サンゴや環境を守るための国連環境プログラム“グリーン・フィン”とは
海の生態系や生物多様性の保全に対する意識の高まりから、海洋環境の保全を推進する動きが世界的に活発になっています。
そんな動きの一例が、グリーン・フィン(Green Fins)。
グリーン・フィンとは?
緑(Green)=エコ、環境への優しさ、認識や責任感。
そんな緑のフィン(Fins)がロゴであるグリーン・フィンは、 アジアの様々な国でサンゴ礁を守り、保全することを目的にしています。
サンゴ礁が直面している様々な脅威や圧力に対処するための取り組みとして、国連環境計画(United Nations Environmental Program, UNEP)は、2004年に管理手法グリーン・フィンを創設しました。
環境に配慮するダイビング業者ネットワークを作り、サンゴ礁モニタリング等の活動を勧めることによって、持続可能なツーリズムを発展していくのが狙いです 。
そんなグリーン・フィンを監督しているのが、イギリスの慈善団体リーフ・ワールド・ファウンデーション(The Reef World Foundation)。
10年以上に渡り、東南アジアの地元の人々と共にサンゴ礁の保護活動に取り組んできた団体です。
グリーン・フィンの活動やプロジェクトを維持するため、UNEPやIUCN(International Union for Conservation of Nature、国際自然保護連合)からの資金を確保しています。
ダイビング業者への認定証
グリーン・フィンは、環境に配慮した行動規範(Code of Conduct)を提供しています。
中には、環境に優しい15本の行動や活動が具体的に取り上げられており、それに基づいて、ダイビングショップなどと共に働き、認定証を発行しています。
他には、ダイバーの7つの禁止行為(サンゴを触る、踏む等)と7つの義務(浮力コントロールの練習、海底から距離を保つ等)が載っているガイドライン等も配っています。
認定されたショップ等は、環境に配慮したダイビング観光を忠実に守る事で、ダイバーの規範となります。
また、グリーン・フィンのガイドライン等の奨励とサンゴ礁モニタリングを担当するスタッフを1名指名し、年1回グリーン・フィンガイドラインに関する教育や研修も行っています。
ダイバー個人にはさまざまなガイドラインはあるものの、ダイビング業界向けの国際的基準が存在しないため、グリーン・フィンは初の基準を作成することに意義がありそうです。
また、ショップ等現地に査定人を送ることによって情報や知識をお互いにシェアし、話し合いを通じて問題解決に取り組む事が可能となります。
査定人は、グリーン・フィンに関わっている国の政府当局から選ばれますが、ダイビング業界やNGOからのボランティアも参加できます。
英語や現地の言語ができて、ダイビング業界に詳しいダイバーであることが条件で、5日間のトレーニング後The Reef World Foundationから資格がもらえます。
グリーン・フィンに関わっている国の政府は、クリーン・フィン関連活動を国の法令の一部にしており、政府からの財政支援があります。
The Reef World Foundationも国や政府、NGO等とグリーン・フィン関連の活動のための資金集めに協力しています。
グリーン・フィンの参加者は、情報や知識をシェアすることが大事だと思っています。
ダイビング業者やショップには認定プログラム、資料、トレーニングやコンサルティングを無料で提供しており、皆で協力すれば 海洋環境にポジティブな影響を及ぼすのではないかと考えています。
The Reef World Foundationのクロエ・ハービー(Chloe Harvey)さんはこう言います。
「海洋環境についての資料、トレーニングやコンサルティングは無料でダイビング業界に提供するものだと思います。 また、ダイビング業界のビジネスは海からなるものなので、海洋環境保護は非常に大事です。そんな海洋環境保護の必要性をうまく主張できるのはダイバー達だと思います。ダイビング業界に海洋への悪影響を減らすよう勧めるのが海洋へのプラス影響になると信じています」
グリーン・フィンは認定証の発行の他に、ショップ等が地元の人々と共にゴミ収集等の活動に関わる事ができるよう知識、経験、アドバイス等も提供しています。
最後に
グリーン・フィンは、日本のダイビングコミュニティーと共に海洋環境保護に対する人の認識を高める事を望んでいます。
クロエさんの、日本のダイビングコミュニティーへのメッセージとは?
「私達は海を“訪問”しているので、生物等を十分意識し、環境に対して責任や意識を持ったダイブショップを選びましょう。グリーン・フィンから認定証を受けたショップはグリーン・フィンのウェブサイトに載っている事も日本人ダイバーに伝えたいです」
これから日本のダイビングシーンにどのような影響をもたらすのでしょうか。
注目したいと思います。