サンゴ礁保全/再生活動の最前線。サンゴマップにサンゴ取引プログラムって一体なに!?

世界的な取り組み「SDGs」の17の目標の一つ14「海の豊かさを守ろう」にもあるように、持続可能な未来を目指すために重要視されている海洋資源。とりわけサンゴ礁に関しては中核を担う存在といっても過言ではなく、仮にサンゴ礁が消失した場合には環境的損失だけでなく、経済面においても年間3兆円規模の損失(※)につながるというほど。このようなデータ面から考えても、サンゴ礁保全の重要さはいよいよ無視できないものに。世界規模で動き出しているサンゴ礁保全活動の最前線とは。
(※)国連環境計画と国際サンゴ礁イニシアチブ(ICRI)などが2018年10月に発表したレポート「Coral Reef Economy」より

サンゴ再生/保全

サンゴ礁は、海洋面積の0.1%に満たないにもかかわらず、地球上の海洋生物の25%が生息するといわれている。漁獲できる海洋生物のよりどころであり、ダイバーをはじめとした海を愛する人々の観光目的となっているサンゴ礁は世界中の人々にとって不可欠な存在。

世界のサンゴ礁状況をまとめたレポート

これまでのサンゴ礁保全/再生活動は、民間のボランティアから一般企業、環境保護団体などの幅広い層で実施されてはいたものの、それぞれの活動が国際間で連携されるまでには至らなかった。そこで、世界的に連携した取り組みを実施するため、国際サンゴ礁イニシアチブ(ICRI)と呼ばれる組合を活用する動きが出始めている。

ICRIでは、サンゴ礁の持続的利用と保全/再生に関わるすべての関係者が対等な協力関係のもとで集い、議論できるとされている。

そのICRIでは「Global Coral Reef Monitoring Network(GCRMN)」という取り組みがスタートしており、2020年までにおける世界のサンゴ礁状況をまとめたレポートを、2021年の完成を目処に作成中。この取り組みには75カ国のサンゴ礁に関連するデータを用いているという。世界のサンゴ礁状況をデータ化することは、限られた時間の中でサンゴ礁保全/再生活動を進める上できわめて有効な手段として注目を集めている。

データを活用する取り組みとしては、サンゴ礁を空撮し地理データ化するものも。米アリゾナ州立大学の研究者らは航空機を使いハワイのサンゴ礁を空撮。従来の陸撮や衛生を使った撮影方法に比べるとサンゴ礁の細部までわかるというから期待は大きい。

ユニークなサンゴ引き取りプログラム

タヒチを本拠地とするサンゴ礁の再生/保全に取り組む団体・Coral Gardenersは「サンゴの引き取り」というユニークな取り組みを実施している。サンゴの引き取りといっても購入者の手元にサンゴが届くわけではなく、Coral Gardenersが活動する現地の海で育成されるので、実際のところ購入者はサンゴの育成費用をお支払いしているという仕組み。同社ウェブサイトによると、これまでに2万1000個体が引き取られたとのこと。なお購入はオンラインからできるので便利。

Coral Gardenersのほかには、インドネシア・コモド島近くを拠点に活動するCoral Gardianという団体もサンゴの引き取りを行っている。

あらゆるサンゴ保全/再生活動を下支えすることになるデータを用いた取り組みをしつつ、場所も時間も選ばないオンライン上で、誰しもが参加できる仕組みを整えていくことは、最適な方法でより多くの人々がサンゴ保全/再生活動に参加する良い流れとなるはずだ。

Coral Gardenersuウェブサイト:https://coralgardeners.org/
Coral Gardianウェブサイト:https://www.coralguardian.org/

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