「ダイビングの那覇観光への貢献は知られていない」業界振興を推進する政治家が描く未来[後編]
「ダイビング・マリンレジャーは那覇観光におけるもっとも重要な業界の一つである」とし、ダイビング・マリンレジャー業界の発展のために那覇市で活動を行う那覇市議会議員のよしみね努さん。前編に引き続き、新型コロナによるマリンレジャー事業者の困窮支援のためによしみねさんと連携して動いた、那覇市マリンレジャー振興協議会代表を務めるOPGの古郡優樹さんも交えながら活動の詳細や現状と背景をお話しいただく。
・防災ヘリの導入でダイビング・マリンレジャー事業者の救助活動の支援体制を作る
・ダイビングとマリンレジャーを職業体験に加える
・海洋環境学習を学校授業に組み込む
・那覇市におけるダイビング・マリンレジャー用のマリーナ建設を推進
世界に誇れるダイビングスポットを目指す
マリーナの必要性とは
漁港や商港とは違い、一般的にレジャー用の船のみを対象としたマリーナ。意外にも慶良間諸島など有数のダイビングスポットの入り口となっている那覇にはマリーナと呼ばれる施設が存在していない。
オーシャナ編集部
マリーナの建設を推進するのは、どういった背景があるのでしょうか。
よしみねさん
これも事業者さん、特に古郡さんたちとお話しながら出てきた課題感からになります。
古郡さん
マリーナというより、有数のダイビングスポットにふさわしい、さすが沖縄だなという施設がないのではないかなと感じていて。沖縄ではマリンレジャーをした人の7~8割くらいが満足して帰っていて、一番楽しかったのもマリンレジャーだというアンケート結果があるのですが、施設だけは6割の方が満足していないんです。
逆にいうと満足していなかったところは施設だけで、サービス精神、料金や海の美しさには8割以上の方が満足している。沖縄は世界にPRできる、日本を代表する海だと思っているので、だったら施設ももっといいものができるんじゃないかと思っているんです。
オーシャナ編集部
満足度を上げていきましょうということですね。
古郡さん
そうです。コロナ禍で海外旅行に行っていたような方が国内を旅行をしています。今後、今まで来ていなかったような富裕層の方も来るかもしれない。今は新しいお客様を呼び込むチャンスなんです。しかし、そんな重要な時期にも関わらず、受け入れる施設の満足度が低い。これではせっかく来てもらってもリピーターにはなりません。だから、よしみねさんにもご協力いただいて、世界に誇れるダイビングスポットにしていきたいと思っています。
よしみねさん
一事業者、議員だけではすぐに実現できることではありませんが、みんなで協力してまずはその方向を向こうと。この4つの活動は個別のことではなくて円なんです。マリーナを整備することで観光客の過ごしやすさや楽しさが上がる。それを提供する方々の環境も向上する。そして海という資源がなければこの海を楽しめる人たちがいなくなるので海を守っていく必要がある。これらは全部繋がっていると思って欲しいです。
業界の底上げのために、一丸となり進む活動
オーシャナ編集部
「ダイビングが那覇市の観光に貢献していない」と思われていたところから、お二人の連携で那覇市の認識も変わり、大きく活動方針が決まっていったんですね。でもそう思われていたのは不思議ですね。宿泊や食事は那覇でされる方も数多くいるのに。
よしみねさん
実態が伝わっていなかったんだと思います。那覇、もしくは沖縄県の観光で何を求めて来てますかと議会で聞いたら8割の人が海を目的に観光に来ていると。アンケートや県の行った調査結果にも出ています。
ではその人たちはどうやって遊ぶのかといったら、那覇市の海の事業者を利用して遊びに出るわけですよねと。こういう組み立てをして初めてダイビング・マリンレジャー事業者は那覇の観光にとって重要であると認めたというのが議会での流れです。
オーシャナ編集部
業界として認知されたのは大きいですね。
古郡さん
そこで観光課の方に、やはり団体があったほうが話をしやすいと言われたんですね。たとえば、給付金に関して那覇市の事業者一社一社と行政の方が連絡を取るのは現実的ではないですよね。でもそういう集まりが那覇市にはなかったので、事業者さんたちと話をして、那覇市マリンレジャー振興協議会というものをつくりました。
オーシャナ編集部
具体的にはどんなことをする団体なんですか?
古郡さん
那覇市と一緒に那覇市、沖縄県を盛り上げるために、事業者といろんな人をつなげることをしていきたいです。たとえばマリーナを作るなら那覇市マリンレジャー振興協議会の人も呼ばないとねって、当たり前に呼ばれる存在になりたい。
古郡さん
那覇市のマリンレジャーのガイドはすごく腕がいいんです。本当にみんなちゃんと勉強していますし、仕事もできる。なので、もっと那覇市に対しては僕たちみたいなマリンレジャーのガイドやインストラクターは武器として使って欲しいと思ってます。そして、日本に来たらやっぱりマリンレジャーは沖縄、那覇でしょというブランドを作りたい。サービス部分も、事業者側が那覇に勉強に行こうぜっていうくらいの腕を持っているので、それをもっと発信していきたいと思っています。
オーシャナ編集部
これから協力するために、よしみねさんとしては事業者さんや那覇市マリンレジャー振興協議会へどんなことを期待しますか。
よしみねさん
やはり個々ではなくて皆さんがまとまってほしいです。様々な団体がありますが、全体の底上げのために一つにまとまってほしい。また、これからはそれをまとめる若くてリーダーシップを取れる人を先輩方には、ぜひ応援してほしいです。もちろん今までこの業界を守ってきた先輩方には敬意を表しています。
一方で、時代の流れと環境の変化で大変、先輩たちは苦労してきたと思います。でもこれからはインターネットが普及し多くの方とつながるツールができた中では若者が新しい時代を切り開いていけるんじゃないかなと思います。そこにはやっぱり先輩方の後押しが必要なので、頑張る若者を応援して欲しいと思っています。
美しい海で多くのダイバーを魅了する沖縄。今後も持続可能に、またより良くなっていくためには海を守っていくことはもちろん、観光地としての価値を上げることや人材の育成など多くの課題を乗り越えていくことが必要だということがわかった。そのために歩みを進める地元のダイビング事業者やそれに関わる人々、この輪が広がってより活動が進むことを期待している。
よしみね努Profile
沖縄県が本土復帰後の、1976年に沖縄県那覇市首里金城町で生まれ、那覇市で育つ。小学生の頃からの夢であるヘリコプターのパイロットになることを叶えるため、沖縄大学短期大学部英語科を卒業後、20歳で単身米国に渡り、自家用ヘリコプターの免許を取得。
その後アメリカでプロのヘリコプターパイロットとなり、26歳でアジアナンバーワンの航空サービス会社に就職。日本各地で送電線パトロールや旅客輸送、TV中継など様々なミッションを行う。
2011年に発生した東日本大震災を機に、命を守るための緊急事態への対応に仕事の中心が移り、2015年には、沖縄県ドクターヘリ事業に移籍。生命の現場で働く中で、故郷沖縄、那覇市のためにできることがある、と政治の道を志す。
2017年7月の那覇市議会議員選挙で、「守りたい生命のために 創りたいこの島の未来」をスローガンに掲げて初当選。2021年7月、2期目当選。健康と安全、教育と防災を軸に、「那覇市を変えれば、沖縄が変わる!」そう信じて全力で活動中。
よしみね努Official site
取材協力:OPG 古郡優樹さん