海で拾ったガラスがお金に!地域通貨「ビーチマネー」を集めよう

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最近では耳にすることも多くなった「ビーチクリーン」、いわゆる、海でのゴミ拾い活動だ。そんなビーチクリーンに関心がある方もない方も、ぜひ知っていただきたいおトクな情報が「ビーチマネー」という取り組み。事務局長を務めるのは、先日洗濯洗剤「オールシングス イン ネイチャー」をご紹介してくれた堀直也さん。早速ビーチマネーの取り組みについて聞いていこう。

堀直也さん


エコサーファー代表ビーチマネー事務局長
株式会社スローヴィレッジ All in One 洗剤のディレクター。
24歳の頃、湘南でエコサーファーという環境グループを立ち上げ、21年目の今も活動を継続。行き着いた答えは環境教育。2011年に南伊豆に家族で移住し、ネイチャーガイドとして活動。母校である東海大学海洋学部で環境教育の特別授業を担当していた実績もある。

湘南から世界へ「ビーチマネー」という地域通貨

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もともと「ビーチマネー」は洗剤メーカーの取り組みだったとお聞きしました。どのような流れでビーチマネー事務局が始まったのでしょうか。

堀さん

はい、2007年4月から始まった取り組みです。僕が湘南の茅ヶ崎にあるがんこ本舗に務めていた頃、よく会社のみんなでビーチクリーンを行っていたんですが、「このビーチクリーンをもっと面白い取り組みとして、がんこ本舗から何か発信できないかな」と考えるようになりました。
すると、がんこ本舗の木村代表が「お客様にゴミ拾いしてもらい、素敵なビーチグラスや流木を見つけてきて、お店に提供してくれたら10%ディスカウントしよう」というサービスをスタートしたんです。
1年ほどこのサービスは続き、想像していたより色々な方がビーチクリーンをしてくれて、素敵な漂着物を持ってきてくれました。「アースデイ」などのイベントに出展していた時には、瓶にいっぱいのビーチグラスを詰めて持ってきてくれた人もいたりして。

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そこからビーチマネー事務局として規模が拡大していったんですね。

堀さん

そうです。素敵な取り組みが盛り上がっているのを木村代表の横で見ていて、「がんこ本舗だけの取り組みだけではもったいない」と、もっと世の中に広めていきたくなったんです。そして代表に相談し、僕が代表として、まずは湘南をベースとして「ビーチマネー事務局」がスタートしました。

ちょうど当時、僕が代表を務めるエコサーファーでフリーマガジンを発行していて、湘南だけでもかなり多くの設置協力店がたくさんありました。設置協力店全てのオーナーを知っていたので、まずは環境意識が高いショップの人たちにビーチマネーの取り組みについてお声がけすることにしたんです。するとお声がけした44店舗中42店舗の人が賛同してくれました。

「海のゴミがお金になる」というユニークな取り組みだったので、国内外さまざまなメディアが興味を持ってくださり、台湾の方からも加盟を希望する旨のメールが届いたこともあります。

堀さん

ビーチマネーは、海を綺麗にするために行なっている取り組みです。海へ足を運ぶと、大抵の場合は残念ながらゴミがありますよね。そのゴミを拾いながら「ビーチマネーを見つけられたらラッキー!」という感覚で、ビーチクリーンを楽しんでもらえたら嬉しいです。

海で拾ったビーチマネーでできること

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実際にビーチマネーを使って、どんなサービスが受けられるのでしょうか。

堀さん

湘南エリアを中心に、現在200店舗近い加盟店があります。
ミニソフトをサービスしている飲食店があったり、美容室では前髪カットをしてくれたりなど…加盟店は業種も、受けられるサービスもさまざま。
その店舗ごとに受け付けているビーチマネーの基準が違い、色や形などの指定があったりもするので、HPにてチェックしてみてくださいね。
https://beachmoney.jp/%e3%83%93%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%9e%e3%83%8d%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%97/

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協賛しているショップでは、どのようにビーチマネーを活用しているんですか?

堀さん

ほとんどのお店では、可愛らしい瓶などにビーチマネーを詰め、「環境活動に貢献した指標」として飾ったりしています。あとはビーチマネーを使ってお店の看板を作ったり、子供が来た時にプレゼントしているショップもあります。

堀さん

最終的にはお店で集まったビーチマネーを、他のお店に行く時に通貨として使用してもらえるのが僕たちの理想。そうなっていけば、ビーチマネーを通じてお店通しの横のつながりが生まれ、良い循環や経済効果が生まれると思うからです。
どのショップのオーナーさんも、サーファーであったり、釣りをしていたりなど、普段から海と接している方がほとんどです。今後は、ビーチマネーを流通させるような工夫をもっとしていきたいですね。

排水溝から海を見るーー毎日できることを少しずつ。

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ビーチマネーはとても素敵な取り組みですが、都心の人にとってはちょっと参加しにくいですよね。海の近くに住んでいなくても、海を守るために何かできることはありますか?

堀さん

そうですね。そういった方に向けて、いつも僕がお話するのは「排水溝は小さな海」というキャッチコピーです。
排水溝の先に、下水処理場があり、川があり、海があります。下水処理場も100%分解できているわけではなく、オーバーフローした下水は最終的には海へと流れ着く。だから、日頃の生活の中でなるべく排水口に油を流さないように心がけてほしいですね。食器などの油を洗い流す前に拭き取りを徹底するなど、家庭でもできることはたくさんあります。
僕たちは今、静岡県の南伊豆町の小学校でこの取り組みを推進しています。

堀さん

給食を食べたあと、まずは自分が使った食器の油を拭き取ってもらい、油分が排水口へ流れてしまうのを防ぐということを生徒が主体となって進めています。

そもそもは、この学校の校長先生にビーチマネーについて講演依頼をいただいたのがきっかけで、その時に給食の食器を拭き取ることを提案させてもらいました。この活動は子供達が環境について考え、毎日継続できる、素晴らしい取り組みだと賛同してくださり、現在は全校生徒みんなが食器の拭き取りを行なってくれています。
今後は他の小・中学校へ広めていき、今年中には南伊豆町の全ての小・中学校がこの取り組みを広げてくれるよう、全力でサポートしていきたいと思っています。

これを読んでいる皆さんにも、ビーチマネーへの参加はもちろんですが、”毎日続けられること”として、食器の拭き取りをオススメします。
目の前に海がなくても、その取り組みは海へと続いています。

現在は「ビーチマネーポスター2021」コンペも開催中


締め切りは5月5日。読者の皆さんもぜひご参加あれ!
https://beachmoney.jp/poster/20210325/

堀さん、二回に渡るインタビュー、ありがとうございました!
「オールシングスネイチャー」、そして「ビーチマネー」「食器の拭き取り」という、さまざまな環境への取り組みーー毎日の生活に落とし込めるものから、少しずつトライしていこう。

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PROFILE
神奈川県藤沢市在住。女性ファッション誌からキャリアをスタートし、現在はフリーランスの編集ライターとして活動。オーシャナでは美容やライフスタイル記事をメインに、エコライフのヒントとなるトピックを執筆。
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