ウザいぐらい魚が好きなダイバーに案内される水族館はこんなに楽しい!

鴨川シーワールド

鴨川シーワールド(撮影:越智充奈子)

そこに行けば、普段触れ合うことのないような海の生物たちを目にすることができる素敵な場所、水族館。
そんな非日常空間を最大限楽しむためにはどうしたらいいのでしょう。

ぼくは思いつきました。

「お客さんに海を楽しませるプロである、ダイバーのプロガイドさんと一緒に行けば、水族館を最大限に楽しめるのではないか」

展示されている生物の親切な解説や豆知識があれば、きっと水族館を楽しむことができるでしょう。
これぞ新しい水族館の楽しみ方!

と、いうわけで今回、都内某所の水族館に、ダイバー、ノンダイバーと一緒に行ってみました!

ダイバー代表として、ダイビング歴10年、大瀬崎のマクロの世界に取り付かれ早6年、学生時代からサークルでガイドをしてきたという、ガイド歴5年の若手オタクインストラクター、細谷拓さん(24)。

ノンダイバーからは、水族館に行くのは5年ぶりだという横浜のインドア派ノンダイバー大学生、川合フミちゃん(21)。

今回、細谷さんの水族館ガイドで、フミちゃんは未だかつてないほど素晴らしい水族館経験をすることができるでしょう!!
早速館内を進んで行きます。

まず入口付近にあったのは淡水魚コーナーです。

フミちゃん

わぁー綺麗ですね!!

普段水族館に行くことのないフミちゃんはすでに大はしゃぎ。

が、インストラクター細谷さん、淡水魚コーナーには全く目も暮れず、フミちゃんと筆者をほっといて海水魚コーナーへ行こうとします。

細谷さん

だってさー、淡水魚って面白くないじゃん(笑)。グッピーとかネオンテトラとか、よくわかんないっす(笑)。みんな一緒に見えてくるし(笑)。
うん、ここは無視して海水魚見た方が面白いと思う!

フミ&筆者

……

……なんだか、随分偏った人を連れてきてしまった気がします。

言われるがまま淡水魚コーナーをほんのちょっとだけ見て、海水魚コーナーへ。

モルディブのキンギョハナダイ

フミちゃん

わー綺麗ですね、このオレンジのさか……

細谷さん

お、キンギョハナダイじゃん! あーでもこのオスのキンギョハナダイ、まだオスになりきってないな。キンギョハナダイって、最初はみんなメスなんだけど、群れの中で一番強いやつが一匹だけオスになるんだよ。
こいつはまだ色がメスっぽいよねぇ、オレンジがかってるしさ。目はちゃんと緑なんだけどね。

フミちゃん

そうなんですか。あ、これタツノオトシゴですかー?

細谷さん

これはオオウミウマだね。タツノオトシゴじゃないよ。こいつ小さいなぁ。大きいやつはこれの三倍くらいになるんだ。

フミちゃん

へぇ。あ、こっちの魚は…

細谷さん

クマドリカエルアンコウもいるね。あ、でもこいつは大きすぎるよ。稚魚の方がもっとカワイイのに…。
稚魚はもっと小さくて体も真っ白で目のところだけ赤いから、すげーカワイイの。俺はそっちの方が好きだなぁ。
でも、その小さくてカワイイのも、半年くらいで大きくなっちゃうんだけどね。

フミちゃん

こっちの…

細谷さん

あ、コクチフサカサゴじゃん! こいつだけで水槽一個使っちゃう、この展示センス好きだなぁ(笑)

フミちゃん

…へ、へぇ(苦笑)

1聞かれたら10返す勢いで、食い気味に解説する細谷さん。
対して、若干引き気味のフミちゃん(笑)。

その後も細谷さんの暴走(?) は続きます。

フミちゃん

これって、タカアシガニですよね!すごいですね!

