リゾートダイバー必見!旅のプロの“リアル”パッキング術【20kg以内を目指せ】
ダイビング旅行、楽しいけれど荷物のことを考えるとちょっと憂鬱なんてことはないだろうか。マスク、フィン、ウエットスーツ、BC、レギュレータ…フル器材を持参しようとするとスーツケースはすぐにパンパン。航空会社の重量制限にヒヤヒヤしながらチェックインなんてことも。
そこで今回は、旅のプロでもある現役CA(航空会社乗務員)と、旅行会社社員ダイバーに、リアルなパッキング術を見せてもらった。CAさんは顔出しNGのため、ダイビング器材メーカー・株式会社キヌガワスタッフ・通称GULLさんがCAから直接聞いて披露してくれた。旅行会社からはダイビング旅行でお馴染みDIVE NAVIの金床啓伍さんが登場。使う器材はGULLを中心としたKINUGAWA取り扱いアイテムでそろえて、それぞれの“流儀”でスーツケースに詰めてもらった。
また、今回はLCC利用も想定し、パッキングの目標は20kg以内。フルサービスキャリアでは23kgまで預けられるケースもあるが、受託手荷物の条件は航空会社や運賃によって異なる。20kgに収めておけば選択肢が広がるため、出発前には必ず利用する航空会社の規定を確認しておきたい。

GULLさん(左)と金床さん(右)
今回の登場人物
CAダイバーの友人から直伝のパッキング術を持つ。軽量&コンパクト優先派。カメラはGoProにワイドコンバージョンレンズ(以下、ワイコン)をつけて持参する。「絶対20kgに収めてみせます!」と宣言。
金床啓伍さん(DIVE NAVI)
旅行会社エス・ティー・ワールドのダイビング部門マネージャー。年に数回は仕事で海外へダイビング遠征に行く。重量制限や航空会社ルールにも詳しい。
今回の設定は「セブ島3泊4日・直行便」。この条件で20kgを目指してもらった。
今回使用した器材【KINUGAWA (GULL, SCUBAPRO, SHEARWATER)】
| カテゴリ | 製品名 |
|---|---|
| スーツケース | ハードシェルスーツケース GB-6506(105L / 6.1kg) |
| メッシュバッグ | エアメッシュバッグ GB-7159A(約85L/約930g)(GULLさん) アクティブメッシュバッグ GB-7133D(85L / 約500g)(金床さん) |
| 機内持込リュック | ウォータープロテクトスノーケリングリュックNEO GB-7157A(30L)(GULLさん) ウォータープロテクトスノーケリングリュック GB-7144B(24L)(金床さん) |
| マスク | MANTIS LVR(マンティスLVR)215g(GULLさん) MANTIS LV(マンティスLV)220g(金床さん) |
| スノーケル | SUPER BULETTE MINI 184g(GULLさん) CANAL DRY SP 130g(金床さん) |
| ブーツ | SHORT MEW BOOTS |
| フィン | MEW(GULLさん) SUPER MEW(金床さん) |
| グローブ | 3シーズングローブ |
| ウエットスーツ | 5mm ワンピース |
| BC | HYDROS PRO2(SCUBAPRO) |
| レギュレーター | MK25 EVO / S600(GULLさん) MK25 EVO / S620 TI(金床さん) |
| ダイコン | TERIC(SHEARWATER)(GULLさん) PERDIX3(SHEARWATER)(金床さん) |
| カメラ | GoPro+ワイコン |
GULLさんのパッキング術〜CA直伝、軽量コンパクト派〜

GULLさん(KINUGAWAスタッフ)
GULLさんのパッキングの基本方針は「コンパクト」かつ「機内でも快適に」ということで、預け荷物と機内持込に個性が出た。荷物はフル器材に加え、衣服はパンツ2枚、Tシャツ3枚、下着代わりにもする水着4着にリゾートワンピース。そのほかアメニティ類とPC、サンダル、コード類、パスポートや財布といったところ。CA(航空乗務員)ダイバーの友人から教えてもらったテクニックを活用しながら、手際よくスーツケースに詰めていく。

最低限の荷物といえど、並べてみるとなかなかの量
STEP 1|スーツケースの底の隙間を埋める
CAさんいわく、荷造りのコツは「隙間を無駄にしない」とのこと。まずはスーツケースの底の隙間に、水着や濡れてもよい衣類、ミューブーツなどを詰めていく。そうすることで全体の安定感が増して、ほかの器材も収めやすくなる。


