夏の伊豆大島ダイビングの魅力!ハンマーヘッドシャークの群れに、秋の浜やトウシキなど見どころを紹介

こんにちは。水中カメラマンの堀口和重です。

8月に入り太陽の日差しが強くなりましたね!
暑い日々が続き、仕事中も「海に行きたい」と思う方がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

さて、関東周辺のダイバーにとって“近場の海”と言えば、思いつくのは伊豆や千葉方面あたりでしょうか?

そちらもとてもおもしろいのですが、私が夏にぜひおすすめしたい場所のひとつが伊豆大島です。

東京・竹芝客船ターミナルから高速ジェット船で2時間以内で行けてしまう、伊豆七島の伊豆大島。

今回は、夏の伊豆大島の魅力をみなさんに紹介したいと思います!

伊豆大島 夏の魅力1
やっぱり「秋の浜」がおもしろい

伊豆大島のメインポイントの1つ「秋の浜」では、この夏もたくさんの珍しい生き物が見られています。

フォト派ダイバーならあれやこれやと目移りしてしまい、集中できなくなりそうです(笑)

今年はキシマハナダイの幼魚が随時見られており、ほかにもアサヒハナゴイの幼魚、和名のついていないオレンジストライプピグミーバスレットなど、ハナダイの仲間が満載。

今年は個体数が多いキシマハナダイ(撮影/堀口和重)

今年は個体数が多いキシマハナダイ(撮影/堀口和重)

少し深いところではハナダイの群れが(撮影/堀口和重)

少し深いところではハナダイの群れが(撮影/堀口和重)

砂地には人気のホタテツノハゼやヤシャハゼ、そして少し深いところではキザクラハゼやナノハナフブキハゼなど、マニアックなハゼの仲間たちに出会えます。

マニアックなハゼの仲間、ナノハナフブキハゼ(撮影/堀口和重)

マニアックなハゼの仲間、ナノハナフブキハゼ(撮影/堀口和重)

ほかにも、イロカエルアンコウなどの人気生物も観察することができました。
ここでもっと、さまざまな生き物をお見せしたいところなのですが、数が多すぎて紹介しきれないのです。

伊豆大島 夏の魅力2
早朝はハンマーヘッドの大群!

関東ダイバーにとってハンマーヘッドシャークと言えば、神子元島を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、実はここ、伊豆大島にも、ハンマーが狙えるポイントがあります。

ポイントは、北部にある「ケイカイ」

ハンマーのポイントというと、流れが強いとか、中~上級者向けというイメージがあるかもしれませんが、「ケイカイ」はビーチエントリーでハンマーが見られるという珍しいポイントです。

ハンマーが狙える時間帯は“早朝”とのこと。
撮影の際も、集合時間がなんと4時半! 起きるのも相当気合いが必要です(笑)

真っ暗な中で準備を始めるので、連日潜っていると正直「眠いな…」と思うこともありましたが、ハンマーの群れや近くまで寄ってくる個体に遭遇できたりすると、眠気は一気に吹き飛びました。

私が確認したのは30匹ぐらいの群れでしたが、次の日は100匹を超えていたとのこと……!!

ハンマーが見られるのは6月中旬から10月中旬あたりだそう。
この時期だけのお楽しみなので、ぜひみなさんもチャレンジしてみてください。

早朝のハンマーで興奮から目が覚める(撮影/堀口和重)

早朝のハンマーで興奮から目が覚める(撮影/堀口和重)

伊豆大島 夏の魅力3
夜の海で活発な生態行動を狙う

伊豆大島に行ったらぜひおすすめしたいのがナイトダイビング。

「秋の浜」のナイトダイビングでは、前回のヘッドラインでも紹介した私のイチオシ、謎の生態行動をするオキノスジエビが見られるほか、イサキのトルネードも見ることができました。

▶伊豆大島でオキノスジエビが大量出現!深海からゾロゾロワサワサ…大行進は夏場のミステリー!?

深場から集団移動するオキノスジエビ(撮影/堀口和重)

深場から集団移動するオキノスジエビ(撮影/堀口和重)

さらに、安全停止中の浅場には数個体のネコザメの姿も。
ネコザメも夜だと目が見えづらいようで、かなり近くまで寄ることができました。

浅場にはネコザメが数匹(撮影/堀口和重)

浅場にはネコザメが数匹(撮影/堀口和重)

伊豆大島 夏の魅力4
レベルを問わず楽しめるタイドプール

南部の「トウシキ」は、溶岩でできたタイドプール(潮だまり)と、豪快な根やドロップオフが楽しめる外洋、両方を楽しめるポイントです。

今回、撮影で潜ったのはタイドプール。タイドプール内の水深は4m前後という浅場のポイントで、シュノーケルに訪れる観光客も多い人気の場所です。

「秋の浜」など北部のポイントに比べると、より南方的な雰囲気の水中景観で、タイドプール内の壁一面に生えているイソギンチャクが見ものの1つ。

そこにクマノミやミツボシクロスズメダイなどがいたりするので、撮影をすると絵になります。

壁沿いはイソギンチャクでいっぱい!(撮影/堀口和重)

壁沿いはイソギンチャクでいっぱい!(撮影/堀口和重)

さらに、浅いタイドプール内から水面を見上げると人影が見えたり、泳いでいる人が見えたり、他のポイントとは少し違う変わった光景が広がります。

浅場には光がたくさん入り気持ちがいい(撮影/堀口和重)

浅場には光がたくさん入り気持ちがいい(撮影/堀口和重)

ちなみに「王の浜」というポイントにもタイドプールがあり、そこでは珍しいウミウシの仲間、コンシボリも見ることができました。

水深30㎝にいたコンシボリ(撮影/堀口和重)

水深30㎝にいたコンシボリ(撮影/堀口和重)

浅場ならではのカエルウオの求愛や喧嘩、卵の保護なども観察でき、飽きることがないポイントです。

お子さんがいる方は、シュノーケリングや磯遊びなどで、一緒に観察してみても楽しいと思います。

今回の撮影で私自身、早朝はハンマーを狙い、日中は「秋の浜」や「トウシキ」「王の浜」といったタイドプール、そして夜はナイトダイビングと、潜り込みました。

連日続けると当然のごとくフラフラになりましたが(笑)、それでも可能であればすぐにでも伊豆大島に戻りたいと思ってしまう、魅力にあふれた海でした。

週末少し遠出して潜りたいという方、夏休みの潜り先をまだ決めていないという方、伊豆大島は本当におすすめです!
ぜひ、遊びに行ってみてください。

ただし、フラフラにならない程度に潜ってくださいね!(笑)

■撮影協力/大島ダイビング連絡協議会
■撮影ショップ/伊豆大島ダイビングセンター伊豆大島イエローダイブ

堀口和重さん
プロフィール

horiguchi_profile

伊豆の大瀬崎にある大瀬館マリンサービスにチーフインストラクターガイドとして勤務後、2018年4月にプロのカメラマンに転向。
現在は伊豆を拠点に水中撮影から漁風景や海産物の加工まで海に関わる物の撮影を行っている。
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PROFILE
日本を拠点に活動している⽔中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストで⼊賞。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどに関連する雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載、水中生物の図鑑や教書にも写真提供している。2019年に日本政府観光局(JNTO)主催の“「⽇本の海」⽔中フォトコンテスト 2019”にて審査委員、2020年には“第28回 大瀬崎カレンダーフォトコンテスト”の特別審査員も務める。近年は訪⽇ダイビングツーリズム促進を⽬的として“NPO 法⼈ Japan Diving Experience”としての活動も⾏っている。
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