シーサーSSCでSEからダイビングガイドに転身。ガイド業を突き詰める職人でありたい
沖縄を中心として、ダイビングやマリンスポーツのサービスを提供しているマリンハウス シーサー。
創立35年、5ヵ所の営業拠点を持ち、沖縄県内では最大級の規模を誇ります。
人材育成にも力を入れていて、ダイビングインストラクターを育成するステップアップ総合コース(以下SSC)を毎年開催。
今年も受講生の募集を行っています。
SSCとは、講習費用などが負担されるサポート制度を使いながら、プロ資格の取得や現場研修を行うカリキュラム。
コース終了後は十分な知識、経験、スキルを持ったうえでダイビングインストラクターとして活躍することが可能。
仕事でダイビングインストラクターを行ううえでしっかり学ぶことができる手厚いサポートですが、実際に未経験の職種から転職するのは不安がたくさん……。
というわけで、システムエンジニア(以下SE)という異なる職種からSSCを経てシーサーに入社、阿嘉島店でガイドをして10年目になる三浦陽さんにインタビューしました。
転職のきっかけやSSCの雰囲気、ダイビングインストラクターのやりがいや大変なこと、収入面についてまで、さまざまなお話をお伺いしました!
仕事が嫌で転職を決意
一生やれると思った仕事がダイビングだった
寺山
三浦さんはSSCを卒業して10年ですが、SSCに入る前まではSEをやっていたんですよね。
何年くらいやってたんですか?
三浦
大学を卒業して6年くらいやってました。
寺山
海とは全然関係ない仕事ですが、ダイビングとの出会いは?
三浦
母親が伊豆大島出身なので、小さい時は毎年夏に大島行ったりして海は昔から大好きでした。
ダイビングは社会人一年目のとき、友達に誘われてCカードを取りに行きましたね。
伊豆に行ったんですが、自分からというよりは完全に友だちについて行ったって感じですね。
寺山
そこでがっつりハマったんですか?
三浦
それがそういうわけではなく、年に1、2回潜るくらい。
サイパンに行ったり、シーサーに初めてきたのもそれだったのですが、旅行のついでにダイビングもしようかなという程度で。
寺山
それがなぜ急にSSCに行こうと?
三浦
ダイビングが好きというより、前の仕事が嫌だったのが大きいですね。
激務で難しくて、つまらないし興味ないし……みたいな。(笑)
寺山
え、逆になんで就職したんですか? (笑)
三浦
実際そうやって就職してる人って結構多いと思うんですよ。
特にやりたいからではなく、そこしか受からないとか、受かったからやろうかなとか、選択肢が限られた中でやるというような。
私もまさしくそれで、だからとりあえず逃げ出したいというのが大きかったですね。
1度、同じSEで違う職場に転職したんですが、結局状況は変わらず、というよりむしろ悪化。
再び転職を考えたんですが、その前に海にでも行こうかなと思ったんですよね。
リラックスしたい、癒されたいという衝動に駆られて。
でも旅行で行くと帰ってこなきゃいけない。
そしたらまた月曜日から同じ世界の繰り返しになるので、もう帰ってこないようにするにはどうすればいいかを考えました。
子どものころから海が大好きだし、ダイビングの仕事もなんとなくできそう、続けていけそうな直感はあったんですよ。
寺山
直感と言いますが、なんでそう思ったんですかね?
三浦
転職を考えていたのが27歳のときだったんですが、もう転職に失敗したくない、コロコロ変えられないというのがありました。
お金とかを抜きにして、本当に自分がやりたいこと、今後二度と気持ちが変わらないことってなんだろうって考えたら、やっぱり海なのかなと。
やったこともなかったので本当に直感ですけど。
寺山
結果的にその直感が当たってたってことですよね。
でも共感する人は多そうですね。
大手の安心感と気の誘い
シーサーのSSCを受けようと思った理由
寺山
どういう探し方をしてシーサーのSSCにたどり着いたんですか?
三浦
シーサーしか知らなかったのもあるんですけど、それまでに2、3回たまたま遊びに来たことがあって。
そのときにSSCの研修生が働いてたなというのを思い出してHPを見ました。
そこでSSCに入るか迷ってる人向けに、実際やっている人の声を聞いたり、少し安く潜らせてもらえたりするモニターツアーを見つけて、それに参加したんです。
SSCの人やスタッフといろいろな話して「絶対来た方がいいよ」みたいな話を聞いて。
ここなら大丈夫そうかな思いました。
寺山
大丈夫かなと思った理由はなんでしょう?