STEP 2|ウエットスーツでスーツケース外周を覆い、衝撃を吸収
これがCA直伝の最重要テクニック。
「CAさんに教えてもらったコツがウエットスーツでくるめることなんです」(GULLさん)
スーツケースの外周(内壁に沿った部分)にウエットスーツを広げて配置する。スーツケースは外側の面が最も衝撃を受けやすく、硬い器材が内壁に直接当たるとボディが割れやすくなる。ウエットスーツをクッション代わりに敷くことで、輸送中の衝撃を大幅に軽減できる。

ウエットスーツをスーツケースの内壁に沿って配置し、外周を覆うように敷く
「外側が一番衝撃を受けるんです。だからウエットでくるむことにより、外側からの衝撃を減らせる。硬いものが直接スーツケースの角に当たると割れやすくなるから、外周をウエットで覆っておくのがポイントです。」(GULLさん)

衝撃を受けやすいのが一番外側

さらに衝撃から守るため、BCとレギュレーターをフィンで挟む



最後に上からメッシュバッグを被せて器材のパッキングは完璧!
STEP 3|衣服やその他の荷物を反対側へ
スーツケースの隙間も活用したおかげで反対側に入れるものはほぼなし。今回は3泊4日を想定しているが、もう少し長期の旅行で荷物が増えても問題なさそうだ。

ほぼスカスカなので帰りにお土産をたくさん入れられそう
計量結果
スーツケース専用のクロスベルトで全体を固定したら、いよいよ計量タイム。

GULLさんが荷物計りで計量。意外と重くて手がプルプルする
結果:約18kg!
なかなか余裕があるのでは?
+α|カメラのハウジングと外付けレンズを入れると?
海外に行くならカメラも持っていきたい。GULLさんはどうパッキングするのか。そして20kgに収まるのか。

追加のハウジングと外付けレンズ
これらもなるべく衝撃を受けないような場所へということで、ハウジングはウエットスーツとBCの隙間、外付けレンズはケースに入れて衣服で包みケースへ。

大事に包まれるハウジング。カメラを抜いておくのを忘れずに

ケースをさらに衣服で包む
そして気になる重さは…。

さらに手のプルプルに耐えて計測
結果は見事20kg以内。追加でハウジングや外付けレンズを入れても、目標重量をクリアした。
機内持込リュック(ウォータープロテクトスノーケリングリュックNEO)の中身
一方で機内持ち込みのリュックには、すぐに使用する財布やパスポート、預けられないカメラやダイブコンピュータはもちろん、機内と到着後すぐに快適に過ごすためのアイテムを詰め込んでいる。バゲージロストへの備えも。

機内持込のリュック一つに手荷物をまとめた
| アイテム | 理由 |
|---|---|
| GoPro+ワイコン | 精密機器のため持込推奨 |
| 財布パスポート類 | すぐに使用できるように |
| PC | 預け荷物NG |
| TERIC+充電器 | バッテリー内蔵のため持込推奨 |
| 充電ケーブル・モバイルバッテリー | 予備バッテリー類は預け荷物禁止 |
| 1日分の衣服・水着 | バゲージロストがあった時に備えて |
| アメニティ | バゲージロストへの備え+機内で歯磨き用 |
| サンダル | 機内で楽に過ごすため、もしくは現地ですぐに履き替えるため |
「航空会社によって細かな規定は異なりますが、リチウムイオン電池の取り扱いは年々厳格化しています。GoProやTGのカメラ本体も、バッテリーが内蔵されているので機内持込が安心です」(金床さん)
金床さんのパッキング術

金床さん(DIVE NAVI)
旅行会社に勤める金床さんの荷造りは、コンパクトに隙間なく収めることが基本。持っていく荷物はフル器材のほかサーフパンツ2枚、Tシャツ4枚、セームタオル、ビーチサンダル、電源コード類、サングラス、パスポートや財布など。

金床さんのパッキング器材。男性の方がサイズが大きいため、20kgに収まるかドキドキしながらパッキングが始まった
STEP 1|BCをスーツケース底面に
「BCが一番下で、ここから始めるのが僕の定番です」。まずは大きいものから入れて隙間を埋めていくスタイルだ。

スーツケースの中心にBCを配置
STEP 2|BCの中にレギュレーター・ハウジングをまとめる
次にBCを広げたまま底に置いたら、その中にレギュレーターとカメラハウジングをまとめて収める。「BCの内側をうまく使えば、まとまりよく入るし、互いに動かない。荷崩れもしにくいですよ」。

BCの中に収まったレギュレーター。TGなどコンパクトデジカメサイズのハウジングならBCの肩まわりに収めるそう
このとき気をつけるのがレギュレーターの向き。「セカンドステージのマウスピース部分を上に向けています。デリケートな部分だから潰れないように」。

