柔道とセックスとダイビングと…。危ないのはどれ?
先日、ジョーズで作られてしまった「サメが怖い」というイメージを払しょくする(?)記事を掲載したところ、大きな反響がありました。
と同時に、「では、ダイビング自体はどうなのかしら?」というご質問をいただいたのですが、数だけで考えれば、サメはもちろん、窒息プレイよりダイビングでの死亡事故の方が少なく(笑)、ツララあたりといい勝負をするのではないでしょうか。
ただ、絶対数だと本当の意味でのリスクは見えてこないので、いろいろな“死亡率”について調べてみましたので比較してみましょう。
※といっても、調べたというより“ネットで拾った”データで、年代だったり条件だったりはバラバラで、原因だったり誘因だったり、比較するデータとしてはかなりいい加減なので、お遊び程度にひとつ……。
まず、そもそもダイビングの死亡率はどれくらいでしょうか?
以前、やどかり仙人さんが記事の中で考察しています。
「世界各国が提出したダイビングの10万人あたりの死亡率は、オーストラリアの3.57人からフィンランドの62人、果ては限りなくゼロ人まで、まるでまさにてんでんばらばら」
というように、死亡率の分母となるダイバー人口自体の把握が難しいので、確かな統計を出すことはなかなか難しいようです。
と、ここであきらめると記事が終わってしまいますので(笑)、なんとか具体的な統計をひっぱりだすと、DANアメリカの統計。
「2000〜2006年の保険加入者数約113万人、死亡事故者187人、そのほかのデータから算出された、死亡事故率は、10万人に16.4人ということでありました。海を隔てた英国のダイバー組織BSACの統計も非常によく似た、14.4人としています」
10万人に15人前後の死亡率。
ひとまず、この数字をもとに、ほかのスポーツの死亡率と比べてみましょう。
■柔道 10万人に2.592人
■水泳 10万人に1.77人(アメリカ)
■スカイダイビング 10万人に0.99人(アメリカ)
■野球 10万人に0.513人
■サッカー 10万人に 0.97人(ドイツ)
■スキー 10万人0.06人(アメリカ)
うっ。
この記事の当初のもくろみとしては、「ダイビングって危ないって言われているけど、そんなことないですからっ!」という落とし込み予定だったのですが、他のスポーツと比べるとかなり高いんじゃ……。
で、では、スポーツ以外ではどうでしょう。
■自殺 10万人に24人
■交通事故 10万人に9人
■地震 10万人に5人
■火事 10万人に1.5人
■エベレスト登頂 10万人に9393人(※アンナプルナ登頂は40800人)
■たばこ 10万人に1141人(イギリス)
■アルコール 10万人に12.5人(アメリカ)
■セックス 10万人に20人
ほら!
自殺するくらいならダイビングをすればいいし、セックスみたいに気持ちいいことで死ねれば本望だし、エベレストに登るのに比べれば、ダイビングってな~んて安全なん……むむ。く、苦しい……。
実際、「危険なスポーツ10」という記事の中では、洞窟ダイビングが見事1位に輝いているようで……。
※
何やらダイビングのネガティブキャンペーンをやっていると怒られそうですが、そもそも論に戻ると、10万人に15人前後というダイビングの死亡率は、やどかり仙人さんも言っているように「ダイバー保険に加入するようなダイバーは、ダイビング活動にアグレシッブで、ダイビング回数が多いということも考えられます」。
「やや乱暴ですがアメリカのダイバー人口を300万人、年間の死亡事故者を100人とすると、10万人につき3.3人ということになります」という考察もできるほど、まあいい加減なものであります。
ただ、ダイビングは車に乗るよりは安全かもしれないですが、他のスポーツに比べて死亡率が低いわけではないようです。
なにも脅かすつもりはないのですが、やはり非日常空間の水の中では、ときに気を引き締めることは大事だと思い出させてくれる数字です。
また、全体としては、潜水事故の情報開示とその分析から学ぶことはとても大事なことだなとも改めて思ったのでした。
きちんとリスクにも目を向けるのであれば、退屈でリスクのない日常から脱却し、リスク無限で非日常が過ぎる(笑)エベレスト登山まではどうかと思う人にとって、手軽に非日常空間で楽しめるダイビングは、より魅力に満ちたものになるのでしょう。