日本に迫る危機、海と地球温暖化がカギか。編集部注目の新ドラマ『日本沈没』がおもしろい
TBS系日曜劇場で放送中の、小栗旬氏主演のドラマ『日本沈没-希望のひと-』をご存知だろうか。10月17日に第2話が放送され、平均視聴率(世帯)は15.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、前週の15.8%(同)に続き好調をキープした。オーシャナ編集部も注目する本ドラマの概要と注目ポイントを紹介していく。
原作は小松左京氏による不朽の名作『日本沈没』
本ドラマの原作は、1973年に刊行された小松左京氏による不朽の名作『日本沈没』。翌年にはTBSでテレビドラマ化がされているが、それ以降もドラマのみならず映画やアニメ、漫画など様々なかたちで語り継がれてきた。
刊行から48年の時を経て、大きくアレンジを加えた今作は、主人公を含めオリジナルキャラクターで、2023年の東京を舞台に、沈没という目に見えない危機が迫る中で「見出していく希望」をテーマに描かれている。
日本に迫る未曾有の危機。そこに立ち向かう勇気あるリーダーたち
今や日本を代表する俳優の一人、小栗旬氏演じる主人公・天海啓示(あまみ・けいし)がスキューバダイビングをしながら海に浮かぶレジ袋を取るシーンから、物語は始まる。天海は、目的のためには手段を選ばず、時には強引な手法で政策を推し進めてきた野心家の環境省官僚。各省庁の次代を担う精鋭達を招集した“日本未来推進会議”に環境省代表として参加する。天海と同じく“日本未来推進会議”に経産省代表として参加している常盤紘一(ときわ・こういち)を演じるのは松山ケンイチ氏。大手財閥の父を持つことから産業界にも顔が利く有力な若手官僚で、“日本未来推進会議”では議長も務めている有能な人物。天海とは大学の同期で互いを認め合っている。
杏氏が演じる週刊誌の女性記者・椎名実梨(しいな・みのり)は正義感が強く、かつては政治部の記者だったが、攻撃的な姿勢が理由で週刊誌に異動させられた。新聞記者に戻るために大きなスクープをあげるべく、環境省の腐敗を暴こうと必死に取材を続けている中で天海と出会う。
また、天海や常盤が参加している“日本未来推進会議”を発足した張本人であり、誠実さが売りで国民からの支持率が高い総理大臣・東山栄一(ひがしやま・えいいち)役は仲村トオル氏。東山総理は日本を環境先進国に向かわせるべく、地下開発(COMS<コムス>)の推進を発表。
“日本未来推進会議”が行われる中、日本地球物理学界の異端児として学界の鼻つまみ者扱いをされていた香川照之氏演じる田所雄介(たどころ・ゆうすけ)が突然“日本沈没の危機”を訴え始める。そんな中、ある日天海が趣味であるスキューバダイビングに。そこで海底の裂け目に引き込まれそうになり、海の異変に気づいたところから物語は急展開していく。
田所は最初、「インチキ学者のたわごと」と相手にされないが、状況が“予測した通りに進んでいき、次第にその発言が注目されるようになる。やがて日本は未曽有の危機に直面していく。
参照:はじめに|TBSテレビ:日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』
オーシャナ編集部から観た『日本沈没-希望のひと-』
本ドラマの舞台は2023年と遠い未来ではない。物語も地球温暖化により“地震で日本が沈没する”というリアルなもの。私たちが生きる2021年も、地球温暖化の影響でサンゴの白化や海面上昇など、目に見えるかたちで影響が出始めている。今の私たちに、“多くの人命が脅かされる前に、今すぐ行動しなければ手遅れになる”という警鐘を鳴らしているかのような印象を受けた。
また、“経済”を取るか“環境”を取るかの間に立たされた天海の「日本の未来は我々にかかっているんです」というセリフについても、周囲の意見に惑わされず信念を貫く日本の若きリーダーの姿が、現実の地球温暖化に対して行動を起こしている若い世代と重なった。遠い未来のSFドラマではなく、現実に近い物語であるところも興味深い。とはいえ、環境問題の色が濃すぎるわけではなく、日本を救おうと戦う人間ドラマも色濃く反映している物語のため、誰もが抵抗なく観ることができるのではないかと思う。
全世界で叫ばれている地球温暖化。今だからこそ観る物語にふさわしいのではないだろうか。オーシャナとも関連深い“海”や地球温暖化”をキーワードにしている本ドラマに、編集部も注目していきたい。最終回終了後には、オーシャナ編集部セリーナが小松左京氏による原作「日本沈没」を読んだ上で、本ドラマのレビューをお届け予定。お楽しみに!
第4話は11月7日、日曜午後9時から。ぜひご覧ください!
『日本沈没-希望のひと-』公式ホームページはこちら