ダイバー必読!サンゴ礁を守るための取り組み「グリーン・フィンズ」の日本語版ガイドラインが完成
サンゴ礁の生態系を保持するため、国連環境計画(UNEP)が始めた取り組み「Green Fins(グリーン・フィンズ)」についてご存じだろうか。環境に優しいダイビング・シュノーケリングの基準を定めているのだが、そのガイドラインや各種素材の日本語版が完成したと、グリーン・フィンズの導入を進める沖縄県・恩納村役場から発表された。
グリーン・フィンズとは?
ダイビングやシュノーケリングがサンゴ礁を含む海洋生態系に与えるダメージは、近年深刻な問題として提起されている。この課題に対応するために、グリーン・フィンズはUNEPにより設立されたダイビング・シュノーケリングの唯一の国際環境基準だ。現在リーフワールド財団主導で運営のもと、11カ国・約600のダイビングショップに導入されている。
具体的な活動として、「錨の使用」、「魚への餌やり」、「化学物質汚染」など環境や海洋生物に対して悪影響を及ぼしてしまう行為に対して、低コストな代替案や、戦略トレーニング、支援や資料提供を行っており、厳しい評価制度も設けている。
日本では2020年4月に恩納村役場がはじめて導入を決定したこともあり、注目を集めている。
日本語版グリーン・フィンズで広がるサンゴの未来
グリーン・フィンズは、ポスターやガイドラインが日本語で閲覧できるようになることで、日本各地のダイビングやシュノーケリングなど各観光事業者が、自分たちの事業を通して環境に与える影響をより深く理解できるようになることを期待している。また、自身のショップ内やゲストに対して環境の持つ重要性を伝え、巻き込んでいくことで、海洋環境保全に留まらない分野で、持続可能な取組みが実施できるような未来にも繋がっていくのではないだろうか。
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恩納村のグリーン・フィンズ導入の背景
導入が始まった恩納村は「青の洞窟」をはじめ、真栄田岬や万座毛など人気ダイビングエリアを有する沖縄本島の北部に位置している。2018年7月に「サンゴの村」を宣言し、それに基いた様々な事業を展開。また、2019年には内閣府より「SDGs未来都市」に選定され、その中からも特に先導的な取組みをしていることから「SDGsモデル事業」にも認定されている。
そんな恩納村の産業は農水産業と観光業がメイン。それらは全ては、サンゴ礁が育む豊かな生態系が存在する海があるからこそ成り立っている。一方で観光業が発展することで多くの人が海に入り、魚への餌付けや海洋資源の踏みつけなどの行為を通して、サンゴ礁へ悪影響を与えている事実も。
このような背景をうけ、恩納村ではグリーン・フィンズを導入することでサンゴを守りながらダイビングやシュノーケリングを観光客に楽しんでもらい、顧客満足度や単価の上昇、さらには雇用に繋げていこうとしている。
オーシャナもグリーン・フィンズを推進
恩納村でのグリーン・フィンズ導入推進にはオーシャナも関わっている。私たちの大好きな海、そしてその海のアクティビティであるダイビングやシュノーケリングが今後も持続可能になっていくために、グリーン・フィンズ導入推進の役割を担っており、恩納村役場にはオーシャナでライター業務などを行なっている積田が駐在し、現地での勉強会などをリーフワールド財団と実施中。
「日本は海に囲まれた国であり、そこから漁業や観光の恩恵を受けています。今後もこの豊かな資源が持続可能となるように様々な取り組みが行われていますが、その一つとしてグリーンフィンズが広がっていくことを期待しています。
今回の日本語版のリリースはその第一歩となるでしょう。現在グリーンフィンズの日本での導入を沖縄県・恩納村で始めていますが、その他の地域でもサンゴや海を守っていくという意識の向上や具体的なアクションに役立てていただければ幸いです」。
環境に優しいダイビング、シュノーケリングが当たり前になっていくためには、グリーン・フィンズのような草の根的活動が必要不可欠。私たち一人ひとりの意識を変えていくことが、サンゴや海の未来を守ることに繋がるだろう。
▶︎グリーン・フィンズ 日本語版 ガイドライン・各種素材
▶︎グリーン・フィンズ公式ウェブサイト