三浦
大手というのはちょっとした安心感がありますね。
従業員の数が多く、船もいくつもある。
HPにもイントラになるための手順やお金のこともしっかり記載してあったので、これなら信頼できるかなと。
あとは東京に戻ったあと、当時いた副社長がぜひ入ってほしいということで、3回くらい会いに来てくれたんですよね。
それがなくても入っていたとは思いますが、そこまで考えてくれてるのは嬉しかったです。
寺山
前職と全く違う仕事になるわけですが、こういうところが不安だったとかはありますか?
三浦
それが全くなかったんですよね。
収入が下がることに関しては若干はあったけど、お金じゃなくて本当にやりたいことをやるというのが最初にあったので。
とにかくSEを辞めたくて、仕事もお金も、困ってもそんな大した問題じゃない、今以上に最悪なことはもうないと思っていました。
寺山
よっぽどSEが嫌だったんですね(笑)
世の中的に、次にやりたいことが見つかったら辞めるのがいいとされてますが、嫌だからやめるのも大切ですよね。
三浦
嫌で嫌で現実逃避して、今もその最中って感じです。
寺山
今もですか(笑)
SSCに入るときはダイビング本数何本くらいだったんですか?
三浦
入り始めは20本以下ですね。
今はサポート制度があったり、働いて少しお金をもらいながら半年間という感じなんですけど、自分のときはこちらで全額払って、その代わりにアシスタントのみをやりながら勉強させてもらえる8ヶ月コースでした。
自分の意識と本気度で道は開ける
SSCは自分の足りないことを学べる場だった
寺山
実際SSCの期間はどうでしたか?
三浦
めちゃめちゃ楽しかったです。
やっぱり体動かすのが好きなので。
もちろん大変なこともあるんですけど、自分からしたらこんな楽しく潜ってお金もらっていいの? って感じでしたね。
トレーニングや練習はありますけど、正直そんなに難しくなくて順調にやってました。
寺山
いいところしか出てこないのですが……大変だった点、難しかった点はなかったですか?
三浦
当時研修生が10人いて、温度差があるんですよね。
沖縄に半分遊びに来ている人と、本気で仕事にしようと思ってやってる人。
意識が違う人たちと、8ヶ月間うまくやっていかなきゃいけないというのは少し大変でしたね。
現在は働いて接客しながら、体験ダイビングのお客さんを自分で持ったりするので意識低い人はいないんですけど、当時はアシスタントだけだったので、サボろうと思えばいくらでもサボれるという状況。
本気でやってたのは私も含めて2,3人ですかね。
寺山
なるほど。社会人経験していたり、転職のモチベーションも人それぞれですからね。三浦さんの場合、とても楽しかったは理解できます。(笑)
SSCの8ヶ月では、どういったことが学べました?
三浦
自分は接客業をやったことなかったので、その難しさですかね。
どっちかというとおとなしい方なので、テンションの持っていき方とか。
遊びに来ているお客さんには楽しんでもらいたいし、那覇店は特に明るい雰囲気だったので勉強になりました。
寺山
イントラはガイドや物販、講習、接客などいろいろな業種があるじゃないですか。
一般的に全部教えてもらうんですか?
三浦
私がやっていたのは基本はガイドになるためのトレーニングですね。
とにかくひたすらアシスタントでついていって潜る。
私もガイドしたいという思いが最初から強かったので、早く地形や魚を覚えなきゃと思いながらやってました。
物販とかは一切教わってないかな。
入り口は一緒なんですけど、途中から自分の希望によってガイドチームと講習チームに分かれるんです。
だいたい半々くらいに分かれますかね。
寺山
なにが分かれるポイントだと思います?
三浦
探究心が強い人がガイドになる気がしますね。
接客とか人と話すのが好きな人は教える側になる感じがあるかな。
寺山
SSCを終えたあとはすぐ阿嘉島に?
やっぱり海の仕事いいな、続けようって感じですか?
