海に沈んでしまうかもしれない町と、ごみアーティストがコラボアートに込めた想いとは

10月10日(日)より放送が開始した、日曜劇場『日本沈没-希望のひと-』はご覧になっていますか?編集部内では、原作とドラマを同時進行にみるという事がプチ流行しています(笑)。
環境問題について見直すきっかけにと、ドラマ『日本沈没-希望のひと-』、徳島県美浜町、現代芸術家の淀川テクニック氏によるトリプルコラボアート作品「ReHOPE POSTER」が制作された。そこで今回は、海洋ごみを使用して作られた作品について紹介したい。

日曜劇場『日本沈没-希望のひと-』のプロモーションの一環とし、地震などの災害を懸念しまちを離れる震災前過疎にも負けず、事前復興まちづくりに取り組む徳島県美波町と、ゴミや漂流物を使って数々のアート作品を制作してきた現代芸術家・淀川テクニック氏とともに、コラボアート作品を制作した。アート素材には美波町由岐湾内地区の浜に漂着したごみを使用し、日本列島を表現したデザインが完成。その名も「ReHOPE POSTER」。TBS秋ドラマ展を開催している赤坂BizタワーSHOPS & DINING アトリウム2Fにて、10/30(土)まで展示されている。

淀川テクニック氏と美波町の方々とReHOPE POSTER

徳島県美波町役場由岐支所にて作品とメイキングムービーの先行公開を行い、赤坂Bizタワーにて期間限定公開も行なっている

何故、トリプルコラボが実現したのか?

①美波町とともに制作した理由

〜「まぼろしの町になる」 子どもたちが失いかけていた希望を取り戻そうとする人々がいる町〜
徳島県美波町は、ウミガメが産卵に訪れる美しい浜辺や海の幸が観光資源の、太平洋に面した自然豊かな町。一方で、近い将来の発生が懸念される“南海トラフ地震”でも、最大20m超の津波が予測されており、特に高齢化率が5割を超える由岐湾内地区では建物浸水率99%の被害が想定されている。そのため、「震災前過疎」という問題に直面し、仮に震災が発生した後も町は復興できるのか?との危機感を持っている。

徳島県美波町由岐湾内地区の航空写真

それでも美波町の人々は諦めずに、過疎と防災という2つの危機に直面しても未来に希望があることを信じ、「次の世代に残すべき美波町」を自ら考え、「震災は発生する前提で、住み続けられるまちづくりをどう考えるべきか」などの事前復興対策や、防災ツーリズムなどの地域活性化に住民や行政、大学が協力して取り組んでいることから、今回のコラボ制作が実現した。

由岐湾内地区防災ツーリズムの取り組み一例

②淀川テクニック氏とともに制作した理由

〜淀川から始まり、世界中でゴミをアートに変え、新たな希望の光を灯す希代の芸術家〜
淀川テクニック氏は、 2003年に大阪・淀川から活動開始された現代芸術家。「淀川の屋根もない、電気もない、ゴミしか無い、絶望的な何も無い環境でアート作品を作っていた。“だからこそ面白い”という気持ちで、自分の作りたい作品という未来に向かっていく」という信念を持ち、ゴミや漂流物などを使い、様々な造形物を制作している。

©︎淀川テクニック Courtesy of YUKARI ART

さらには、岡山県・宇野港に常設展示された「宇野のチヌ」「宇野の子チヌ」など、その場所に住む人や作品を見に訪れる人たちに感動と、同時に環境問題を考えるきっかけや向き合う希望を与え続ける活動をしていることから、今回のコラボ制作が実現した。

©︎淀川テクニック Courtesy of YUKARI ART

アート作品で伝えたかったこと

原作発表から約半世紀を経て新たによみがえる『日本沈没-希望のひと-』は、「一筋の希望の光を見出すために奮闘する人たちの物語」。そして、この物語を実際に体現している徳島県美波町の人々と淀川テクニック氏(=諦めずに信念を貫く“希望のひと”たち)とともに、一度は捨てられたゴミを拾い集め、“ふたたび希望の光を投げかけるもの”としてアート作品「ReHOPE POSTER」に生まれ変わる物語こそが、作品の魅力を本質的に伝えられると考えたという。

美波町由宇の浜をバックにしたReHOPE POSTER

展示説明ボード

「ReHOPE POSTER」

展示期間:10月30日(土)まで/展示時間 :11:00~19:00
展示場所:TBS秋ドラマ展(赤坂Bizタワー SHOPS & DINING アトリウム2F)

ドラマのストーリーと類似・関連した地域とのコラボアート作品。それぞれの思いが重なることで、たった一つの作品が、何倍にも意味のある作品に生まれ変わるという印象を受けた。展示期間まで残り少し、お時間がある方は実際に足を運んでみてはいかがだろう。

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PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
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