BCの中にレギュレーターを収める。セカンドステージは上向きに
STEP 3|小物で隙間を埋める。重いものはなるべく下の方に!
「スーツケースを立てたときに、重いものが下に来るように意識しています。重心が上にくると転倒しやすくなるので」。

リールやアメニティなど頑丈なものや重いものをなるべく下に

マスクやサンダルなど軽いものを上面に。とにかく小物で隙間を埋める
STEP 4|ウエットスーツを上から被せて緩衝材に
さらに上からフィン→メッシュバッグ→ウエットスーツの順に被せていく。「ウエットは緩衝材代わりになるから最後に被せる感じです」。ラッシュガードやグローブなど薄くて柔らかいアイテムで残った隙間を埋めれば、荷崩れ防止にもなって一石二鳥。



最後にウエットスーツを被せて固定する
STEP 5|反対側のスペースに衣類を薄く重ねる
スーツケースの器材を詰めた反対側のスペースは、衣類や日用品のゾーン。「衣類は薄く畳んだものをずらしながら重ねていくと、嵩張らない。まとめて丸めるより隙間が生まれにくいです」。小さく折り重ねた衣類は、隙間をふさぐクッションにもなる。

折りたたんだ衣服をポイポイっと重ねて入れていく金床さん
計量結果

金床さんが荷物計りで計量
結果:約20kg!
「セブ想定の直行便なら全然余裕ですね。お土産が増えたときに備えて、僕はいつも、ファスナー付きの折りたたみバッグを1枚持っていって、第2の預け荷物にしてます」
機内持込リュック(ウォータープロテクトスノーケリングリュック)の中身
金床さんの機内持ち込み荷物は、財布パスポート類のほか預けられないカメラや充電器など最小限。充電コードも綺麗に一つのケースへ収納。「トランジットの時間が長い時はGULLさんと同様に一泊分の衣類を入れます」と旅の工程によって荷物の配分も変えているとのこと。今回はトランジットはない想定なのでかなりコンパクトだ。

機内持込のリュック一つに手荷物をまとめてコンパクトに
| アイテム | 理由 |
|---|---|
| GoPro+ワイコン | 精密機器のため持込推奨 |
| 財布パスポート類 | すぐに使用できるように |
| PERDIX3+乾電池 | 乾電池のため持込推奨 |
| 充電ケーブル・モバイルバッテリー | 予備バッテリー類は預け荷物禁止 |
旅向け器材を選ぶ5つの条件
パッキングの技術だけじゃなく、器材選びの段階から旅の準備は始まっている。せっかくなので2人から「旅に向く器材の選び方」も教えてもらった。
① 丈夫であること
スーツケースは積み重ねや荷さばきに耐えるポリカーボネート混合樹脂の外殻が心強い。「重い器材を詰めるので、タイヤが一番最初に壊れるんですよ。動きがスムーズなダブルキャスターで、ちゃんとゴムが巻かれているものを選ぶのが大事」(金床さん)

GULLのスーツケースは外側が丈夫なのはもちろん、持ち手が至る所についているため、丁寧に積み下ろしができ、衝撃が抑えられる。金属部分はステンレス製で錆びにくいのもダイバーにとっては嬉しい特徴
② 軽いこと
器材一つ一つが軽ければその分全体が軽くなる。とはいえ自分の普段使い慣れた器材が重いこともあるだろう。そういったときにはメッシュバッグなどダイビングに影響の少ない器材を軽くしていくと○。さらに、より重量を軽くしたい方は、リゾートダイビング用の薄手の3mmスキンウエットも◯。軽量で乾きやすく、セパレートタイプなので着脱も楽でダイビング中も動きやすく快適。

アクティブメッシュバッグGB-7133Dは本体約500gと軽くてコンパクト&濡れても乾きやすい!

3mmスキンのセパレートタイプのウエットは軽量かつ動きやすいのもポイント!
③ コンパクトに収まること
限られたスーツケースの中をいかに上手に使うか。パズルのようにピッタリ収まった瞬間には思わず「やったー」と感嘆するのではないだろうか。器材もコンパクトなものを選べばそれだけ効率よく物を詰めることができる。

BCのHYDROS PRO2はコンパクトになる設計


④ 速乾性があること
帰りのパッキングは「濡れた器材をどう収めるか」との戦い。乾きやすい素材のものを選ぶことで帰りも楽になるのだ。

左:HYDROS PRO2、右:一般的な素材のBC。HYDROS PRO2は水を弾く素材のため、水がかかってもタオルで拭けば水気がなくなる

左:HYDROS PRO2、右:一般的な素材のBC。一般的な素材のBCは水を吸収してしまうので乾くのに時間がかかる

裏返すことができるショートミューブーツで両面から乾かす。実は小さな穴が空いていて乾きやすいのも嬉しい
⑤ 充電がUSB-Cなど汎用規格に対応しているか
スマホやPC、カメラ、ライトなど充電するものがとにかく多い。一つの充電器で使い回すことができれば重量も減らせる。さらに、「専用の充電器忘れて使えない…」といったトラブル回避にも。(筆者は過去に専用充電器が僻地で壊れ、ダイコンが使えなくなった経験があるため、ここはかなり推したい部分)

