ダイビングを長く楽しむために 健康でいることのススメ

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ダイビングを長く楽しむために 健康でいることのススメ

健康でいることは、日常生活では不可欠な要素です。体の状態を良くするために、フィットネスに通ったり、食生活を考えたり、さまざまな工夫をして生活をします。では、ダイバーは、ダイビングをするうえで求められる身体適正を満たしているのでしょうか?

浮力コントロールに慣れて比較的に体力を使わずに潜れるようになってくると、どうしても出てくる健康問題への過信。今回は、このようなダイビングにおける「健康」への意識問題について、DAN AP副社長にしてDANメディカルサービスのJoel Dovenbarger氏とDr. James Caruso氏が考察します。
※本記事はDAN JAPANが発行する会報誌「Alert Diver」2018年5月号からの転載です。

不健康な状態でのダイビングが及ぼす2つのリスク

「健康」とは、毎日の食事の脂肪や炭水化物の制限など、規則正しいライフスタイルによって得られる結果です。それと同時に、単なる結果だけではなく、健康上の問題に対処する姿勢を示すものでもあります。

スクーバダイビングをする際に、ダイバーが健康でない場合、2つのリスクが浮上します。1つ目のリスクは、ダイバーが自身の運動適性を過度に楽観視してしまうこと。2つ目は、バディが救助する側になる可能性が増すので、バディの負うリスクが高まることです。

ダイビングは体に負担がかからない?過小評価されがちな身体適性

スクーバダイビングでは、激しい運動に起因する心血管への負荷、および呼吸要求を満たすことができるぐらいの運動適性が必要となります。

ダイバーが適切な浮力コントロール下でダイビングしている場合、無重力と似た状態となり比較的にそこまで体力を使わずに潜ることができます。さらに、ときにはカレントに乗り、ほとんど運動せずに潜ることもあります。このため、ダイバーは緊急事態発生時でも、安全にダイビングするのに必要とされる身体適性を、過小評価してしまいがちです。

しかし、そのような負担が少ないリラックスしたダイビングでも、ダイビング中には心血管の血流に変化が生じ、心臓へ負担をかけることもあります。これは、心疾患が発症する十分なストレス要因になります。緊急事態が発生した際には、さらなるストレスが加わるでしょう。健康そうに見えたとしても、毎年数名のダイバーが心臓発作を原因としてダイビング中に死亡します。ただ、これらのダイバーの中には、健康状態に多少の問題があるダイバーも含まれています。

ダイビングを長く楽しむために 健康でいることのススメ

定期的な健康診断が必要!加齢における心疾患リスクの増加

主治医による健康診断を受けることは、ダイバーが健康を管理する良い方法です。健康診断では、病気を予防し、健康を促進する生活習慣を維持するために役立つ情報が提供されます。

では、なぜ“定期的” に健康診断を受ける必要があるのでしょうか? 人間は年齢を重ねるにつれ、糖尿病やがん、心疾患などに罹患する可能性が高まります。ダイバーが注意すべきことは、先述したように心疾患リスクが増加することです。

心血管疾患のような、心臓のみならず血管にも関わる病気のリスク要因としては、コレステロールと飽和脂肪の多い食習慣、喫煙、運動不足、そして、糖尿病、高血圧などが挙げられます。リスクの一部は遺伝的なものですが、残念ながら多くの人は、胸や肩の痛み、息切れ、突然の意識喪失などのような症状が現れ出すまで、問題が存在していることに気づきません。通常、心疾患は運動や労作と関連して発生しますが、感情的なストレスが高まった際にも症状が出る場合があるのは先に述べた通りです。

「健康である」という認定には徹底した身体検査が必要

45歳以上のダイバーにおける潜水適性検査では、心臓の負荷テストが最重要項目となります。負荷テスト中の心臓機能を評価することにより、心臓の健康状態を判断できます。たとえば、検査中に不整脈や高血圧などが見られた場合、これから起こるかもしれない体の問題を察知できる可能性があります。

慢性的、もしくは突発的に発生した痛み、めまい、耳鳴り、排便・排尿の問題など、体の異常に気づいたら、決して軽視せず、健康上の不安について、積極的に医師に相談しましょう。「 健康である」という認定を医師から得たいのであれば、負荷テストのほかにも検査を実施する必要があります。大部分はダイビングを続けるうえで必要のない検査ですが、徹底的な身体検査をするために必要なことです。

ダイビングを生涯楽しんでいくために「健康」に対してしっかり行動する

健康的な食生活のアドバイスに留意し、運動プログラムを利用して、持久力と心臓・血管の健康を得るように行動しましょう。コレステロール値が高い場合、薬物治療が必要か、それとも食生活と運動を改善してコントロール可能か、などを判断します。医師のアドバイスに従い、もしダイビングと関連する質問がある場合は、医師からDANに連絡してもらうことも可能です。
 
これからの自分を大切にするために、より健康に対して時間を取るようにしてください。そうすれば、生涯長く、スクーバダイビングを楽しむことができるでしょう。

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