三浦
3、4日後には阿嘉島に来てました。
自分の中ではなんの迷いもなく、続けることが当たり前という感じでしたね。
SSCは助走期間で、イントラに受かるのは当然、その後から自分がやるべきことがスタートというイメージです。
ダイビングインストラクターの実際の仕事とは?
やりがい、難しさ、楽しさ、苦労……
寺山
実際就職してみて、イメージのギャップはありました?
三浦
那覇店だと同じ船に他にもガイドはいるけど、阿嘉島だと船長と2人で海に出たりするんですよね。
頼りにする人がいないので、よりレベルを高くしないなというのはありました。
それがまた新鮮だったりもするんですけど。
寺山
これが厳しかった、大変だったという点はありますか?
三浦
自分が先頭に立ってガイドするのは阿嘉島にきてからが初めてだったので、アシスタントの頃とは全然違う「人の命を預かるという」という責任感は感じました。
引き締めてやっていかないといけないなと。
あとは、最初の頃は自分よりも潜ってるお客さんも多いので、そういう方は気を遣いましたね。
うまい具合に「教えてください!」というのを出しつつ、こちらも見せていかなきゃいけないというのもあるので、バランスをとりながらやってました。
でもそういうプレッシャーってすごく大事で。
もっと勉強しなきゃいけないなと思って、休みの日も潜ってネタを仕入れたり、地形を覚えていました。
寺山
三浦さんにとってのガイドの面白さ、やりがいはなんですか?
三浦
やっぱり、自分が先頭に立った海でお客さんがものすごく喜んでくれる、そこに尽きますね。
自分はビギナーはもちろん、リピーターさんでも飽きないようにというのに力を注いでいるので「慶良間ってこんなところがあるんだ!」っていう言葉は特に嬉しいですね。
寺山
ガイドだと、陸のコミュニケーションも大切なイメージですが、それはどうですかね?
三浦
そこは大事ですね。もしかしたら海より大事かも。
寺山
三浦さん自身も先ほど無口なのでって言っていて、お客さん同士をなじませるみたいなことが苦手な人も多い気もしますが、慣れや勉強したら克服できるものですかね?
三浦
慣れもあると思いますが、海に対して自信がついてくるとオドオドしなくなって、逆にお客さんが頼って質問してくれたり、自然と会話が増えると思います。
でも1年目はやっぱり話しかけづらかったり、お客さんもベテランガイドと顔見知りだったりするとそっちと話してしまいますしね。
1年目はそこが一番つまづくというか、難しいかも。
阿嘉島店だとログ付けが毎日19時半からあるんですけど、そこで初めましての人とお酒を飲みながら雑談を交えながらというのは結構難しくて鍛えられました。今は時代の流れで、そう飲みが多いわけではないですが、苦手な部分を克服できるきっかけになりました。
結局、お客様の人柄を把握している方がガイドにも活かせますしね。
ただ、僕とは逆に、人によっては海の方が苦手で、コミュニケーションの方が自信あるっていう人もいるんですけどね。
収入より“どこまで突き詰めたいか”が大事
ガイドという仕事
寺山
三浦さんが考える、ガイドに必要な要素って何だと思いますか?
三浦
まずは根底的な明るさというか、ポジティブさですかね。あとは根気。
5〜10年やって熟知して味が出る、プラスアルファの海をお見せできると思っているので、2,3年で満足してしまうようではダメだと思いますね。
寺山
大人しいタイプのガイドさんもいるんですかね?
三浦
大人しくてもガッツがあれば大丈夫だと思います。
あとはやっぱり体力ですね。
怪我しちゃいけない職業なので、柔軟運動や軽めの筋トレ、ランニング、食事など、そういうのは心掛ける意識が必要ですね。
うちの店でも筋トレを義務化したいくらいです!
寺山
海の仕事でよく聞かれることですが、収入面の不安についてはどう思いますか?
三浦
収入はやっぱりSEをやっている同年代と比べたら少ない方だとは思います。
20代のころはそこまで差がないかもしれないですが、30代以降になると私がやってたSEなんかは年収800万〜1000万いってる人もいるだろうし、そういうのと比べてしまうと悪いですかね。ただ、それでもSEはもうやりたくない(笑)。
ですから、家族の理解、時にサポートは必要かもしれませんが、どんな仕事でも同じですよね。
雇われながら裕福な仕事したいのであれば、副業をするとか、工夫が必要かなとは思います。
寺山
三浦さんの中ではどういう風に折り合いをつけてやってるんですか?
