うさぎが3匹
最近、「和尚は一体いつ全国旅に出るの?」と言われるのだが、
ちょうど旅に出ようと決意した時に持ち上がった本の出版話。
以来、企画を書き、編集会議にかけられ、戻され、また企画を書き……。
ずっと本を出せるかどうかの微妙な状況が続き、旅に出たくても出られない。しかし、どうやら本を出す機会をいただけそうだ。
ただ、まだ内容を練る必要があり、内々定のような状態。
不況のあおりで内定を取り消されやしないか
ビクビクしている最近の就活生のような気分。
今やれることをやるしかない! と就活生と自分を励まし、
世に出るかわからないネタと悪戦苦闘中なのだが、
和尚は和尚で「旅に出せ! この中身野郎!!」とうるさい。
「4月に出版するのに、旅に出ている場合じゃないだろ! この金ぴか豚野郎!!」と言い返すが、「紙とペン(パソコン)があれば大丈夫じゃろ!」と納得してくれない。しかし、書くことだけでなく、取材や資料集め、雑務など、東京でやることは結構ある。
2兎を追う者は1兎も得ずになってもいけないので、
どうやって和尚を納得させようか考えていると、まこ社長が、
「俺が資料集めや雑務をやってあげるから行っておいでよ。ネット環境も整えてあげるから」と。
僕は「マジで! スゲェ嬉しい。本当にありがとう。頼んだ!」と満面の笑みで即答した後に、「あ、いや、そんなの悪いよ。ダメだよ、頼めないよ……」と曇った表情。
逆、逆。
まずは、「そんなの悪いよ」と相手を思いやる儀式をしてから、「まあ任せてよ」と再度男気の見せ場を作り、「そ、そう? じゃあ、お願いしちゃおっかな」と甘えてみせ、「俺とお前の仲だろ。遠慮すんじゃねーよ、バカヤロー」と友情のクライマックスを迎えたところで、「わかった。俺、もう遠慮しないよ。でも、頼んだからには妥協は許さないぞ。覚悟しとけよ、こいつ、このこの〜。今日は俺のおごりだぜ」とハイタッチ。
これが古来からの親切を受け取る際の正しい手順だが、
あまりの嬉しさに、いきなり受け入れちゃった。
ごめん、そしてありがとう、まこ社長。
ということで、年末年始は本の出版と全国旅の2兎を追うモードに。
と思いきや、
今日、「モルディブに行け」と、もう1匹のうさぎが目の前にぴょん。
モルディブ、潜りてぇ。何も考えずに「行く!」。
2兎を追えば1兎も得ないが、
3兎を追ったら意外と全部手に入っちゃうのかも♪
さて、お肉たっぷりのウサギ汁を食べられるのか、
寂しく汁だけすすることになるのか……。