CO2フリー電力とは？ なぜ環境に優しい？ 値段は？ 手軽に切り替えできる理由も

神宮司 瀬里奈

美しいサンゴ礁や多様な海の生き物たち——そんなかけがえのない「海」が、今、気候変動によって大きな影響を受けています。特に近年では、海水温の上昇やサンゴの白化現象を目にする機会も増え、「海が変わってきた」と感じている人も多いのではないでしょうか。

その背景にあるのが、私たちの暮らしと深く関わるCO2（二酸化炭素）の排出。電気の約7割が化石燃料（石炭・石油・天然ガス）から作られている日本では、日常的に使用する電力もまた、地球温暖化を進める原因のひとつです。

そこで今注目されているのが、CO2フリー電力や再生可能エネルギー100％の電力プラン。実は、2025年の現在、誰でも簡単に、環境にやさしい電気に切り替えられる時代になっています。

この記事では、

• CO2フリー電力とは何か
• なぜ環境にやさしい電気を選ぶべきなのか
• 再生可能エネルギーの種類やメリット
• 切り替え方法とおすすめの電力会社

などをわかりやすく解説します。「電気を変えるだけ」で未来の海を守ることができる、そんなサステナブルな選択を、今日から始めてみませんか？

CO2フリー電力とは？電力自由化で選べる再生可能エネルギーの時代

脱炭素社会を支える「再生可能エネルギー」とは？

私たちが普段使っている電気の多くは、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料由来。これらは発電の際に大量のCO2を排出し、地球温暖化の主因となっています。一方で、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギー（再エネ）は、地球環境に負荷をかけずに電力を生み出す手段として注目を集めています。

再エネ由来の電力プランは、CO2フリー電力とも呼ばれ、環境意識の高い人々や企業の間で急速に導入が進んでいます。

環境に優しい電気を選ぶ理由とCO2削減の効果

CO2排出と温暖化、海への影響

私たちが普段使っている電気の多くは、石炭や石油、天然ガスを燃やして発電する「化石燃料由来」が日本全体の約7割を占めています。燃焼時に大量のCO2を排出し、それが温室効果ガスとなって地球の気温を押し上げます。結果として、海水温の上昇、気候変動の加速、異常気象の増加という深刻な影響をもたらしています。

海水温の上昇とサンゴ礁への影響

水温がわずか1〜2度上昇するだけで、サンゴはダメージを受け、長期間高温状態が続くと白化してしまいます。サンゴの白化は「サンゴが死にかけているサイン」であり、この現象が続けば、サンゴ礁は消滅する危険性があります。特に沖縄の海では、広範囲でサンゴの白化が進み、鮮やかなリーフが失われつつあるともいわれています。また、サンゴは海の生態系の基盤ともいえる存在です。サンゴ礁があることで小さな魚が隠れ家を得て、それを狙う捕食者たちが集まり、豊かな海が維持されています。もしサンゴが消えてしまえば、そこに生息する魚たちもいなくなってしまう可能性があります。

海洋の酸性化と生態系の変化

CO2は海に溶け込むと酸性度を高め、サンゴや貝類の石灰化を妨げます。これが進行すると、貝殻を持つ生き物や甲殻類、サンゴの成長が阻害されます。つまり、海洋の生物バランスが崩れ、魚たちの生息環境が大きく変わってしまうということになります。

異常気象の増加

地球温暖化の進行により、台風の勢力が強まり、発生頻度も増加しています。特に沖縄のような台風の通り道になっているエリアでは、台風の影響でサンゴが破壊されることもあります。

CO2フリー電力のメリット｜料金・環境への効果

再生可能エネルギーを使うとどんなメリットがある？

では、CO2フリーの電力を選ぶことで、どのような変化が期待できるのでしょうか。最大のメリットは、上述した環境負荷を大幅に低減できることです。化石燃料を使わない発電方法は、CO2を排出しないか、排出量を相殺できる仕組みになっているため、温暖化の進行を抑える効果があります。電気を変えるだけで、サンゴの白化や海洋生態系の崩壊を防ぐ一助となります。

さらに、再生可能エネルギーを普及させることは、エネルギーの自給率を上げ、持続可能な社会（サステナブルエネルギー社会）を実現することにもつながります。日本はエネルギーの多くを輸入に頼っており、その大半が化石燃料です。しかし、太陽光や風力、地熱、水力、バイオマスといった自然エネルギーを活用すれば、国内で電力をまかなうことが可能になり、エネルギー供給の安定化や経済的なメリットも生まれます。

また、再生可能エネルギーの利用は、地域の活性化にも貢献します。たとえば、沖縄では中城バイオマス発電所がCO2排出ゼロの電力供給を行っており、地域のエネルギー自給率向上にも貢献しています。同じように、日本全国で再生可能エネルギーの発電所が増えれば、地域ごとにエコな電力を供給できる社会が実現します。

