ドラえもん
今、近しい人が亡くなるというネガティブな理由で実家に帰ってきているが、
懐かしい再会があった。
中学時代の先生。
先生たちの言葉で覚えているものは数少ないが、
なぜか強烈に覚えている言葉というのがある。
この先生の言葉がそのひとつである。
「先生はドラえもんが嫌いだ」
どんな場面で言ったかは忘れてしまったが、
僕はドラえもんのコミックを全巻持ち、もちろん映画だってすべて見ている
ドラえもん世代だったのでインパクトの大きい言葉だったのだろう。
先生は「のび太は都合が悪いとすぐにドラえもんを頼り、
ドラえもんも都合のいい道具で解決してあげてしまう」といった理由で、
自分の力で乗り越えることが大事なんだ的なこと真顔で言っていた。
当時は理屈で叶うわけもなく、自分の歴史の一部であるドラえもんを
否定する話をただただ不愉快な気分で聞くしかなかった。
20年経った今でも覚えているくらいだから相当インパクトがあったのだろう。
ドラえもんマニアの妹が聞いたら殴りかかかるだろう。
今なら、ただ「大人げないなぁ」だけど(笑)。
子供は叶うはずのない願いが叶うことにワクワクしていただけだし、
“現実”の捉え方だって違うし。
ドラえもんを見て怠け者になってしまった子がいたら、その子やその子の親が悪い。
以来、あまり好きではなかったが、大人になって会ってみたらすんごくいい人。
そうだよな、大人げない人って真っ直ぐで愛すべき人ってことが多いもんなぁ。
先生にドラえもんの話を覚えているか聞いたら、
あれからもずっと嫌いなアニメとして生徒に話続けたそうだ(驚)。
思いつきではなく、ここぞ的な話だったんですね。だから心に残ったのか。
「あのアニメは間違ったメッセージを送っている」だって。
何かブレのなさが嬉しかった(笑)。
藤子不二雄は宮崎駿とは違ってきっと性に関してはノーマルな気がする。
だから、ちゃんと(?)静ちゃんの入浴シーンを描いてくれたりしていて、
僕がそうだったようにあれで下半身に息吹を感じた男の子も多かったはず。
とても健全でさじ加減の良い性の第一歩としてドラえもんは
認められてもいいと思うのだが、そんなことは先生には言えない(笑)。