限爆弾を表すのにも最適だったし(笑)。自分のアートを使ってジェーソンのメッセージを広めたかったです」

「私達は、環境をもっと大事にしなければいけません。 ペットボトルを買わないで水道の水を飲むとか、そういった簡単な事は誰にでも可能です」

「私の作品を見ながら、海や環境をどう守るか考えてください。 作品を見てくれる人々が何か変化をもたらすことができれば大変嬉しいです!」

自分のスキル、趣味や特技をうまく利用しながら、危険にさらされている今日の海に対して人の関心を高めようとするのはとても素晴らしいです。
今度潜る時は、海洋保護の事をもっと深く考えていけばと私は思っています。

■Olekさんのホームページ

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PROFILE
イギリス生まれ、8歳から13歳まで日本で育ったイギリス人と日本人のハーフ。

2006年に再度来日し、ナレーター、翻訳者、ライターとしてNHKテレビ、ラジオ、日本駐在外国人向けのウェブサイトなどで活躍。
2010年ニューカレドニアで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、2011年以降定期的に日本で潜っている。

日本の海の魅力、多様な生物や地形等に感動し、海外であまり知られていない日本のダイビングを紹介する目的で、2011年にブログ(Rising Bubbles)を立ち上げた。

外国人向けのサイトや海外のダイビングサイトで日本のダイビングスポットを定期的に紹介しており、スコットランドのセントアンドリューズ大学で水産養殖も勉強中。

「ダイビングをきっかけに、日本の海がどれだけ魅力的なのかをすごく実感しました。この連載では、たくさんの情報を届けていきながら、海外からのトピックを取り上げ、日本と海外の違いや海外の視点等をシェアするのを楽しみにしております」
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