CO2フリー電力を選ぶことは、こうした海の変化を抑えるための、最も手軽で効果的なアクションです。化石燃料を使わずに電気を作ることで、CO2の排出を抑え、温暖化の進行を遅らせることができます。海の変化を「仕方がない」とあきらめるのではなく、今すぐできるアクションとして、CO2フリー電力への切り替えを考えてみてはいかがでしょうか。

CO2フリー電力を選ぶメリットと切り替え方法

環境にやさしい電力を選ぶことには、以下のようなメリットがあります。

• ・電気代が大きく変わらないプランが多い
• ・温暖化防止への貢献
• ・将来のエネルギー自給率向上
• ・地域経済の活性化にも寄与

切り替え手順はとても簡単です。

契約後も電気は止まらず、普段通りに使用できます。

沖縄の事例：中城バイオマス発電所とCO2フリー電力

中城バイオマス発電所とは？

沖縄の美しい海を守るために、CO2排出を抑えた発電がどのように行われているのかをご存じでしょうか。その一例が、沖縄県うるま市にある「中城バイオマス発電所」です。中城バイオマス発電所は、中城湾港新港地区の工業団地に位置し、沖縄県内最大規模のバイオマス発電施設となっています。広大な敷地（28,009㎡）を活用し、年間約35万MWh（一般家庭約11万世帯分）の電力を供給しており、沖縄のエネルギー安定化に貢献しています。

施設内には、輸入された木質バイオマス燃料（パーム椰子殻・木質ペレット）を貯蔵する専用の設備が整備されており、効率的に運用されています。また、排ガス処理や排水管理が徹底されており、環境への影響を最小限に抑える対策が講じられています。従来の火力発電所と異なり、黒煙の発生を抑えるバグフィルタが導入され、発電所周辺の環境負荷を低減しています。

発電所で生み出された電力は沖縄ガスニューパワー（OGNP）を通じて県内に供給されており、年間約270,200tのCO2削減が見込まれています。また、排ガス処理や排水管理が徹底されており、燃焼後に発生する灰はコンクリートブロックや路盤材として再利用されるなど、資源の有効活用も進められています。

なぜCO2フリーにできるのか？

この発電所がCO2フリーを実現できているのは、言うまでもなくバイオマス燃料を使用しているからです。上述したとおり、バイオマス発電は植物由来の燃料を燃焼させますが、成長過程で吸収したCO2と相殺されるため、理論上（※1）は「排出ゼロ」となります。

※1：バイオマス発電は、植物由来の燃料であれば成長段階で光合成によりCO2を吸収するため、燃焼させてCO2を排出しても、吸収と排出によるCO2のプラスマイナスはゼロになるため、大気中のCO2を増やすことはありません。この考え方を「カーボンニュートラル」といいます。

これらの燃料は、1～2万t級の輸送船で運ばれ、中城湾港（西埠頭）で荷揚げされた後、トラックで発電所まで輸送されます。この過程でも環境負荷を最小限に抑える対策が取られています。

このシステムにより、化石燃料に依存せず、環境負荷の少ない電力供給が可能となっています。

沖縄と日本の海と再生可能エネルギーの関係

沖縄の海は、世界的にも貴重なサンゴ礁を持つエリアです。しかし、地球温暖化による海水温の上昇、台風の巨大化、サンゴの白化などの問題が年々深刻化しています。その原因のひとつが、化石燃料の使用によるCO2排出です。この発電所が持つ再生可能エネルギーのポテンシャルは、沖縄の自然環境を守るだけでなく、日本全体のエネルギー事情にも大きな影響を与えています。

沖縄だけでなく、日本全国でも海の変化が顕著になりつつあります。特に伊豆や小笠原の海では、温暖化の影響でこれまで見られなかった熱帯性の魚が増え、生態系のバランスが変わっています。こうした変化を抑えるために、CO2フリーの電力を選ぶことは、ダイバーとしての環境保全アクションのひとつになります。

沖縄では、沖縄ガスニューパワー（OGNP）がバイオマス発電によるCO2フリー電力を供給し、日本全体ではイーセル（e-Sell）が全国対応でCO2フリープランを提供しています（※2）。

※2：OGNPやイーセルのグループ会社は全国に複数のバイオマス発電所を所有しています。

CO2フリー電力プランを選ぶなら、今すぐシミュレーション！

全国対応でCO2フリー電力を提供している「イーセル（e-Sell）」では、電気料金のシミュレーションとオンラインでの簡単な申し込みが可能です。現在の電気代と比較しながら、環境にやさしい選択を始めてみませんか。

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沖縄県内にお住まいの方には、「沖縄ガスニューパワー（OGNP）」のCO2フリープランがおすすめです。沖縄最大規模のバイオマス発電所による電力を利用することで、美しい海と地域の未来を守ることができます。申し込みはスマートフォンから数分で完了します。

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地球温暖化や海の異常気象を「仕方がない」と諦める前に、日常の選択を変えることで環境に貢献できることを、今こそ知ってほしいと思います。

電力会社を変えるだけで、CO2排出の削減につながり、未来の海を守ることができる。そんな手軽で効果的なアクションを、今日から始めてみませんか？