帰国後の徒然

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日曜夜にモルディブから帰国。

月曜日。

たまった洗濯を洗って干し、たまった役所手続きを済ませ、
たまった週刊誌と漫画を一気に読み、たまった……エヘ。

火曜日。

午前中は途中だった「アンネの日記・増補新訂版」を読む。
今回初めて完全版(推敲版?)を読んだが、まずはその筆力に驚かされる。

鋭い洞察力と美しい文章。

はるか昔読んだのとだいぶ印象が違ったが、
そうか、あれはいろいろ配慮されてのものだったのか。知らなかった……。

日記という主観的な記述、
つまりアンネの声、アンネの目を通して見た世界が描かれ、
「アンネの日記」はその名の通り、最後まで日記。
だから、読んでいる僕の横にはいつも鮮明にアンネが立っている。

しかし。

「あとがき」で、その横にいたはずのアンネが急に消えてしまう。
最後の日記から3日後に、アンネたちは秘密警察に連行され、
その後アンネは衛生状態の悪い収容所で死亡し、
死体投棄穴に埋められたと淡々と客観的に記述される。
そこにはアンネの声も目もない。

本来、あとがきは本編とは直接関係なくてよいものではあるが、
このあとがきで伝えているものは、
日記の本質たるその後のアンネに起きた重大な出来事であり、
それはアンネが日記で書くべきことであるが、
言うまでもなくアンネにはそれができない。

連行されたときの様子、収容所での出来事、死にゆく気持ちが
日記としてアンネの目で声で知ることができていたのなら、
同情し、泣きもし、感動もしたのであろう。

しかし、日記は急に途絶え、アンネの目と声は失われ、
その後のアンネはただ時系列の中で語られるのみ。

その断絶が恐ろしい。

清潔好きでインテリジェンスの高いアンネは、
不衛生で不条理な収容所で何を思ったのだろう。
望んでも決して声は聞こえてこない。

ただただ、絶望的な気持ちにさせられる……。

午後は、以前から観たかった映画「チェンジリング」を観に深谷シネマへ。
ラッキーなことにこの日は感謝祭ということで、1000円で2本見られるとのこと。

もう1本をチェックすると、
1作目を観てまったく興味を失っていた「レッドクリフⅡ」(泣)。
時間がもったいない気もしたが、
観ないとお金がもったいないような気がしたので観ることに。

2本観て良かった。

いや、「レッドクリフⅡ」が思った以上に良かったというわけではなく、
「チェンジリング」の良さをよりわからせてくれたから。

「チェンジリング」で、母親が最後に発した一言。

〝HOPE(希望)〟

ズ〜ンと腹に来た。

「レッドクリフⅡ」で、曹操を倒した周喩の言葉。

〝この戦に勝者はないない〟

何と陳腐な言葉なのか。ここに至る経過を含めて。

「人は希望(もしくは夢)があれば生きられる」、「戦争に勝者はいない」

どちらの言葉も、口に出して言うには相当な腕か魂がいる。
でないと偽善と陳腐に飲みこまれてしまう。
今回の2本。成功例と失敗例。

あっという間に1日が終わる。
たまにはこういう日も必要だな、やっぱり。
さて、明日から働いてみるか……。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
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〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
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