細谷さん

ちなみに、一緒に水槽にいるのはユメカサゴだね。普段、こんな深場にいる魚見ることないから感動するなぁ。
深海の魚って、深海からあげたときに、地上は圧力が低いから一回膨らむんだよ。そのあと、もう一回圧力かけて元に戻すんだけどね。

フミちゃん

へぇーそうなんですか。ところで、タカアシガニって、茹でる前から赤いんですねぇ。

もはや会話の噛み合わないお二人です。

コンパクトデジカメで撮ったムレハタタテダイ(撮影:越智隆治)

が、後半の方になるにつれてフミちゃんの反応に変化が。

フミちゃん

あ、この魚、ニモの映画に出てましたよね。

細谷さん

あ、似てるけど、違うんだ。あれはツノダシって魚で、こいつはハタタテダイって魚なの。ちなみに、ハタタテダイにそっくりのムレハタタテダイっていう魚もいるんだけど、それぞれ背ビレのトゲが11本と12本っていう違いがあるんだ。

フミちゃん

へぇー。11がハタタテダイで、12がムレのほうですね!

細谷さん

あ、こいつはチンアナゴだね。で、隣にいるシマシマのやつがニシキアナゴで、チンアナゴより珍しいんだよー。

フミちゃん

シマシマで珍しいのが、ニシキアナゴですね。ニシキアナゴの方がカワイイですね!

細谷さん

うん、おれもそう思う。

フミちゃん

チンアナゴって少し聞いたことありますけど、名前がキャッチーだからですかね。うん、でも見れば見るほど絶対ニシキアナゴの方がカワイイし、人気出ると思うんですけどねー。

フミちゃん、最初は引き気味だったくせに、だんだん知識を吸収し始めています。

フォークランドのペンギン(撮影:高砂淳二)

撮影:高砂淳二

更に…

筆者

あ、次ペンギンコーナーですよ。

あくまで海水魚オタクの細谷さん、ここでも素通りしようとします。

けど、ノンダイバーにとってはペンギンコーナーこそ楽しいものなのではないでしょうか?
ねぇ、フミちゃん?

フミちゃん

えーもうペンギンとかどうでもいいよー魚見ようよー。

筆者

ええ!せっかくの水族館なのに、ペンギンどうでもいいの??

フミちゃん

だって、ペンギンだと細谷さんの解説ないじゃん。だからつまんないよー。魚の方がカワイイし。

結局この人たち、つまんないからと言ってペンギンコーナーを素通りしました。
ノンダイバーのフミちゃん、ダイバー細谷さんにマインドコントロールされはじめている気が…。

終いには…

細谷さん

あ、今すれ違ったウェットスーツきた若い館員さん、多分新人さんだよ!

フミちゃん

え、なんでですか?

細谷さん

だって、新品のウェットの匂いがしたもん!

フミちゃん

えーそんな匂いあるんですね!覚えておきます!

それはもはや水族館の楽しみ方関係ないし、とってもどうでもいいことな気が……。

鴨川シーワールドのアシカ(撮影:越智隆治)

撮影:越智隆治

細谷さん

いやー楽しかった!

フミちゃん

そうですね!ダイバーさんの解説つきなら、また水族館行ってもいいかもって思いました!

最終的にそんな具合で、今回の水族館ロケは終了しました。

フミちゃんの内に秘める何かを目覚めさせてしまった感じもしますが、お二人が楽しかったなら、それで良しとしましょう。

ちょっとウザイくらいの解説があった方が水族館を楽しめる!

そんな方は、是非ダイバーと一緒に水族館に行ってみてはいかがでしょうか。

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PROFILE
横浜在住のダイビング歴一年ちょっとの新米ダイバー。ハタチのお気楽大学生。
大学生ダイビングサークル、「Ocean KIDs」でダイビングに出会い、同サークルの現会長を務める。
これからの人生において自分は大好きなダイビングとどんな付き合い方をしていくか、ということを考える毎日。
実はダイビングと同じくらい音楽が好きだったりして、音楽雑誌「OTONARI」の刊行にも関わる。
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