事故でイントラが謝らないワケ
先日アップした「目の前で起った事故とイントラの保身」に対して、
ダイバーだけでなく、現役のイントラやガイドからメールを何通もいただいた。
「考えさせられた」「私も保身を考えてしまったかもしれない」
「同じイントラとしてありえない」などいろいろ意見があったが、
気になったのが「謝りたいけど謝れない」「謝るのをためらってしまう」といった内容のもの。
おそらくこのイントラやガイドは、こんな大きな勘違いをしている。
謝ると不利になる。
謝ることによって訴訟を起こされる、
謝ることによって過失を認めたことになり裁判で負ける。
そこまで具体的には思っていなくても、
こういう意識が根底に流れているのではないだろうか?
これは交通事故などでもよくある勘違い。
自分が悪かったと感じても、後に不利になることを恐れて謝らなかったり、
全部自分が悪いわけではないと自己正当化に走り、
「でも、そっちも少しは悪いよね〜」などと言ってしまい、
かえって相手を激昂させてしまったり……。しかし、
謝罪することが、過失を認めたことにはならない。
2010年のJCUE FORAMで「ダイビングリーダーの判例からみたリスクマネジメント」で、
講師として招かれた弁護士も”よくある勘違い”として指摘していた。
むしろ、道義的に謝ることは大事で、こう言うといやらしいが、
被害者を怒らせないことが刑事罰にさせない第一歩なのだ。
「謝ると損をする」という風潮を生み出したアメリカ社会でも、
謝ることが裁判で不利にはならないというアイムソーリー法ができて、
風向きも変わってきている。
僕の尊敬するプロのダイバーたちは、
「経緯はともかく、事故を起こした事実だけでプロとして万死に値する」と言う。
極端な考え方だとは思うが、「謝ったら損をする」が刷り込まれている
ガイドやイントラより、こういうプロと一緒に潜りたいとは思いませんか?
僕が目撃した事故からだいぶ飛躍してしまったが、
ダイビング事故はババ抜きの側面を持つことも確か。
どんなに気をつけても起こるときには起こる。
そのときに、謝れるかどうかは、結構、大事なことだと思います。
■「謝ると損」という風潮になってしまった背景とアイムソーリー法
http://www007.upp.so-net.ne.jp/iemoto/column/0093.html