SHEARWATERの主要な機種はワイヤレス充電パッド対応可能(TERIC, PEREGRINE, TERNなど)。パッドにはUSB-Cを繋げることができ、スマホもパッドに置き充電ができる

PERDIX3のように乾電池タイプであれば、どこでも手に入るので充電器が壊れても安心だ
スーツケース選びのプチ知識
旅行会社員の金床さんが教えてくれたスーツケース豆知識も紹介しておこう。
TSAロックって何?
スーツケースについている南京錠マークの「TSA」。「Transportation Security Administration(米国運輸保安庁)が認定した鍵で、アメリカ入国時に中身の検査が必要になったとき、保安要員がこの鍵で開けられるようになっています。TSAロック付きのスーツケースなら、検査のために鍵を壊される心配がない」(金床さん)
ちゃんとしたスーツケースにはほぼついているとのことだが、確認しておいて損はなし。

赤いマークがTSAロックのマーク
パッキングTips 6選
最後におさらいも兼ねて、2人から出た「これだけは知っておいてほしい」という6つのTipsをまとめて。
◆ TIP 1 :ウエットはスーツケース外周に配置し、衝撃を吸収
スーツケースの内壁に沿ってウエットスーツを配置することで、外側から受ける衝撃を吸収できる。硬い器材が直接外壁に当たるとボディが割れやすいため、ウエットスーツをクッション代わりに使うのがポイント。CA直伝の技で、「外側の衝撃を減らすために外周をウエットでくるむのが正解」だ。

スーツケース外周にウエットスーツを配置し、衝撃を吸収させる(CA直伝テクニック)
◆ TIP 2 :アクティブメッシュバッグは旅先での持ち運びバッグ兼洗いバッグ
旅先でのボートまでの移動や洗い場までの移動など現地での器材持ち運び用、帰りは濡れた器材を入れてそのまま干せる洗いバッグに早変わり。
◆ TIP 3 :ライト・カメラ・バッテリー類は必ず機内持込へ
リチウムイオンの予備バッテリーは預け荷物NG。機内持込はOKだが個数・容量に制限がある。カメラやライトなどバッテリー内蔵機器も、電池が入ったまま機内持込にするのが安心。「電池だけ取り出して予備バッテリーを預け荷物に入れるのは絶対NG。発火したときに対応できないから」。(金床さん)
◆ TIP 4 :重いものは下(車輪側)に
BCやブーツなど重い器材を底に集めると、スーツケースの重心が安定して転倒しにくくなる。逆に重いものが上に来ると倒れやすいので注意。
◆ TIP 5 :荷物計りは必需品。出発前に必ず測る
「1000円前後で買えるデジタルの荷物計りは、1kgオーバーで追加料金を取られることを考えたら絶対元が取れます。持っていない人は今すぐ買ってください(笑)」。(金床さん)
◆ TIP 6: 日焼け止めは購入時の容器のまま持参
日焼け止めは紫外線の影響を考慮して専用容器で販売されている。小分けボトルへ詰め替えると性能に影響する可能性があるため、できるだけ購入時の容器のまま持っていくのがおすすめ。機内持込の場合は100mL以下の容器にするなど、液体物のルールも確認しておこう。
まとめ
フル器材を持参しながら20kg以内に収めるカギは、「詰め方の技術×器材の選択」の掛け算だった。
ウエットでくるむ、細かい隙間を衣類で埋める、重いものを底へ——ちょっとした工夫の積み重ねで、スーツケースの中はぐっとスマートになる。そして、旅向けに設計された軽量の器材を選ぶことも、荷物をコンパクトにまとめるための一つの方法だ。
次のリゾート遠征前に、ぜひ一度パッキングを見直してみてほしい。

GULLさん(左)と金床さん(右)
株式会社エス・ティー・ワールドは、世界各地へのダイビングツアーを数多く手がける旅行会社。ダイビング専門ブランド「DIVE NAVI」では、モルディブやパラオ、フィリピン、沖縄など国内外のダイビング旅行を幅広く企画・販売している。現地サービスや器材事情にも精通したスタッフが、初心者からベテランまで安心して楽しめるツアーを提案している。
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