バリ島事故、2/20の現地状況、証言の食い違い、そしてご家族からのお礼

インドネシア・バリ島近辺の海域でのダイビング事故。

昨日(19日)の記事(バリ島でのダイビング事故、現状の経過と今後の検証・総括に向けて)以降から今日(20日)にかけての流れや関連事項は、一番下のTwitter履歴を参考ください。

セブ島のサンゴ(撮影:越智隆治)

※写真はイメージです。今回の事故とは関係ありません

本日の捜索状況と明日の予定

本日19:45現在、捜索に参加していた現地ダイビングショップガイドによると、午前2艇、午後3艇のボートとヘリコプターで、ヌサペニダからサヌールの南北沿岸まで広域の範囲を懸命に探しましたが、残念ながら、残り1人の行方不明者・高橋祥子さんの発見にはいたりませんでした。

警察は今日で捜索は打ち切りとのことですが、皆さんのバックアップもあり、ダイビングショップ有志の皆さんは、明日、最後の捜索に出る予定です。
※明日が捜索の最終日となる予定です。

最後まで望みを捨てないでいたいと思います。

救出されたご家族からの皆さんへのお礼

本日(2013年2月20日)救出された山本栄美さん(33)のお父様と冨田奈穂美さん(28)の旦那様から、電話をいただきましたのでご報告します。
オーシャナを通じて支援してくださった皆様へ向けたものです。
(協力金ももちろんですが、情報を拡散していただいたすべての皆様に対してです)

残り一人高橋さんのことを気にしつつも、「このたびはご支援いただき感謝しています」、「おかげ様で無事に助かりました。本当にありがとうございました」、「日本からの支援の大きさを聞いて、ずっと心強く思っていました」と何度も何度も皆様へ感謝を述べておりました。

皆様の素早い行動や思いは形となって、実際の捜索活動はもちろん、ご家族にも届いておりました。

異なる見解。足りないピース
検証へ向けて

一般メディアが一斉に引きつつあり、終息ムードに向かっていますが、ダイビング界としてはこれからがまさに始まりです。

生存者である、現地受け入れのガイドインストラクター古川さんとショップツアーのリーダーインストラクター山本さんが証言したことにより、だいぶダイビング自体の内容がわかってきましたが、全貌を明らかにするには証言は不十分、不明点があり、食い違う点も。

■ダイビングショップワンピースの4名の証言を総合した山本栄美さんの証言
バリ島沖事故:救助4人の書面インタビュー回答詳細 – 毎日新聞

■古川さんの一問一答
【バリ島沖日本人不明】「洗濯機の水流のよう」「ココナッツが流れてきて」「翌朝まで手を取り合った」古川さんの一問一答(1/6ページ) – MSN産経west

ただ、極限状態での体験であり、現在混乱状況であること、そして、回答が書面、質問者がダイバーでない可能性などなど、いたしかたないと思います。

さらに、受け入れ側でバリの海を何年も潜っているガイドインストラクターと、参加側のショップのリーダーインストラクターという立場の違う二人からの見え方が違うのも当然でしょう。

ただ、ここでは全体像を把握するため、情報を整理しておくため、事故原因に関係してきそうな、20日8:00時点での古川さんと山本さんの証言の相違点を挙げておきます。

流れにおける相違点

(古川さん)
波はほぼなく、流れもサケナンポイントとしては平均的な穏やかな流波はほぼなく、流れもサケナンポイントとしては平均的な穏やかな流れのドリフトダイブ

(山本さん)
ダイビングは、「こんなに流されて大丈夫かと不安に思った」というほどの激流

ダイビング時間における相違点

(古川さん)
メンバー全員で安全停止を浅瀬で行い、サケナンポイント内で水面に通常浮上。

(山本さん)
ダイビング時間40分の予定を早めに切り上げ水面に浮上。

天候・海面状況の相違点

(古川さん)
強風で波がたち、豪雨で視界が悪くなっていた。
とにかく急な雨と風で一時的に視界がかなりきかなくなった。

(山本さん)
浮上時、スコールは降っていなかった。
水面は多少のうねりはあったが、波はエントリー時と同じく、基本的には落ち着いていて凪の状態。

天候や海況などの自然条件は事故原因に大きく関わるポイント。
また、想像以上の流れ、あるいはダイビング時間の変更など想定外の要素はどこまであったのか。こちらも事故原因に関わるポイント。

相違点を確認し、さらに二人に話を聞いてみないと原因はわからないです。
急がなくてもいいと思います。

もう一度言っておきますが、誰が嘘を言っているとか、誰が悪いと言っているのはありません。
検証のための情報を整理をしているだけです。

ちなみに、ピックアップする側の船長の証言も紹介しておきます。

「3ダイブ目開始時の天候は良好。だが海に潜って15分後に天候が急変、曇り空から激しい雨になったとのこと。『激しい雨によって、ダイバーが海中のどの辺りにいるかを示す海面の泡が見えなくなり、ダイバーの位置を見失った』」

そんな船長も起訴されるとの報道もありますが、事実関係の検証を丁寧にやっていただきたいと思います。
スケープゴートにされることのないよう、行方を見守ると共に、検証もしていきたいと思います。

捜索協力費について

捜索協力金の募集は昨日ストップいたしましたが、本日の時点で、約650万円が集まっています。

明日、捜索が終わる予定ですので、今月のどこかに自分がバリに行き、現地の皆さんや事故当事者・ご家族ご友人と確認のうえ、ご報告します。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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