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ダイビングの漂流時、“ウエイトを捨てない”という選択の可能性 ~バリ島ヌサペニダより~閲覧無制限

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漂流事故に関する取材で、バリ島に行ってきました。

バリ屈指のダイビングポイント、ヌサペニダ島の「マンタポイント」。潮当たりが良く豊穣の海

バリ屈指のダイビングポイント、ヌサペニダ島の「マンタポイント」。潮当たりが良く豊穣の海

詳しくは冊子にまとめるのでそちらを見ていただくとして、今回は、漂流現場となったヌサペニダを専門に潜る「スランガンマリンサービス」の三木弘子さんから、興味深い提言をいただいたので紹介します。

最初に結論を言えば、「漂流時には、器材はもちろん、ウエイトも捨てない方がいい場合もあるのかも。ヌサペニダではその方が有効な場合が考えられます」というものです。

ウエイトを“捨てない”
選択肢が必要なわけ

漂流時に何を捨てるかということは議論が多々ありますが、レギュレーター&タンクについては、呼吸源の確保と身軽さのメリットを天秤にかけて、状況に応じて選択するしかありません。
また、浮力という観点から、タンクに浮力があれば、タンクを背に寝たり、タンクにまたがって海面上に体を出せるということのメリットを指摘する声もあります。

いずれにせよ、状況次第というところもありますが、一方で、体力温存のために「ウエイトをすぐに捨てる」ということは、割と一般的に推奨されています。

しかし、三木さんは「捨てない方がよい場合もあるのかも」とおっしゃいます。

つまり、“潜る”という選択肢を持っておくということです。

タンクとレギュレーターで呼吸源を確保しても、ウエイトがないと潜れませんからね。
※もちろん、ウエイト無しで潜れる場合は別です

上陸を目指す際に、水面より水中の方が移動しやすいケースや、流れが速い場合は海底をつかみながらでないと陸へアプローチできないケースがある、という指摘でした。

ウエイトを“捨てる”メリットは
絶対的か!?

また、ウエイトを捨てることが体力温存につながるという理屈について、個人的には、そこまで大きなメリットなのかというと、一概にそうは言えないというのが実感です。

逆にいえば、BCでしっかり浮力を確保すれば、ウエイトがあってもなくてもそれほど気にならず、むしろ水面に浮いている際に、バランスが崩れる方が気になります。

また、ウエイトを装備したままの方が死亡事故件数が多い、事故率が高いというデータがあり、それをもってウエイトを捨てる方がよいという声もありますが、条件がそろった上での比較データなのかどうか不明です(僕が知らないだけかもなので、知っていたらデータが欲しいです! 必ず紹介します)。

つまり、捨てないデメリットより、上陸のチャンスにおける最後の判断・選択の際に“潜る”オプションがあることのメリットが大きいケースもあるのかもしれません。

もちろん、流れがない、身軽になる必要がある、上陸のチャンスがない、潜るより水面を泳いだ方が有効という判断をしたなら、ウエイトは捨ててしまえばいいのですが、「ウエイトはすぐに捨てるもの」が、デフォルトでよいのかどうかは、議論の余地があるのかもしれません。

実際、ヌサペニダで長年潜っている経験から、流れや地形を考慮した結果、“潜る”という選択肢の考慮するという考えは傾聴するに値します。

最後に、主旨からは脱線しますが、いくら手順やシミュレーションが完璧でも、ドリフトをするような海況では、最後は体力・泳力・筋力がものをいうことも間違いありません。

「慣れれば、むしろドリフトダイビングの方が楽」は嘘なので、対応できるだけの自分の“力”をつけるか、自分の力に合わせた海で潜ることが大事でしょう。

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