三浦
私はお金は二の次と思ってこの仕事を初めて、それは今も変わらないです。
あるに越したことはないですけどね。
独立してショップオーナーになって……という道もありますが、今のところそのつもりはないので、シーサーでもらえるように頑張っていくというスタイルですかね。
寺山
イントラやガイドを続けていくというのは、自分次第の部分が大きいですかね?
三浦
本当にやりたかったら、安いなら安いで自分で工夫してどっかから稼ごうとするかもしれないし、もっと売上上げて給料やボーナス交渉をするくらい頑張ればいいと思う。
それこそ、若いころはバイトしながらでもいいと思います。結果は後からついてきていますしね。
続けていくのに必要なことは、自分がどこまでやりたいか、突き詰めたいかだと思っています。
この仕事、好奇心が尽きない人は飽きないんじゃないかな。
慶良間はポイントが多いからまだ知らないところがあると思うので、自分はそういうのを開拓していきたいですね。
オリジナルポイントもそうだし、粟国はギンガメ、石垣はマンタみたいなパンチのあるものを、慶良間でも見つけたいなと。
寺山
逆に辞めちゃう人も少なくないと思うんですが、こういう人は辞めやすいというのはありますか?
三浦
やっぱりお金に困っていたり、シビアに考えてる人は辞めやすいです。
あとはけがや体力もそうだし、飽きちゃうとか、モチベーションが低い人。
目指すところが低い人は、ガイド、講習、操船など、わりとすぐに到達すると思うんですよね。
3、4年でなんとなく一通りできるようになると、それがゴールになって辞めちゃったりも少なくはないです。
10年続けて見える世界と
今後のやりたいこと
寺山
三浦さんは今後どうしたいというのはありますか?
三浦
僕は60歳まで現場でやりたいっていうのがあって……職人になりたいんですよね。
突き詰めていきたいです。
もちろん、シーサーを名実ともに日本一のお店にしたいというのもあります。
そのために自分は必要だと思うので、周りから「シーサーはすごい!」と思われるようにブランドを高めたいですね。
寺山
職人いいですね。後輩たちの憧れにもなりますよね。
三浦
多分今までシーサーでいないと思うんですよね。
独立せずに職人を目指してる人。
それが評価されなくてもいいんですけど、若い子たちの中で「あのおじさん頑張ってるから自分もやらなきゃ」って思える存在になれたらいいかな。
寺山
確かに、シーサーさんてライトな層を受け入れるお店ってイメージが強かったかも。ガイドというより、都市型ショップ的な雰囲気かと思っていました。
三浦さんのように職人ガイド目指している人がいるのは正直、意外でした。
ちなみに1年目のときと今だと見えてるものが全然違うと思うんですが、一番変わったことってなんですか?
三浦
立場が現場のTOPになって、人任せにはできないし、他の子たちがやってることや困ってることとかも見なきゃいけない。
1年目はただ先輩たちの背中を追いかけて、知らないことをただ知ればいい。
今は逆に自分の知ってることをどんどんシェアして、周りの知らないことをなくすという感じです。
とは言っても、今の方がやりがいはあるんです。
自分が慶良間を追求してきて、シーサーの誰も知らないポイントの情報とかをどんどん渡したりして、自分のやってきたことがお店にとってプラスになってるんだなというのは感じますね。
寺山
同僚の方でもガイドや事務などいろいろな働き方をしていると思いますが、やっていくうちに適材適所に配置されていくんでしょうか?
三浦
上から指示されるというよりかは、自分で選んでる人が多いんじゃないかと。
体力がなくなってきたから事務や物販に行く、講習やりたいからコースディレクターのプロになるなど……
寺山
受け皿が広くあるというのは大きいですね。スケールメリットって、どうしても料金的なことに目がいきがちですが、いろんな仕事を選択できる方に活きるのは働く側もよいですね。
三浦
それは大きいですよね。
結婚しても安心して続けられるので、それはシーサーの魅力であり、強みであると思います。
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■supported by マリンハウス シーサー